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今日は二話投稿だー!〈パチパチパチ〉

こちらは一話目。


 レベルが25も上がっていた。

 俺のレベルが低いから、経験値の入りがいいのだろう。


 ポイントの割り振りは単純だ。

 1レベル毎に能力値に合計2点を振る。

 それからスキルに1点を三回振る。この時、スキルが重複してはならない。

 後は勝手に数値化される。


名前:グレン〈Lv26→51〉


トール:6

器用テュール:8→15

素早さ(ヘルモーズ):9→18

知力ロキ:21→30

精神ブラギ:15

特殊オーディン:34→59

生命ヴィーザル:10

フリッグ:8


〇魂:『フェンリル』『グレイプニル』『ダークピクシー』

〇スキル〈残り1〉:【回避】11→20【夜の帳(ダークネス)】12→20【全状態異常耐性フェンリル】15→30【回し蹴り(ベスト・キッド)】10→20【農民】11【装備設計】1【封印する縛鎖(グレイプニル)】10→20【血涙弾ブラッドバーン】1→10【言語〈古代〉】7→15【擬態】7→13


〇派生アーツ

 【緊急回避ウルフ・ステップ】【野生の勘(ウルフ・センス)】【闇芸えんかいげい】【???】【賢明さ故の勝利(テュール・テュール)】【希望ヴォーン】【神喰らい(オオカミ)】【正拳頭突き(ラビロケット)】【餅つき(ラビストンプ)】【誘う首紐(ゲルギャ)】【叫びの岩(ギョッル)】【栄養満点】【逃げ足(ステップバック)】【古代の読み書き】【トラップ看破】


 △副能力値


△装備重量:12

△ダメージ:+16

△武器命中:+18→25

△回避:+17→33

△装備設計:+29→38

△状態異常:+55→89

△異常耐性:+49→74


△体力:19→28

△疲労:24

△HP:23→39

△MP:71→105


 とりあえず、自分の弱点の克服と良いところを伸ばそうと能力値は特殊オーディンを中心に伸ばした。

 今後は動いてみて、能力値との兼ね合いを考えていくのがいいだろう。


 さて、煮込みたちには待たせて悪いが、派生アーツを見て行こう。

 目の前に居てくれるなら、意見も聞きやすいしな。


 【野生の勘(ウルフ・センス)

 敵の攻撃軌道が直感的に見える。

 あくまでも予測線なので注意が必要。


 ・彼は逃走者だ。他の群れに襲われることもある。そんな中で磨かれた勘は経験に裏打ちされた確かなものだ。


 【???】

 ???。


 ・面白くないから教えなーい! べ〜っだ!


 【希望ヴォーン

 射程︰20m 対価︰?? 

 今まで自分がフェンリルによって打ち消した状態異常を相手に与える水流を口から飛ばす。

 現在、『炎上』『感電』『魅了』『目眩し』


 ・裏切られた。これはいつか来るその時のための希望だ。与えられた仕打ちにいつか報いる。そのための怨嗟を川として流そう。


 【神喰らい(オオカミ)

 射程︰至近距離 対価︰体力50 

 貴方の中に私は顕現する。血肉を喰らい貴様を私の糧としよう。


 ・ついの時、私の役割、全てを飲み込み、終わる。大いなる者の子として役割を全うしよう。


 【餅つき(ラビストンプ)

 射程︰キック 対価︰MP5 

 キックバフ。あなたのキックに10秒間、『防具無視』の効果を与える。


 ・ぺったんこ〜。ぺったんこ〜。あの月を見ているとなんだか力が湧いてくる。

 しんとーけい? なにそれ? 


 【叫びの岩(ギョッル)

 射程︰ゲルギャ 対価︰MP5 

 『鈍重』〈確率Lv〉『行動不能』〈確率Lv〉をゲルギャに追加する。これは自動的に追加される。


 ・岩だ、巨大な岩に繋ごう。身動きが取れないように! 


 【逃げ足(ステップバック)

 対価︰MP3 

 あなたがバックステップした時、通常よりも3mほど長い距離を相手から取ることができる。


 ・敵だ! 離れよう! 


 【古代の読み書き】

 古代語の読み書きができるようになる。


 ・任せたまえ。伊達に研究を重ねて来た訳ではない。この文字は「私」で次は「空」だ。

 意味? それを研究するのが次の課題だろう。


 【トラップ看破】

 トラップを見た時、特殊オーディン基準でそれを看破する可能性がある。触れてはいけない部分が赤く光って見える。


 ・よく見ろ。俺にトラップがあるはずないだろう? 何しろ俺がトラップだからな! 




「ゐーっ! 〈ちょっと見てもらっていいか? 〉」


「いいの? 」


「わー、グレンさんってば、えっちですねー」


「ゐーっ! 〈なんでだよ! 〉」


「拝見いたしますピロ」


 俺はステータスを全員に見えるようにして、意見を求める。


「ゐーっ! 〈正直、ハテナってなんだよ、とは思うが、何か知っていることはあるか? 〉」


 ひと通り眺めた後、煮込みは大きくため息を吐いた。


「ふぅー。なんか大変そう…… 」


「ゐー? 〈何が? 〉」


「いきなりレベル上がり過ぎ。しばらく遺跡発掘調査に篭もって、身体を馴らさないと、大事な場面で転びそう! 」


 何故か煮込みが嬉しそうに言うのが気になるが、言っていることはもっともだ。

 レベルが上がるのは嬉しいが、認識と挙動の誤差を埋めておくのは必要そうだ。


「この【???】はダークピクシーの派生ですよね? 」


「ゐーっ! 〈ああ〉」


「でしたら、遊び心が足りないんじゃないですかー? 

