第100話 新部隊へ
翌日、私とパティはエルザ隊長、ラビィ、整備小隊の熊倉軍曹達に見送られて空母太鳳を後にした。私達の荷物は前日に月面基地間の逓送便で転属先のフンボルト海基地に送ってあり、二人とも制服姿にバック一つという身軽な出立で連邦軍のシャトル便に乗った。
第309護衛艦隊がモスクワ海基地に入港してすぐに今回の人事異動が発令されたので、私達は二人とも転属先の新部隊について知るところは実に少なかった。第3独立戦闘航空団という部隊規模も不透明な名称、所属がフンボルト海基地にありFA-v3(XFA-v3が制式採用された機体)で構成される部隊である、という事くらいだ。どんな人がいるのかもわからないので、本当に出たとこ勝負という感じ。
私達が乗船した月面基地間連絡シャトル便は定刻通りにモスクワ海基地を発進した。基地を離陸したシャトルは漆黒の月の裏側から、やがて陽光を浴びて白く輝く表側へと進み、遙か彼方には小さく青い地球も望む事が出来た。機内ではCAを務める若い女性兵士から配られた昼食(私はチキンソテー、パティはツナステーキ)を食べ終えると、賞味3時間のフライトも終わりを告げ、私達は遂にフンボルト海基地へと至った。
私達はフンボルト海基地内勤の下士官に航空隊基地の片隅に臨時に設けられた第3独立戦闘航空団の団本部へ、そして団長室へと案内されて着任の申告を行った。
第3独立戦闘航空団の団長は推定20代後半の白人系米国籍女性であるマーベル・ホワイト大尉。ホワイト大尉は私よりやや背が高く、肩までかかる栗色の短髪のとても艶っぽい美人さんだ。そして、メリハリの効いたボンキュッボンの怪しからん肢体は、今は制服だけれど、パイロットスーツだったらどんなだろうと良からぬ想像をしてしまった。
私とパティは団本部で申告した後、そのままマーベル大尉に応接用ソファーに座るよう促された。
「さて、改めまして私があなた達の団長たるマーベル・ホワイト大尉よ。よろしくね」
「「はい、ホワイト団長。よろしくお願いします」」
すると、ホワイト団長は何が気にくわないのか、う〜んと少し考え込むと、私達に自らの呼び方を変更するよう要求した。
「硬いのよ、ホワイト団長なんて。マーベル団長って呼んでくれる?」
「「はい、マーベル団長」」
まあ、そうお望みとあらば。
「よろしい」
マーベル団長は私達がそう呼ぶと、大層気を良くしたようだった。
「じゃあ、私もあなた達をサクヤ、パティって呼ぶわね」
好きに呼んで貰って構いませんけど。フレンドリーな上官で良かった、のかな?
ここで私とパティは初めてこの第3独立戦闘航空団の詳しい概要についてマーベル団長から説明を受けた。それは、
・FA-v3から成る独立戦闘航空団は今回6隊の発隊となった
・第3独立戦闘航空団は中隊規模であり、12機のFA-v3で構成される
・機体は既に全機揃っており、パイロットも今日明日中に全員到着する予定
・明後日に発隊式を行い、約一ヶ月に渡りフンボルト海基地を根拠地として訓練を行う
・その後は艦は未定であるが空母に配備され、作戦行動に投入される
という内容だった。
そこで私は気になっていた隊編成や人員についてマーベル団長に尋ねた。
「辞令にもあったように、サクヤは第2小隊長よ。で、パティはその2番員ね。2小隊にはあと2人の隊員が就くのだけど、ちょっと慌しくて今は名簿が手元に無いのよ。だから、会ってからのお楽しみね」
マーベル団長はアメリカ西海岸サンフランシスコ出身だそう。だからか、明るくて大らか(大雑把?)で、好感が持てた。多分上手くやっていけそうだ。
「サクヤのXFA-v3の戦闘記録と報告書は読ませて貰ったわ。私達の第3独立戦闘航空団は、まだまだこれからの部隊だけど、サクヤがいてとても心強く思う。他の隊員達を上手くリードしてあげてね?二人とも期待してるわ」
「「はい、ご期待に添えるよう微力ながら頑張ります」」
「二人とも息もぴったりね。下がっていいわよ」
そう言ってマーベル団長は私とパティに退室を促した。
失礼しますと言って団長室を辞した私達は、通路で待機していた先程案内してくれた下士官に礼を言い、今度は団員の宿舎へと案内して貰った。
宿舎ではそれぞれの個室を確保し、今日のところは着替えて、夕食を摂り、早々に寝ることにした。
空調の効いた部屋でベットに横たわると、全身の疲れが四肢の指先からスーッと抜けて行くようだった。やっぱり、今日は何だかんだと緊張していたのかなと思う。
私は心地良い眠気で薄れていく意識の中、明日にでも会うであろう同僚や部下について、クセの無い人だといいなぁなどと思う内、いつしか眠りに着いていった。
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それでは次話「親友との再会①」にご期待ください。
「動けない時には、動かない勇気を」
SHINING STAR (ふたりはプリキュア)より




