第30話
次回更新は7月28日です。
無事戦闘も終わり、副団長達の活躍で冒険者達も助かり俺の心も痛まずに済んだ。少々怪我もしているようだが大丈夫だった。
「副団長強いな。さらりと助けてられるところがすごい」
「師匠!ジブリールは何でもできるよ」
王女様の言葉が混ざってる。丁寧かと思ったら男の子みたいな喋りだったり、子供のような話し方だったりする。相当ダメ教師が教えたのか?それとも誰かの話を盗み聞きしたのか?不思議だ。多分、偉い王女様を演じていたが本当はこっちの方が素なのかもな。
「副団長なら何でもできそうだな」
俺のミスの所為だしポーションくらいはやるか。馬車を降りて冒険者達のもとに行ってみた。
「怪我大丈夫か?ポーションならやるよ」
前に人にやったのより性能は落ちるが治りは良いぞ。
「え?良いんですか?助かります」
「俺はジーク、運が良かったな。ほい、ポーション直ぐ飲むといい」
副団長のお陰だな。ポーションを冒険者に投げた。
「ありがとう!ポーション貰ったよ飲もう」
喜んでもらえた。俺の罪悪感が軽減されるから感謝は要らないけどな。
「助かる、ありがとう」
可愛いお姉さんの感謝は気持ちいい。
「良かった、持ってたポーション使ってしまってたから助かるわ」
でっかい胸のお姉さんにも感謝された。目の前でぶるんって揺れてるぜ。
「感謝するぜ。俺たち本当に運が良かった」
「それじゃあ遠慮なく頂くか。ん?うわーっ!傷が消えた!」
傷が消えた?あれ?普通のポーションだったよなぁ?
「え?…わ、わ、私の傷が、うわああああーん傷が消えた!消えたよ〜!」
間違えた?やばい!さっき作った魔法書に書いてある強力なポーションと間違えた!
「ほ、ほ、ほ、本当に?」
「うん、うん、ひっく嬉しい!」
「あっ、あっ、ありがとう!君のお陰だ!」
リーダーの男の人に泣きながら感謝された。よく聞くと、お姉さんは仲間を庇って前に大怪我をして身体に醜い傷があったそうだ。普通の治療では傷を消す事ができないと言われたらしい。それで今まで結婚を断られていたようだ。幸せなそうに抱き合う2人がいる。仲間も祝福してた。やばい口止めだ!魔法書のポーション半端ねえ!
「ジーク!そのポーション私にも分けてくれ!お願いだ」
話を聞いてた副団長が、もの凄い勢いで迫って来た。怖いよ副団長!
「ぐっ!べ、べ、別いいよ。まだ残ってるから、それより手…放してくれ!」
胸ぐら掴むのはやめてくれ!苦しい。宙ぶらりんにされたぜ。
「ありがとう!ジーク。これであの人を幸せにできる」
おい、副団長まで泣くのかよ!よっぽど大切な人なんだろうな。このポーション凄いな。傷を治して肌つるつるになったと冒険者が言ってる。口止めしておいた方がいいな。
「ポーションの事だが、副団長にあげた物で最後だ!誰にも言わないでくれ。トラブルに巻き込まれたくない」
材料があったから偶々作ったがあの森の珍しい薬草だからな。考えてみればすげー高額ポーションになりそうだ。あはは、馬鹿だ俺!
「ジーク、もう無いのか?」
「無い、だから内緒にしてくれ」
「冒険者のお兄さん達も内緒にしてくれ」
「分かった、恩人に迷惑はかけないよ」
「そうそう、感謝してるわ。これで2人が幸せになれるわ、本当にありがとう」
焦れったい2人を、どうしたらいいか悩んでいたのが解消されたと喜んでいた。冒険者達は黙っててくれそうだ。副団長も内緒にしてくれると言われて安心していたが、後で後悔させられるとはこの時は思っていなかった。あの時ポーションを間違えなければ!と落ち込む事になるとは知らない俺は、耳付き姉妹やミアと早く暮らしたいなと呑気に考えていた。




