第101話 親友との再会①
翌朝、いつも通り起床時間の5分前、5時55分に目が覚めた。起床の5分前に目が覚めるのは私の数少ない特技の一つ。このお陰で今まで寝過ごしや遅刻とは無縁でいられている。
私はベッドから出ると手早く洗面して髪型を整え、ささっと最低限のメイクを終えると戦闘服(という名の作業着=普段着)に着替えて自室を出た。隣部屋の前で壁付のインターフォンを押し、パティを呼び出す。
「パティ、朝ごはん食べに行こう?」
すると、ドアが少しだけ開いて寝起きのパティが顔を覗かせた。
「サク、先に行ってて。今起きたところだから」
「よしきた。じゃあ、後でね」
第3独立戦闘航空団が使用している本部、格納庫、航空機の離発着設備等に施設はフンボルト海基地でもその端にある、最近まで閉鎖されて使用されていなかった施設を利用している。第3独立戦闘航空団の発隊に伴って工兵隊による突貫工事で使用可能となったものの、そこには居住区画が元々無かったため、私達隊員はフンボルト海基地の居住区画に入居している。
これは私達にとってとても幸いな事で、もし団の使用施設に居住区画も併設されていたら食事の度に態々遠い食堂まで行かなければならないか、味気ない冷凍食品を食べなければならなかったところだ。
食堂へ向かう通路は、半年前までこの基地の航空隊に所属していた私にとって通い慣れた道だ。
朝ご飯は何を食べようかな、などと考えながら歩いていたら突然、
「エリカアターック!」
という掛声と共に後ろから何者かに腰に抱きつかれてしまったのだ。
「なっ、何?誰?」
いきなりの出来事に驚きつつ、後ろを振り向いてみると、私の腰に組み付いている女性士官と目が合った。
「エリカ⁈」
エリカは私の腰に抱きついていた両手を離すと、素早く私の正面に回り込み、再びムギュウと抱きついてきた。
「サクゥ、久しぶり、会いたかったよぉ!」
そう、私に後ろからタックルかまして、今抱きついているのは、私の横須賀士官学校の同期生にして親友の立花エリカ、その人だった。
「エリカ、どうしたの?何でここにいるの?」
「私もv3(ブイスリー)のパイロットに志願して配属されたからだよ」
XFA-v3は現在、地球連邦軍に戦闘攻撃機として正式採用されて"X"が外れてFA-v3となっているけど、専ら「v3(ブイスリー)」と呼ばれている。
すると、後ろからバタバタとこちらの方へ駆けてくる足音が聞こえてきた。
「あー!エリカずるいぞ、自分だけ」
今、エリカに抱きつかれて振り向けないけど、そう声の主がわからない私じゃない。
「真樹!」
と、次の瞬間には私は後ろから真樹に抱き付かれていた。
「サク、久しぶり。会いたかったよぉ!」
これは偶然の巡り合わせなのだろうか?いや、そんな事がある訳が無い。人類史上最大の組織である地球連邦軍。この巨大組織の中にあって同じ兵科に席を置いても、よほどの理由でもない限り、または強力な情実人事でもない限り、一度人事異動で離れてしまえば再び同じ部隊になる事などないのだ。
だからこれは"よほどの理由"があったと解釈すべき事柄なのかもしれない。でも、でも、そんな事は今はどうでもいい。こうして二人の親友と再会出来たのだから。
「私も、私もエリカと真樹にずっとずっと会いたかったよ!」
だけど、朝から食堂前の通路で女の子二人に前後から抱きつかれている図って、どう?
「サク、何してるの?」
やっぱり、そうなるよね。私が恐る恐る声がした方に視線だけ向けると、呆れたような表情でこちらを見ているパティがいた。
私は前後からエリカと真樹に抱きつかれ、あまつさえ二人からクンクンと臭いを嗅がれ、スリスリ頬擦りされながら、パティの問いに答えなければならなかった。
「えーと、何というか、感動の再会かな?」
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それでは次話「親友との再会②」をお楽しみに。
「親から子へ、子からまたその子へ血は流れ永遠に続いていく。それが本当の永遠の命だと、俺は信じる」byキャプテンハーロック
さようなら銀河鉄道999より




