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二話目です。まだの方は前話からお願いします。
名前:グレン〈Lv20→26〉
〇力:6
〇器用:5→8
〇素早さ:6→9
〇知力:15→21
〇精神:15
〇特殊:28→34
〇生命:10
〇運:8
〇魂:『フェンリル』『グレイプニル』『ダークピクシー』
〇スキル〈残り1〉:【回避】11【夜の帳】12【全状態異常耐性】15【回し蹴り】10【農民】5→11【装備設計】1【封印する縛鎖】10【血涙弾】1【言語〈古代〉】1→7【擬態】1→7
〇派生アーツ
【緊急回避】【闇芸】【賢明さ故の勝利】【正拳頭突き】【誘う首紐】【栄養満点】
△副能力値
△装備重量:12
△ダメージ:+16
△武器命中:+15→18
△回避:+11→17
△装備設計:+23→29
△状態異常:+43→55
△異常耐性:+43→49
△体力:16→19
△疲労:24
△HP:17→23
△MP:59→71
能力的には器用、素早さ、知力、特殊と上げて苦手な肉体系を補強しつつ、自分のスキルと噛み合う状態異常を上げた。
スキルは今後への期待を含めて【言語〈古代〉】と派生アーツを出すべく【擬態】、それから気になったので【農民】の派生アーツを出してみた。
【農民】からの派生アーツは【栄養満点】というもので、育てた植物の質が向上するというものだった。
俺の右腕は未だ無いので、帰りは他のメンバーに負担をかける形になってしまったが、そのことに言及すると、煮込みは興味深そうにモザイク処理された傷口をつつく。
「痛いシザ? 」
「ゐーっ! 〈いや、痛みはないな〉」
「ダメですよー。グレンさんにそれは御褒美ですからー」
「ゐーっ! 〈ちげーわ! 〉」
サクヤの言葉に即座に否定を重ねる。
どうも、サクヤは俺を誤解しているように感じるんだが……。
「さすがに部位欠損回復用のアイテムは持ってきてないので、もう少し我慢して下さいね」
レオナも俺のプレイスタイルをどうにか飲み込んだのか、あまり心配を口にしなくなった。
そうして秘密基地まで戻る。
レオナから買った部位欠損回復アイテムで右腕を再生させる。
お値段なんと1個2万マジカという超高額アイテムだ。
何故こんな高額アイテムになったかと言えば、まず死に戻りすると部位欠損が治るので、ほぼ需要がない。
更に素材が『静寂に漂う小島』のボスドロップを使うので量産できない。
そして、生産系スキル【薬師】の派生アーツがないと作れないと、三重苦でこの値段設定らしい。
一応、生産プレイ中心の【薬師】持ちは避けて通れないアイテムで、『部位欠損回復アイテム』は生産経験値はそれなりに美味しく、これを作ることで開くレシピがあるらしく、『りばりば』ではあと五つ在庫があるという話だった。
在庫から考えると、【薬師】って少ないのかと聞いてみると、【薬師】持ちは沢山いるが、育てているプレイヤーは少ないらしい。
「私も育ててはいないですねー。生産系は根気がいりますからー」
というサクヤは、能力値的にはバランス型の作りをしているらしい。
ちなみに、レオナは魂重視の生産型、煮込みは肉体重視の能力値割り振りをしている。
ムックもたぶん、肉体重視の戦闘型だよな。
とりあえず、あと二つ『部位欠損回復アイテム』を購入、普段はロッカー保管だな。
さらにレオナには今回のボスドロップを渡して『特殊弾』を頼むことにする。
「遺跡発掘調査の準備もいいけど、明日の準備はしないシザ? 」
「ゐーっ? ゐーっ! 〈明日? ああ、明日は『作戦行動』があるんだったか! 〉」
「そうですねー。復活石を上納して優先権を得たり、クエストをクリアして魔石や能力値を獲得しておくのも大事ですねー」
サクヤが教えてくれる。
サクヤもすっかり俺のアドバイザーだな。
「ゐーっ? 〈サクヤも明日の『作戦行動』は参加するのか? 〉」
その場合、桃色タイツなんだろうか?