 ピクシー系はひとつ前のスキル、この場合派生アーツの【闇芸えんかいげい】を使ってないと次のアーツが開かない場合があるんです。

 初期の頃はそういうのありましたねー。

 ウインドピクシーの派生アーツ【神風の術(パンツみせい)】を使わないでいたら、次の派生アーツが開かないとか、ありましたよー」


 ひでえ派生アーツだな。


「ゐーっ…… 〈ただ俺の【闇芸】は影が動くだけだしな…… 〉」


 戦闘で使う必要がないアーツなど、置き去りにされる運命だろう。


「影が動くピロ? そこのとこ詳しく教えて欲しいピロ」


「ゐーっ! 〈説明によると、他人の影を変形させたり操って遊ぶだけの派生アーツだな〉」


「つまり、僕の影に潜む『シノビ』系スキルと相性バツグンってことピロ!? ちょっと、ガチャ振ってくるピロ! 」


 ああ、そういう使い方があるのか。

 ムックはそそくさと行ってしまった。


「ゐーっ! 〈他はフェンリルから出た派生アーツだな〉」


「まーた、代償が分からないやつだ……。

 効果を見るとかなり強力っぽいから、使う時は気をつけないと…… 」


 煮込みが俺を心配そうに見る。

 正直、俺もそう思う。

 なんだったか……フェンリルの伝承から取っているんだろうが、【希望ヴォーン】なんてあったか? 

 口から水流? 

 ああ、ムックがいる間に聞いておけば良かった。後で調べてみるか。


「この【神喰らい(オオカミ)】も分からないですねー。効果もフレーバーテキストみたいですし、代価の体力50なんて、専門に能力値を割り振ってないと払えませんよー」


「ゐーっ! 〈俺の体力は28だしな。成長させるまでは使えないってことか〉」


「普通は体力消費の割り込み分はHPから削られるから、使えるは使えると思う。

 HPを消費するのは、勇気がいるけどね」


「そうですねー。戦闘中の回復はこのゲームだと時間を取られますからねー。でも、グレンさんなら、たぶん、やりますよねー」


「ドMだから! 」


 煮込みとサクヤが二人して噴き出すように笑う。

 勘弁してくれ。ちょっと自分が疑わしくなってきてるとこなんだ。


「ああ、それと【餅つき(ラビストンプ)】は『防具』無視なんで、気をつけて下さいね。

 『防具』と『防御能力』、『ダメージの肩代わり』なんかは全て別の物って扱いですから」


 そうなのか。そうなると少し扱い辛い気もするが、☆1のガチャ魂だし、そんなものかと納得しておく。


 未だに【言語】スキルで他者との意思疎通に大きな隔たりを感じるが、これはもう出ない気がしてきた。

 【古代語の読み書き】とかどこで使うんだよ……。


 結果として、煮込みたちと話すことで分かることもあれば、分からないままということもあったが、仲間とこういう話をするのも悪くない。

 あまり他人にスキルを見せるものではないらしいが、コイツらなら大丈夫だろう。


「あ、グレンさん、こんなところに! 」


 話しかけて来たのは、レオナだった。


「ゐーっ! 〈おう、レオナか。人事部の仕事はもういいのか? 〉」


「ええ、とりあえずは終わりです。

 それで、ですね…… 」


「ゐ? 〈なんだ改まって? 〉」


「今回、皆さんのお力で『ヒーロー打倒』を成し遂げたじゃないですか? それで…… 」


 俺はポンと手を打つ。

 なにやらレオナはもじもじとしているが、約束は約束だ。

 なんとか漕ぎ着けたい。


「ゐーっ! 〈紅茶だな! もちろん、忘れてないぞ! 〉」


 俺はホクホク顔でそう言った。黒の目出し帽で表情は見えないかもしれないが。


「あっ! は、はい! あの……えっと……今からでもいいですか? 」


「ゐーっ! 〈もちろん、俺はかまわないぞ〉」


「あ、はい。ええと……あっ! 煮込みさんとサクヤさんもよろしかったらいかがですか? 」


 おいおい、てっきり俺は紅茶が無くて断り文句を探しているのかと思ったが、そういう訳じゃないのか。

 矢継ぎ早に煮込みとサクヤを誘ったってことは……ああ、俺と二人きりじゃ周りの目もあるしな。


「おお、レオナっちの部屋? 行く行く! 」


「あら、お邪魔しちゃってよろしいんでしょうかー? 行きたいのはやまやまですけど、馬に蹴られたくはないですよー? 」


「ち、違います。そんなんじゃないですから、ぜひ、サクヤさんも…… 」


「うーん、では、今日のところはお言葉に甘えますー」


 レオナは、ホッと息を吐いて、頷いた。


「では、行きましょう! 」


 俺たちはレオナの部屋に向かった。




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