第104話 第3独立戦闘航空団発隊
そして、いよいよ迎えた第3独立戦闘航空団の発隊式。といってもFA-v3で編成される独立戦闘航空団は第1から第6まであるので、6隊合同の発隊式な訳だけど。
発隊式の会場が他隊のパイロット達との初顔合わせの場になる訳だけど、なんとその中に私は見知った顔を見つけてしまったのだ。一人は横須賀士官学校の同期生で同じクラスだった木村君(そういえば決闘したっけ)。もう一人はやはり同期生で2組の学生隊長だった山中君だ。
「二人とも久しぶり。元気だった?」
私が声を掛けると、木村君がぶっきらぼうに応じる。
「俺は見ての通りだ。朝倉も元気そうだな」
「えぇ、木村君もね」
木村君には私は淡々と応じる。木村君とは過去に名誉を懸けて決闘した間柄だけど、その後は和解している。そして木村君の性格は士官学校の二年間で既に把握しているから、こんな調子で彼の性格上問題無いのだ。
それに対して山中君は私達との再会に瞳を潤ませて感動しきりだ。いきなり私の両手を握ると、
「まさか、ここで朝倉さんと一緒になれるなんて夢のようだよ。また一緒に頑張ろう!」
「え?えぇ、頑張りましょう?」
その後、山中君はエリカ、真樹、パティの三人から「うちの隊長に気安く触らないでくれる?」と言われて遠ざけられてしまった。
木村君は第3独立戦闘航空団の第1小隊1番員、山中君は第3小隊の小隊長にそれぞれ配属となっていた。私としては誰とも知れない、腕前も確かじゃない初めて会うパイロットよりも大歓迎すべきところだ。
第309護衛艦隊のレッドライオン小隊でもエルザ隊長、ラビィ、パティと上官や同僚に恵まれていた。そして、この第3独立戦闘航空団でも部下にエリカ、真樹、パティが揃っていて、他の小隊にも山中君と木村君がいるというのは、やっぱり私は恵まれているのだと思う。マーベル団長はまだ会ったばかりで未知数だけど。
訓練の開始は明日から。発隊式が終わった今日は、パイロット達各々が乗機を受領し、整備小隊と一緒に機体整備や各種設定作業を行う予定となっている。私達は制服から戦闘服に着替え、昼食を食べてから格納庫へと向かった。
第3独立戦闘航空団に割り当てられている格納庫は、元々閉鎖されていた古い施設で、発隊に合わせて工兵隊が突貫工事で復旧してくれたものだ。
だが、全面リニューアルという訳ではなく、必要最小限の工事であったため、御世辞にも快適とは言い難い。照明は微妙に薄暗く、壁体もどことなく煤けている。だけど、その古い格納庫には真新しいFA-v3が所狭しと並べられている。それは壮観で心揺さぶられる眺め。
六式艦戦よりも一回り大きなその機体が放つ猛々しさと、新兵器故の荒々しさ。整備用の照明が照らし出すFA-v3は薄暗い格納庫を一種異様な空間に変えていた。
おおおっ!
その光景を目にしたパイロット達から一斉に感嘆の声が上がった。
格納庫内に入ると、パイロット達は各自の乗機を求めて散って行く。小隊長である私は率先して第2小隊の機体を探さなければならず、壁や床面の隊番号を示すペイントを辿った。
「サク、あれじゃん?」
パティが指差す向こうには「第2小隊」と書かれた床面のペイントがあり、4機のFA-v3が整然と並んでいた。因みに、第2小隊の隊員3人は誰も私を隊長と呼んでくれなかったりする。
「じやあ、みんな自分の機体整備に取り掛かって。整備員にはちゃんと挨拶して、よく話を聞いてね」
「「「了解」」」
私の機体を担当する整備員は秋月郁恵少尉。整備小隊長で、小柄で可愛い一歳年下の女性士官だ。歩きながら秋月少尉から機体の説明を受けていると、私達二人は機体に近付いて行く。機体を眺めていると、あれ?これ見覚えがある。これって、もしかしてだけど、
「お気付きですか?そうです、この機体は朝倉中尉が乗られていたXFA-v3なんですよ。FA-v3はまだ十分数が確保出来なかったようで、中尉にはこの機体が割り当てられました。AIもインストール済みです」
「この子は一緒に死線を潜った戦友なんです。私、この子の操縦なら誰にも負けませんよ?」
「私、朝倉中尉の大活躍を知って中尉に憧れていたんです。まさか朝倉中尉の担当になれるなんて信じられませんでした。これからよろしくお願いします」
えっ!そうなの?私、そんな大した者じゃないんだけどな。
「こちらこそよろしくお願いしますね」
「はい!この子が届いて、ここ数日間機体を調べましたけどエンジンも調子良いですし、各系統のレスポンスも良好でした。これで中尉が乗れば鬼に金棒ですね!」
私って鬼だったっけ?と思いつつも、私と秋月少尉はこうして仲間になった。
格納庫に駐機しているXFA-v3。その機体に両手と額を当てると、私は機体に語りかけ、その声を聞く。
"またよろしくね、XFA-v3"
"またマスターと一緒に戦えて僕も凄く嬉しいよ"
私も嬉しいよ。
そうして、戦友である隊員達と馴染んだ機体が揃い、俄然やる気が出た私だったのでした。
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それでは次話「ブラックチューリップ小隊爆誕」をお楽しみに。
不死鳥は炎を浴びて蘇る。




