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閑話陛下の裏事情

ぼちぼち更新です。おかしな所もあるかも?うーん言葉表現は難しい。

我はこの国を治める王だ。突然愛する王妃と王女が病に倒れ滅多に見つからない薬草が必要だと分かった。

国中のギルドに依頼を出した。ひとつだけ残っていた薬草を使い危機は脱したが、予断を許さない状況に変わりはない。そんな時ライフラリー領を治めている伯爵が自分の伝手で薬草が見つかったと謁見を申し出て来た。本当か嘘か分からぬために会う事にした。そして、拒否できぬ我に最低な願いを言い募った。


「陛下、こう言うのは心苦しいのですが私も苦労してこの薬草を手に入れました。第一王女様を私の妻に頂けないでしょうか?」


王女には愛する婚約者がいる。無理だが薬草は欲しい。妻と娘は助けたい。


「しかし、王女には婚約者がいるので無理だ。他の物ならなんとかしよう」


伯爵の顔が醜く歪んだ。何を言うつもりか?


「王妃様と王女様の為に半分お渡します。半分で代金は白金貨3枚これ位掛かったのです。ひと月待ちましょう。良い答えを待っております陛下。これで失礼いたします」


そう言葉を残し伯爵は帰って行った。どうする?どちらかは確実に不幸になる。我はどうしたら助ける事ができるだろうか?半分の薬草では完治はできぬ。悩んだ我は王女と婚約者である騎士団長を呼び出した。


「お父様、お呼びと聞いて参りました」


心苦しい事を話さねばならない。王女の笑顔を消してしまうのか。


「うむ、もう少し待て騎士団長も来る」


婚約者である騎士団長にも是非を問わねばならぬ。来たか!


「陛下、お呼びにより参上いたしました」


2人似合いの夫婦になる筈だった。訳を聞けば、王女は母も妹も見捨てる事はできぬだろう。


「2人に話がある薬草が見つかった。だが対価を要求されたのだ」


輝くばかりの笑顔を見せる娘に酷な事を言わねばならぬとは。


「お父様!お母様とリディアは助かるのですね」


喜び合う2人に我の心が痛む。真実を言わねばなるまい。


「エリアル姫、良かったですね」


「待て話を聞いてくれぬか?薬を持って来た者が対価を、つまり王女であるエリアルを要求してきたのだ」


「「え!」」


2人の驚きの顔が絶望に染まる。まさかと思いたいだろう、我も思ったのだから。


「他の物では替えられぬと…すまぬ」


「……あっ」


婚約者から目をそらし娘は泣きながら部屋から出て行った。


「陛下!猶予はどの位でしょうか?私が薬を探して来ます」


最後の足掻きになるかもしれん。だが悲壮な顔した男を前に慰めなど言えぬ。


「ひと月だ。手掛かりはライフリーにある。必要量の半分の量で白金貨3枚掛かったそうだ。頼む見つけてくれぬか?娘の為に」


父としてこの男に最後の願いを託すしか術がない。


「命に替えましても探して参ります」


さっと、私に礼を取り急ぎ駆け出して行った。しかし信じられない事に、夕刻に薬を持って帰って来た騎士団長には驚いた。偶然にも薬を売った少年に会ったと言うのだ。取り急ぎ薬を貰って王城に届けに来たらしい。直ぐ王宮医師に薬を作らせ飲ませた。


「…エド?」


妻が目を覚ました。神よ感謝します。


「良かった。シャリアール」


王宮医師が状態を確かめている。


「陛下、もう大丈夫にございます。後は安静になされば数日で起き上がれるでしょう」


妻も助かり娘も無事回復した。隣の部屋で無事を喜びあっている。騎士団長に薬の事を詳しく聞かなくてはならない。お陰で娘を不幸にする事なく妻ともう一人の娘も助ける事ができた。そう思い隣の部屋に行き尋ねた。


「騎士団長詳しく教えてくれぬか?」


横を見ると騎士団長の隣に副団長であるジブリールがいる。また暴走したか?ジブリールに聞いた方が早い。そう思い顔を見ると説明を始めてくれたのだ。


「陛下、詳しい事は私がお話します。薬の対価に簡易契約をアルバートがして急ぎ戻りました。私はジーク少年に代金をギルドに入金する事を約束しております。」


「待て、簡易契約とは何を差し出した!」


「アルバートがなんでもすると少年の話も聞かず勝手に契約してしまったのです。それもですが陛下、少年から聞いた値段と違うのですが。ギルドに白金貨1枚と金貨500枚で売ったそうです。依頼で出した正規の値段で取り引きされています」


アルバート、娘のためにか。嬉しいが危険だ、どんな願いを言いだすか分からぬではないか?それに、ギルドに我が出した依頼が通っておる。伯爵め!我を謀りおった!


「調べねば成らぬな。ジブリール、そのジークと言う少年に会いたい」


礼ぐらい述べねばなるまいて。


「はい、探して参ります。代金は私がギルドに持って行きます」


後の事はジブリールに頼んでおく事にしよう。


「頼んだぞジブリール」


騎士団長であるアルバートに頼むより確かだろう。翌日執務室にジブリールからの使いが来て少年が見つかった。直ぐ連れて来ますと連絡が来ていた。貴賓室に案内する用に言伝部屋に騎士達を連れて向かった。しばらくするとジブリールが少年を連れて来たようだ。


「陛下、連れて来ました」


部屋を開けさせるとジブリールと共に少年が入って来た。一礼したまま私の言葉を待っている。


「面をあげよ。この者か?ジブリール」


「はい陛下、このジークが薬を譲ってくれました」


全員の視線が少年に向かった。ほう、屈強な精鋭騎士に見られても動じない少年とは珍しい。


「うむ、ジークとやら、助かった礼を言うぞ」


「お役に立てて光栄です。それでは失礼いたしました」


簡単な是事を言うとさっと帰ろうとした。


「え?それだけか?褒美は要らぬのか?」


普通なら王家の人間を助けたのだ、褒美を強請るのが当たり前にだろう。


「発言をお許し頂けるのでしたら一言だけ」


我の出来る範囲で礼をしよう。


「うむ、言うが良い」


少年が願いを言うので聞き漏らさぬよう構えていた。


「願いはひとつだけです。帰りたいので帰っていいですか?」


「「「「「「……は?」」」」」」


「それでは、御前失礼いたします」


皆驚いてた。そうだろう、帰りたいと願いを言いさっさとジブリールを連れて帰って行った。


「願いの内に入らん。あの少年に王都にある屋敷のひとつを贈ろう」


「少年も陛下のお心遣いに感謝するでしょう」


騎士達も賛成してくれている。なんと言っても妻と娘を救った恩人に変わりはない。この先また病気が出ないとも限らない。屋敷に囲い込むのも手のひとつになるだろう。あの様な目に遭うのはもう二度と嫌なのだ。薬草の在庫を増やしたいのだ。少年よ我の役に立ってくれる事を願うぞ。素生を調べねば成らぬな、影の物に調べさせよう。


「頼むぞ」


王家に仕える信用出来る一族だ。確かな情報を持って帰って来るだろう。少年に良い娘を紹介するのも良い。我の心の平穏を保つ為に。









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