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できたてホヤホヤの二話目でございます。
三話目、いけるように祈っておくれ……_:(´ω`」 ∠):_
「行くぞ! はあっ!」
赤いラインが見えて、【逃げ足】で避けると同時に【夜の帳】を置いて来る。
「私は暗視持ちだ! 無意味だぞ!」
わざわざ教えてくれるのか。親切だな。
「それから、距離を取るのもいただけない。
散々、見せられたからな。電撃は自分を巻き込む形では撃てない。違うか?」
すぐに距離を詰められた。
撃てないのではなく撃ちたくないだが、撃たないならそれは彼女の言う通りかもしれない。
「怪人にしては肉体能力が低い!」
『マギサファイア』の回し蹴りを【ウサギ跳び】で避けて、着地前に【緊急回避】で場所変更するが、『マギサファイア』はすぐに方向を見極めると、また距離を詰めて来る。
「ゐーんぐっ!〈ちっ! ならばカウンター狙いだ〉」
大振りの爪パンチを腕で止められてからの【盾撃】を食らう。
態勢を崩され、それなりのダメージが入るが、【一刺し】が飛んでいる。
「ゐーんぐっ!〈毒で苦しめ!〉」
「痛っ! 分析より多彩だな!」
よし、入った。『毒』と『獄熱毒』をお見舞いだ。
「くっ……そうか、毒か……」
『マギサファイア』が膝をつくが、その顔は俺へと向けられ、未だ敵意を感じる。
「つっ……くあぁっ……【作られる道】」
それは『マギサファイア』と俺を繋ぐ一本の道だった。
周囲の全てがその道によって分かたれる。
『りばりば』側から放たれる銃弾は俺と『マギサファイア』、二人の延長線上を通ることができずに止まる。
また、『マギスター』側でも同じことが起きている。
見えない壁が俺たち二人を繋いで何ものをも通さない道となった。
何故、そこまで頑張れるのか。
俺たちと同じ、なのか……。
「私は……仲間を……守るっ!
くっ……【魔操撃】」
振り抜いた拳から悪鬼が放たれる。
一本道を作って、逃げ場を無くしてからのエネルギー攻撃か。
「ゐーんぐっ!〈ならば、上だ! 【飛翔】〉」
「捉えた……【魔操】」
目の前が赤に染まる。逃げ場がない。
悪鬼は俺を追って来た。
自分で放ったエネルギーを動かせるらしい。
「ゐーんぐっ……〈ぐはっ……〉」
悪鬼は俺の翼を引き裂いた。落ちる。
【トラップ設置】は間に合いそうにない。
この高さは死ねる高さだ。
「ゐーんぐっ!〈ただで死ねるかっ! 【満月蹴り】〉」
残った翼で少しでも浮力を稼いでから『満月弾』を放つ。
「「ぐふっ……〈ゐんぐっ……〉」」
俺の粒子化が始まる。『満月弾』の直撃を食らった『マギサファイア』に「700強」ダメージが入る。
少し足りなかったが、『マギサファイア』は『毒』で死ぬ。五秒か十秒程度の差だ。
だが、『マギサファイア』はその僅かな時間で立ち上がり、痛みを堪えるように『のりミノタウロス』を一発殴った。
『コーラブル』がそれを守るべく、『マギサファイア』へ突進。
『マギサファイア』は「ドールをっ……」と叫びながら、粒子化した。
外部刺激は痛くないんじゃないのか?
───死亡───
ヤキモキとしながらも戦況を眺める。
『マギスター』側の扉が開かれ、一人の戦闘員が走り込んで来る。
左手に変身用短杖、右手にアンプル入り注射器、押し付けて引き金を引くと注射ができるタイプのものだ。
右手を首筋に当てて、アンプル摂取。
左手の短杖で円を描く。
「……ったく、ちょっと遅れてログインしたらこれかよ。
そんなモノには頼らないって、負けてりゃ世話ねえぜ……なあ、聞いてるか、マギサファイア。
せいぜい感謝しろよ。変身!」
『マギブロンズ』だ。前とはやはりアバターが違う。
『マギブロンズ』が駆け出すと同時に、俺の意識が暗転した。
ジリジリとした二分半。
黒いモヤの大首領は、他人から不可視のモニターでも眺めているのか、時折、蠢いている。
「兵の補充はどうだ?」
───思ったよりは損失が少なく、新兵もどうにか間に合うかと───
「槍と銃か……せめてスキルのひとつも取らせてやりたいが……」
───さすがにそれだけの時間は……───
「ふむ……欲を言えばキリがないか……」
───申し訳ございません───
「いや、お前たちはよくやってくれている。
詮無きことを言った。赦せ……」
兵士は頭を下げる。
最初、千人単位で居た兵士のNPCドールはこの二日で百人ほど減っただろうか。
NPCドールは死んだら終わりだ。だが、プレイヤーが痛みに恐れを抱いた分だけ、NPCドールは死んでいる。
昼間の戦闘では気づかなかったが、敵のNPCドールだって相当数が死んでいるはずだ。
俺たちは常に決断をしなくてはいけない。
当たり前かもしれないが、『りばりば』と『マギスター』、どちらかのNPCドールはどう足掻いても全滅する。
覚悟が足りなかったか。
悪魔になる覚悟……。
このイベントを終わらせるために、ためらいは無用だ。
俺の天秤は既に傾いている。
復活と同時に俺は駆け出した。
勝つ。勝つんだ。
その為に、俺は悪魔になる。
「ゐーんぐっ!〈変身! 【飛翔】!〉」
俺の翼は知らぬ間に増えていた。




