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特撮VRMMOで戦闘員として暴れてみた  作者: 月乃 そうま


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警告。お食事時には見ないように!

警告したからね。では、どうぞ……。


 魔石が残り三個。

 部屋を飛び出した俺が見たのは、通路まで進出してきた、たった一人の『マギスター』戦闘員だった。


「負けねぇ……負けられねぇんだよ! 【手動連射(ラピッドファイア)】!」


「イーッ!」「イーッ!」「イーッ!」


 立て続けに三人の『りばりば』戦闘員がやられた。

 俺は飛び出したはいいものの、その制圧力に押されて、壁に張り付くしかない。


 気合い入ってんな。

 マガジン交換の隙を突いて、内階段に飛び込むと一階下へ。


 中庭廊下から見上げると一瞬だけやつの頭が見えた。

 射程ギリギリ。なるべく身体を外に乗り出すようにして。


「ゐーっ!〈【一刺し】!〉」


 『マギスター』戦闘員は下に落ちていった。


 あんまり、見ない方が良さそうだ。


 そう思って視線を移せば、またエレベーターが動いている。

 三回、落とされて懲りずに向かってくる精神状態が逆に怖くなるな。

 俺は慌てて上ボタンを押して、七階でエレベーターを止めることにした。

 脇に隠れる。


 チーン! 扉が開く時に『マギブロンズ』の声。


「【神の血(イーコール)】……むっ……」


 光が漏れる。


「どこかにいるな……」


 俺はエレベーターのすぐ脇で息を殺している。


「ふん、もう罠など掛からん! 【ジェットジャンプ】」


 エレベーターボックス内から大きく跳んで廊下まで、ひとっ飛びだ。


「どこだ!」


「ゐー……〈後ろだよ。【満月蹴り(マナシュート)】……〉」


「ぐあっ! なんだこれは……ブロンズスーツがもっちりと吸い付く……らっれ……くっ……めいれり……」


 酩酊な。ちなみに主目的はスキル使用不可状態だ。

 よろめくように『マギブロンズ』が振り向く。


「【がんれりほ……】あれ?」


 呂律が回らず、フラフラか。なら、遠慮なく。


「ゐーっ!〈【希望(ヴォーン)】【神喰らい(オオカミ)】!〉」


 俺の最強コンボだ。

 【サーベルバンパー】の奥から短剣が飛び出す。

 あがっ……ががが……。

 信号、これは単なる信号だ、と言い聞かせようとするが、無理だ。

 一瞬、動きが止まるのはどうしようもない。


 『炎上』『感電』『魅了』『目眩し』『昏倒』『方向誤認』『流血』『混乱』『神経毒』『氷結』『ショック状態』『精神操作』『魔力酔い』『弱毒』『胞子寄生』『暗闇』『聴覚麻痺』『蛆虫』


 随分と増えたな。それだけ酷い目にあってるということで、素直に喜べない。


 は、腹が減った……急がねば。


 俺は痛みによろよろと動く。狼頭に変貌した右腕を振るうも、『マギブロンズ』もよろめいていて、空振りになった。


「くっ……ころっ……」


 『マギブロンズ』の大振りなパンチ。

 それを右腕で受け止めつつ、噛み砕く。


───神・青銅の巨人(タロス)を喰らいました───


 ぬおっ、ユニーク持ちか!

 もちもちした噛みごたえ、中に何やらプチプチしたものが入っている。


「う、うれが……うぅぅぅ……」


 『マギブロンズ』のちぎれた腕先から、血と蛆虫がぼたぼたと落ちる。


 う、うえぇぇぇ……マジかよ……プチプチ食感……うえぇぇぇ……。


 吐き出したくとも、俺の意に反して狼頭は、はぐはぐと飲み込んでいく。


 喉の痛みと気持ち悪さで、俺は蹲る。

 最悪だ! もう二度と【希望(ヴォーン)】の後は喰わねえぞ!