「私も参加する予定シザ! 」
煮込みが割り込んでくる。
「ええ、さすがに作戦行動の時は『りばりば』戦闘員の黒タイツしか着られないですけど、参加しますよー」
「ゐーっ! 〈ああ、そうなのか! 〉」
「私も参加する予定シザ! 」
煮込みが手を挙げる。
「ゐーっ! 〈はいはい。分かった。分かった〉」
「むぅ……扱いがぞんざいシザ…… 」
「ゐーっ…… 〈いや、違うな。それだけ俺が煮込みのことを身近に感じているってことだ…… 〉」
「えっ……ま、まあ、そう言われたら、そんなに悪くは思えなくなってくるシザ…… 」
煮込みは一瞬、目を見開いて俺を見てから、急にモジモジし始めた。
チョロいな、煮込み。
それから頼もしきアドバイザーたちの指示を聞きつつ、復活石を上納、持っている素材を納品して魔石とマジカに交換、俺の所持金が約17万マジカになった。
「じゃあ、私は生産がありますからこれで。
グレンさん、また何かあれば気軽に声掛けて下さいね!
それと……こんど! あの、こんど貢献度が上がったら、こ、紅茶、ご馳走しますから! 頑張り、頑張ってくだ、くださいね…… 」
レオナはそう言って去っていった。
おお、ちゃんと聞いていてくれたっぽい。
にしても、やけにしどろもどろだな。
疲れてるのか?
だが、貢献度か……。
それはギルドレベルが上がるような貢献をしたらってことだよな。
『技術流入』『新素材発見』『ヒーロー打倒』『レギオンイベント上位入賞』だったか。
明日、レイド戦が予想されるからな。
一番近いのは『ヒーロー打倒』か。
ううむ……いち戦闘員の身では正直、荷が重いが、『紅茶』のためか……これは頑張らざるを得ないな。
「では、私もそろそろ一度、落ちますねー!
グレンさんはレベルも近いですし、良ければまた遊んでくださいねー」
そう言ってサクヤがフレンド登録を促してくるので、俺は快く受けておく。
見た目はソシャゲの戦国美少女武将だが、普通に常識人だしな。
俺を変態にしたがるのはちとアレだが……。
「んで、グレンはまだ遊ぶシザ? 」
「ゐーっ! 〈いや、後は自分の農地の育成を少しやったら、落ちるよ〉」
「あら、残念シザ。せっかくだから明日の壮行会に少し飲みたかったシザ」
煮込みが『食堂部』での飲みに誘ってくれるが、俺は丁重に断る。
楽しそうだけどな。従妹ももう寝てるだろうが、一応、日記は書いておかないと、ブーたれられるのが分かってるからな。
「また、今度付き合ってシザ! 」
「ゐーっ! 〈ああ、ありがとう! 〉」
ぶんぶんと大きく手を振って煮込みが去っていく。
言動と顔だけ見たら、子供なんだがな。
身体付きと年齢だけは大人らしい。
手早く『農地』で出来た『薬草』各種を手元のコンソールで収穫、さらに新しい『薬草』を植えていく。
そういえばボスドロップの『精霊樹の種』があったな。
これも植えられそうだから、植えておこう。
と、植えたのはいいんだが……収穫まで一週間掛かるのかよ……。
忘れないように心のメモ帳に書いておかないとな。
よし、ひととおりやるべき事は終わらせた。
後は、従妹に報告という名の日記を書いて寝よう。
明日はレギオン的一大イベント、『作戦行動』だからな。
俺はログアウトする。
携帯用リンクボードを立ち上げて、日記を書く。
普段よりも遅い時間だからな。
従妹に送信したが、やはり返事は来なかった。
俺は明日に備えて寝るのだった。




