424〈銀の邂逅〉
浮遊都市は強力な空気の膜で包まれていて、気候を一定に保つ、もしくは操作する機能がある。
その空気の膜を真空にして張り巡らせると、音が漏れることはない。
だからだろうか、Bグループはロケット弾に戦車までを持ち出して来た。
榴弾の雨が降る。
味方の『遺伝子組み換え人間』が居ても関係ないとばかりに、辺り一面が火と血と泥に塗れた。
超能力が吹き荒れる。
銃弾を弾き返し、周囲の瓦礫が飛び、七色の光が飛び交う。
そんな中を俺は叫んでいた。
「DC! どこだ! いるんだろ!」
姿の見えない俺のテイムモンスター、ワータイガーの『DC』に呼び掛ける。
そんな目立つことをすれば、当然、良い的になる。
だが、今はアイツの力が必要だ。
銃弾の雨が俺に向かって来る。
最新型の鎧はかなり頑丈で、弾が抜けることもなければ、衝撃も半分くらいまで抑えられているのだと思う。
ただ、衝撃が半分というのは、吹き飛ばされないということではない。
必死に堪えても、足は一歩、二歩と後ろに下がらされる。
胸にくらえば、弾が抜けない分、衝撃は全て自分に来るので、倒れないようにするだけで精一杯だ。
「はあーっ! 我が剣のサビとなれ!
【退魔の剣】!」
駆け回る銀光が見える。
俺たちとは別種のプロテクターを身に纏う戦闘員が、プロテクターごと身体を斬られていた。
俺たち以外の戦闘員……外国のスパイグループか。
どうやら、どぶマウスの情報操作は上手くいったようだ。
しかも、『マギシルバー』を引きつけてくれるなんて、大殊勲だ。
正直、彼らの生死を心配している余裕は俺たちにはない。
上手く『マギシルバー』をパスして奥を目指す。
ここで叫ぶ訳にはいかない。
【狼人間】を起動して、銃弾の痣を消していく。
そういえば、と俺はレベル上げだけして、使っていなかった【狼人間】の派生アーツに思い至る。
【狼人間】の派生アーツは【力アップ】と【素早さアップ】とパッシヴスキルが続き、最後に【遠吠え】という音が聞こえる全員に『萎縮』という瞬間的な麻痺を与える、ミスを誘発させるスキルが入る。
『リアじゅー』のスキルは、スキル説明文が全てではない。
遠吠えならば、俺がただ叫ぶより遠くまで届くかもしれないと考え、俺は『マギシルバー』をやり過ごした後、そっとスキルを使うのだった。
「アオーーーーーーーーーンッ!!」
少し待ってみるも、反応はない。
無駄にMPを使ってしまった。
もしかすると、Bグループの研究所の建物内にいるのかもしれない。
今は意味がなさそうなので、先に進もうとする。
「待ていっ! 妙な音波で俺を惑わそうとしても無駄だ!」
どうやら逆効果だったようだ。
『マギシルバー』が剣を片手にこちらを睨んでいた。
『DC』を呼ぶつもりが、『マギシルバー』を呼び寄せてしまうなんて。
俺は後悔したのだった。