「おれの、うれぇぇぇっ!」


 『マギブロンズ』のキックが俺を蹴り上げた。

 俺は七階の高さから落ちた。




 空が見える。ダメージは「500」点くらいあるが生きている。

 くっそ頑丈だわ、アイツ。

 まだ、HPは1000点以上残っている。

 たぶん、【神の血(イーコール)】というスキルが回復スキルだ。

 何が三流だよ……めちゃくちゃ一線級の戦力じゃねえか。

 あんなのどうすんだ。

 正直、一分じゃ上まで戻れない。

 能力値をざっと眺める。素早さ(ヘルモーズ)知力(ロキ)は低いが、他は軒並み平均的に育てている。

 特殊(オーディン)も育ててあるから、俺の状態異常はたいして保たない。


 そうなると、後は【神喰らい(オオカミ)】による部位破損狙いだが……プチプチ……。


 へ、へへ……震えが止まらねえ……。


 俺は空の蒼さに泣いた。


 暫くして、俺はどうにか立ち上がる。

 制限時間が過ぎて、能力値は元に戻った。

 【神喰らい(オオカミ)】による空腹感と【希望(ヴォーン)】による痛みだけが残っている。


 俺が立ち上がれたのは、ばよえ〜んの存在が大きい。

 そう、気づいたのだ。

 ばよえ〜んは部位破損スキル満載のスキル構成だ。

 俺が……プチ……いや、アレのトラウマから立ち直るには、まだ大きな時間が必要だ。

 つまり、ばよえ〜んなら『マギブロンズ』を倒せる可能性がある。


 俺は、ばよえ〜んの援護をすべく、立ち上がったのだ。


 ん? 外が騒がしい?


 マンションのエントランスから、外を眺める。


「ガイアー!」「くそ、鉢合わせた!」「ガイー!」「他のレギオンは?」「ガイアー!」「ブロンズじゃ勝てねぇ! 相手はクリスタを散々苦しめたやつだぞ!」


 俺は慌てて、エレベーターへと向かう。

 八階まで階段なんて、使ってられねぇ。

 多少の問題があろうと体力や疲労を温存した方がマシだ! はっ……!


 ……なるほど、愚直に『マギブロンズ』がエレベーターで上がって来る理由が分かった。

 ただのアホではなかったようだ。

 二基あるエレベーターの内、一基は『ショックアロー』による破損で動かない。

 俺は残りの一基で、八階まで上がる。

 『マギブロンズ』は状態異常を回復していて、部屋の前まで来ていた。


 モグラ叩き。そう言いたくなる。

 部屋の外にいた戦闘員は軒並みやられて、『マギブロンズ』を部屋に入れないために『りばりば』戦闘員が顔を出しては叩かれ、出しては叩かれしている。

 いっそ部屋に入れた方がマシな気がする。


 いつまでも見ている余裕はないので、俺は走った。


「ゐーっ!〈【夜の帳(ダークネス)】【餅つき(ラビストンプ)】【満月蹴り(マナシュート)】〉」


 遠距離スキル二連発。


 防具無視の「121」点ダメージ。

 一割近いダメージは無視できないよな。


「くっ、肩パッド! 【青銅鎖ブロンズチェーン】」


 『マギブロンズ』の左腕から放たれるチェーンと俺の満月弾(つきみだんご)が交錯する。

 鎖が俺に絡む。【サーベルバンパー】がダメージの肩代わりをしてへし折れる。

 さらに俺の身体を締め上げる。多段ヒットスキルか、これ。


 『マギブロンズ』に『もっちり』と『魔力酔い』は入ったが、俺の身体は鎖に締め上げられて分断された。


───死亡───


「離れるスタ! 【りんご抜き(アップルシュート)】【破滅の矢】【弱点撃ち(ウィークポイント)】」


 言われるままに隙間を開けた戦闘員たちの間を抜けて、槍が飛ぶ。


 ガッシュン!


 『マギブロンズ』が壁に縫いつけられる。

 「300」点近いダメージ。


「頼むスタ!」


「「「イーッ!」」」


「ぐうううぅぅぅあああぁぁぁっ!」


 『マギブロンズ』が左腕一本で槍を抜く。

 腹に穴が空いても関係なしか。


「くそ……まらかろ……」


 『マギブロンズ』が『魔力酔い』に苦しむ。

 その隙に戦闘員たちは次々と外に出ていく。


 俺も復活して、まずは外へと駆け出す。


「からばっどぉぉお!」


 『マギブロンズ』が腹から抜いた槍を俺に投げた。

 玄関前は狭くて避けられず、俺は胸に槍を刺されて死んだ。


───死亡───


 魔石の残りが一個になった。

 『ショックアロー』持ちの戦闘員たちが『バリスタアーチャー』の前に壁になって、光の矢を放つ。

 復活した俺は叫ぶ。


「ゐーっ!〈ばよえ〜ん、部位破損だ、部位破損を狙え!〉」


「くそ……肩パッドぉぉお!」


 『マギブロンズ』が他の戦闘員に目もくれずに俺を殺すために部屋へと踏み込んで来た。


 俺、そんなに恨まれることしてるか?



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― 新着の感想 ―
[一言] >中に何やらプチプチしたものが入っている。 カースマルツゥ
[一言] 通常の状態異常ならまだ許せるけど蛆虫を身体に植え付けてきて生食プチプチはエンガチョされちゃうレベルで引かれちゃうよw そんなのやられたら殺意抱かれても仕方ない気もしますね。全部サメの人が悪…
[一言] グレンさんはマギスターの、特にマギブロンズのように直情的な人たちからかなり恨まれてそうですねえ。 怪人でもない戦闘員だというのにマギハルコン、マギシルバー、その他ヒーローの方々を敗退させた…
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