第114話 敵討ちと報復①
今、私はマーベル団長に呼び出され、面談場所に指定された会議室へ向かっている。団長から呼び出された理由については心当たりはある。自分でもおそらく団長か、若しくは大隊長からの呼び出しがあると思っていたから。
会議室の前に立ち、壁付のセンサーに右手をかざす。登録されている私の生体情報をセンサーが読み取り、会議室のドアが開く。
「朝倉中尉、参りました」
私がそう申告すると、マーベル団長は入室を促したので「失礼します」と言って私は会議室へと歩みを進めた。
マーベル団長は自分が座っている席の対面に座るよう勧めてくれたので、私は椅子に浅く腰を下ろした。
「そう固くならないで。別にサクを叱責しようとか、そういう意図で呼び出したんじゃないんだから」
「…はい」
私が返事をしつつも姿勢を崩さないでいると、マーベル団長はヤレヤレといった感じで苦笑して肩を竦めた。マーベル団長の表情を言語化するならば「日本人は真面目ねぇ」といったいったところだろうか。
「話しというのは先の出撃に関してよ。心当たり、あるでしょ?」
「はい」
「私も周りくどいのは好きじゃないから率直に聞くけど、サク、あなたは何故アムロイの難民船を撃とうとしたの?」
そう、私は先の出撃時にアムロイの民間船を発見した。そして、相手からの通信により地球連邦軍に投降しようとしている難民船だと理解しながら、私はその船にレーダー捕捉して照準を合わせ、トリガーに指を掛けたのだ。
それは6時間ほど前の事だった。第6独立挺身艦隊は今までに破壊した土星外周部のアムロイ軍警戒網の穴からその内部へ長距離偵察していた。
第1戦闘航空大隊は艦隊周囲の警戒と索敵のため出撃し、マーベル団長率いる第2中隊は艦隊の前方に展開していた。
すると、その更に前方から多数の艦船による交信と戦闘行動が確認された。アムロイ軍の勢力圏内での戦闘となれば、その片方は地球連邦軍である可能性がある。第2中隊からの報告を受けた艦隊司令部は、直ちに第2中隊へ接近しての情報収集等が命じられた。
その戦闘はアムロイの逃走する高速中型船を3隻の高速警備艦が後方から追撃するもので、高速中型船は既に数発被弾しているようだった。そのまま戦闘が推移すれば、中型船はやがて拿捕されるか撃沈された事だろう。
「プルメリアリーダーから中隊各機、プルメリア、シルバーウルフの各小隊は後方の敵艦隊に当たる。ブラックチューリップ小隊は前方の中型船の所属を確認し、友軍ならば援護せよ」
私はマーベル団長からの下命により自隊を率いて攻撃を受けていた中型船へと向かった。
『マスター、平文にて所属確認を打診するも相手からの応答ありません』
その船からの応答は無い。その間も中型船と私達との距離は接近し、次第にその船の全容が目視出来るようになった。
それは地球連邦軍の艦船ではなかった。
『該当する友軍艦船無し。その形状からアムロイ軍のものと推測されます』
「じゃあビクトル、アムロイ語の平文で"停船せよ。然らざれば攻撃す"で停船命令を出して」
『了解』
私は自隊のパティ、真樹、エリカに攻撃準備を下命しつつ、相手の応答を待った。
すると、こちらの停船命令に従ったのか、アムロイ船の航行速度は減速され、やがて停船した。
『アムロイ船より返信が入りました』
「読んでみて」
『こちらアムロイのアメディオ支族所属船パンテーン号。当方地球軍への攻撃の意思無く、投降の意思あり。以上です』
私はビクトルの報告を信じられない思いで聞いた。アムロイに一体どんな事情があるのか私には分からないけど、火星で地球連邦軍に降伏して帰順したアムロイ軍もあったように、彼等も決して一枚岩ではない。
私はこれを直ちに艦隊司令部へ報告すると、やがてアムロイ船の投降が艦隊司令部から認められた。
今回、私がマーベル団長に呼び出されたのはこの後に起こった出来事による。起こったというか、私が起こした訳だけど。
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それでは次話「敵討ちと報復②」をお楽しみに!
ガミラスに下品な男はいらない。




