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特撮VRMMOで戦闘員として暴れてみた  作者: 月乃 そうま


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「ゐーっ!〈【緊急回避(ウルフステップ)】!〉」


 バーン! 俺の居た場所に投げられた岩が突き刺さる。

 これ、食らったら一発アウトだろ。


「これ以上、邪魔をさせるか! 【青銅鎖ブロンズチェーン】」


 これも一発食らったらアウトじゃねえか!

 【逃げ足(ステップバック)】してどうにか回避する。


「私を無視するとはいい度胸ラス……【羽根ガラス】」


 『グラスカラス』の羽根がガラスナイフのようになって撃ち出される。


「ぐあっ! 邪魔をするなっ!」


 『マギブロンズ』が怒りと共に『グラスカラス』を睨みつける。

 おい、主目的が入れ替わってないか、ソレ……。

 怪人を倒すのに俺が邪魔だって言ってたよな?

 元々、思っていたが『マギブロンズ』は単純にアホだ。

 考えるより先に身体が動いてしまうようなタイプなのだろう。

 まあ、アホみたいなHPとそれを支える完全回復スキルが、単純さを補って余りある力を与えている。

 俺が喰らっ……破壊した右腕も、ばよえ〜んが破壊した骨格も、今では完全回復している。


 何かあるとしたら、もう一度、【神喰らい(オオカミ)】を使うしか……頭の中からアレを追い出す。


 何が嫌かと言えば、正直、アレを一瞬でも美味いと思ってしまったことだ。

 自身への嫌悪感で背中がゾワゾワする。


 ダメだ。もう【希望(ヴォーン)】で与えた状態異常は全て回復している。

 それなのに、嫌なイメージが俺の頭から離れない。


「【岩石砲】!」


「かぁーーラス!」


 岩の固まりと一緒に『グラスカラス』が吹っ飛んだ。


「待たせたな……焼き殺してやる……」


 『マギブロンズ』が俺へと走ってくる。

 狙われているならと俺は罠を設置する。


「もう罠など踏むか! とうっ! 【灼熱体(ブロンズフェニックス)】」


 青銅騎士自体が赤熱していく。

 ジャンプキックが迫る。


 俺はできたばかりの罠を自分から踏んだ。

 ビョンッ! 身体を丸めて、『マギブロンズ』のライン上から逃げた。

 着地はあまり上手くなかった。


「逃げるんじゃねえ!」


 『マギブロンズ』が俺を指さした姿勢のまま、槍に刺されて横移動して、ゴロゴロと変な体勢で転がった。


 中庭に植樹されている木が、バチバチと燃え上がる。

 迷惑な技だな。

 俺は【サーベルバンパー】とさらに罠設置を起動、設置自体のウエイトタイムは思いのほか短い。

 一度バレると普通の敵なら気をつける上、効果は星1スキル並だからだろう。


 適当に走りながら、罠設置を使いまくる。


 『マギブロンズ』は突立つ槍を必死に抜いていた。


「ゆ、許さないラス……私をバカにするのは、我慢ならないラス! 聴け! 【七つの子(パンザマスト)】」


「な、なんだ、この懐かしさは……」


 『マギブロンズ』があらぬ方向を見つめる。


「ゐーっ!〈ナイスだ、【満月蹴り(マナシュート)】!〉」


「そう何度も……そうか、昔はよくこうやってドッヂボールを……ぐあっ!」


「ゐーっ!〈俺は三角ベース派だ。【神喰らい(オオカミ)】!〉」


 腹を括って、喰らってやろうと思ったが、未だ『マギブロンズ』は赤熱中で、このまま近付くのは無理だ。

 水でもぶっかけて、冷ますか。


「ゐー……〈【きぼ(ヴォー)……】〉」


 くっ……ダメだ。完全にトラウマになりそうだ。


「ぬおおおおおっ!」


 俺が躊躇している間に『マギブロンズ』が走り込んで来た。

 パンチが俺の【サーベルバンパー】をへし折った。

 勢いに押される。


 慌てて俺は設置した罠のひとつに飛び込む。

 すーっ、と身体が横に移動して、『マギブロンズ』から距離を取る。


「ああ……アイツとも良くこうやってケンカを……」


 『マギブロンズ』が佇む。効果時間切れで『マギブロンズ』の赤熱が収まっていく。


「ぬあああっ!」


 『マギブロンズ』は怒ったように地面を叩いた。


「くそ、俺の郷愁を弄びやがって……」


 『魔力酔い』も剥がれた。


「ああ、なんなんだ、くそ! このモチモチ肌はああああああっ! ……はぁ……はぁ……イライラ……する……くそっ……」


