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翌木曜日。
配信番組のニュースで、超能力者を名乗る人が取り上げられていた。
霊視ができる。透視ができる。手を触れずに物を動かせる。
どれも奇術レベルだが、取り上げられていた人が十人くらいいて、みんなここ数日で覚醒したとか言っていて、非常に胡散臭い。
ニュースでは超能力新時代の幕開けとか言っていた。
変な宗教だったりしたら怖いが、番組の仕込みの可能性もある。
まあ、本当に超能力新時代が来たら、面白いとは思うが、それはそれで格差社会や法整備が必要になりそうで、実現したら面倒くさそうという感想を抱いた。
何事もなく仕事が終わり、ログインする。
いつもの『大部屋』だ。
今日は仲間たちと第四フィールド『荒廃せし黄金の荒野』に素材集めに行く約束をしている。
ロッカーの修復に必要な『黄金』を集めに行くのだ。
何故、ロッカーに『黄金』? とは思うが、必要なのだから仕方がない。
とりあえず、フレンドに声を掛け、なるべく知り合いを連れて来てもらうことにして、大人数で第四フィールドで狩りをすることにした。
俺の牧場予定地が人で溢れた。
その数、約四百人。
マジで……?
あ、レオナに声掛けてたわ。あと煮込み。
その二人のフレンドが圧倒的に多い。
俺のチームはシシャモ、サクヤ、ミルク、オオミの五人。
シシャモとサクヤとオオミはフレンドが少ない。というかほぼ俺とフレンドが被っている。ミルクはムックのチームからあぶれたとかで俺のチームに入ることになった。
あぶれものチームだ。
場の仕切りはレオナに任せた。
「みなさん、チームは組めましたね!
それでは、今回の主催のグレンさんからひと言お願いします」
「ゐーっ!〈いや、俺が話しても仕方ない。レオナに任せるよ〉」
万が一にも核を落としたくないので、屋敷のインベントリに入れてきた。
「そういうわけにはいきませんよ。今回の主催はグレンさんなんですから!」
レオナに言われて、渋々、俺は皆に声を掛ける。
「ゐーっ!〈あー、主催のグレンだ。集まってくれてありがとう!〉」
素早くサクヤが横に立って、通訳をつとめた。如才無いな。
指笛がピュー、ピュー、鳴って、あちこちから歓声が上がる。
「ゐーっ!〈第四フィールドの狙いは黄金だ。他にトウモロコシの種とこの牧場か畑で育てられそうな幻想種がいれば、それなりの値段で買い取る予定なんで、帰りがけにでも持ってきてもらえると嬉しい〉」
「ボーナスありだぞ!」「育てるってことは生け捕り前提だよな?」「グレンファームの野菜セットくれ!」
「ゐーっ!〈それがいいなら、そうするくらいの野菜はある!〉」
「おお、マジか!」「今、入手困難だからな」「金欠だけど悩むなソレ……」
「ゐーっ!〈だが、第一目標はあくまで黄金だ。それを忘れないようにしてくれ〉」
それから、ひとつ息を大きく吸う。
「言祝ぐものなり!〈以上、各員の奮闘を期待する!〉」
「おっしゃー!」「行くぞー!」「狩り尽くしてやろうぜ!」「ありがたやー」「フィールドボスもウチらだけで行けそう!」「おお、フレンド登録しとこうぜ!」
ぞろぞろと移動する。
一度に四百人が動くのは、ラグナロクイベントで見慣れていたが、緊張感がない。
レクリエーション感覚だ。
それがたまらなく嬉しかったりする。
俺たちは『幕間の扉』へと踏み込んだ。
扉を潜れば、何故かすすきの原で目の前は黄金色だ。
扉は鳥居についていた。
「すぐに敵が来ることもありますから、注意ですよー」
四方を仲間に囲まれている今は警戒する意味もないけれどな。
「キツネー!」「せめて色と尻尾の数を確認しろ!」「茶狐一本!」
「第四フィールドだと狐系が多いみたいで、幻術注意だって聞きました」
前方での騒ぎを聞きつけてシシャモが説明してくれる。
「茶は炎、銀は雷、金は植物、白は魔力属性、尻尾の数は能力の高さを表していますのよ」
ゴスロリドレスで日傘をクルクルさせながら、ミルクが情報を追加してくれる。
さて、狐はどんな感じだろうと思う間にすすきの原を抜けた。
「何チームか来てくれ! 荒野の黄金を狙おう!」「すすきの洞に行くチームは?」「残りはサンク・ロマンザ山だ!」
人数が多いとエンカウントもひと苦労らしい。
俺たちは第四フィールドの二層目、サンク・ロマンザ山へと向かった。