 嫌がらせとしては最大クラスに効果を発揮したが、その分、ヘイトも溜まったようだ。


「【岩石砲】! 死ねや!」


「ゐーっ!〈死ぬかっ!〉」


 ビョンッ! バネ床で跳んで避ける。


「【羽根ガラス】ラス」「【移動射撃】【破滅の矢】【破壊衝動】スタ」


 俺が逃げている間に、『バリスタアーチャー』と『グラスカラス』がダメージを稼いでくれる。

 もう完全に獲物は俺だ。

 移動罠と移動スキルを駆使して、俺は反撃を諦めて逃げまくる。

 これだけ動いていると、【闇芸(えんかいげい)】を放つ隙間もない。

 あれはイメージが大事なスキルだからな。


「何度も何度も何度も何度も、邪魔しやがって! こんな動画、また封印じゃねえか!

 かっこ悪いとか、泥臭いとか言われて、俺の動画が出ないから、人気は下がる一方……戦闘員は戦闘員らしく、俺の引き立て役に徹しろ、くそが!」


 いや、知らねえよ! お前の戦い方の問題を俺に擦り付けないで欲しい。


「ゐーっ!〈ヘイト高過ぎー!〉」


 どうにか、ギリギリで攻撃を避けて、次の罠の位置を確認。

 やべ、遠い。

 スキルは……ウエイトタイム。


「いい加減に、潰れろ! 【岩石砲】!」


 か、回避を……。


───死亡───


 幽霊状態の俺は炎と煙の中にいた。

 マンション上部は大変なことになっていた。

 いや、これ復活したら死ぬやつだろ。

 最後の魔石はあるが、意味のない復活だ。

 俺は初めて復活を断念した。




「おお、肩パッドさん、かっこよかったぞ!」「お疲れ!」「すげーアクロバティックな動きじゃん!」


 他の『りばりば』戦闘員に混じって、大画面を見上げる。

 『マギブロンズ』は疲れ果てたように笑っていた。

 そこに『グラスカラス』の攻撃が放たれる。

 それを食らっても、まだ『マギブロンズ』は生きていて、ゆうらりと『グラスカラス』へと体勢を向けた。

 『マギブロンズ』が全身から光を放つ。

 俺の時間稼ぎは、『マギブロンズ』のウエイトタイムまで稼いでしまっていた。

 おそらく【神の血(イーコール)】を使ったのだろう。


 『大部屋』に続々と戦闘員が帰ってくる。

 応援していた戦闘員が労いの言葉をかける。


「やられたよ。復活位置が火の海になってた」「俺のところもだ」「狙ってたんならすげぇけど、完全に運が向こうに味方してたわ」


 大画面では『グラスカラス』が胴体のグラスを粉々にされて爆発。

 『バリスタアーチャー』は装填が終わらず、嬲り殺しだった。


 俺たちの負けだ。


 『バリスタアーチャー』だった戦闘員が帰ってくる。


「くわーっ、惜しかった! あと一歩って感じだったのに、すいませんでした!」


「いや、バリスタは強かったけど、時間掛かり過ぎたな」「なんか、あとひと押しで勝てたよな、惜しい」「お疲れ! マンジのとことだったら勝てたかもな。ユニーク持ちだったし……」


───レイド戦を終了します───


───戦争イベントのリザルトを算出します───


───『リヴァース・リバース』49対『マギスター』62───


 『マギクリスタ』10点に加点が1点。

 『マギスター』側は『バリスタアーチャー』10点に『グラスカラス』5点、加点が3点。


 確かに『マギスター』側の戦闘員の動きは良くなっていた。

 しかも、『マギブロンズ』は実質、戦闘員の援護なしで勝ちきった。


 俺たちは最初に『マギクリスタ』を倒した時点で、少し過信していたんじゃないだろうか。

 作戦の目的は成功だったが、その後の『マギブロンズ』への対処はお粗末だったと言わざるを得ない。


 今日はダメだ。

 俺は苦いものを抱えたまま、ログアウトした。



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― 新着の感想 ―
[一言] な、なぁに。 ブロンズさんは可能性と将来性の塊だから人気出るさ! そしてマギゴールドを超え限りなくマギカムイに近いマギゴッドへと進化を・・・ マギスチール]ω・)ニュッ マギゴースト]Д・…
[一言] ≫何が嫌かと言えば、正直、アレを一瞬でも美味いと思ってしまったことだ。 まあ、しょうがないのでわ?虫系は見た目があれだから忌避されてるけどおいしいらしいし、特に芋虫系はクリーミーというかそ…
[気になる点] さすがにパワーバランスが気になってきた。
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