126
───洗浄終了、回復します───
はたと目が覚める。
意識を失っていた?
『昏倒』だろうか。
オオミ班が『信楽焼の狸』を穴に落とすところだった。
───リヴァース・リバース、2ポイント───
「いえす!」「よっしゃー!」「気を抜くなよ!」
残り十五分。
俺たちは気を抜くことなく待ち構えた。
「グレンさん、大丈夫ですか?」
「ゐー……〈分からん……ただ、風がめちゃくちゃ痛い……〉」
レオナから手当てを受ける。
「蒲の穂でもまぶしとくミザ?」
「ゐー!〈部位破損回復薬を使うよ!〉」
上半身の皮膚と蠍尻尾を治す。お〜、いてぇ。
残り三分。
三人のサメ人間が海岸から上がって来たが、『信楽焼の狸』はなし。
野良戦闘員の経験値稼ぎの的になっていた。
「じゅう」「きゅう!」「はち!」
カウントダウンが始まる。
「さん!」「にぃ!」「いち!」
「「「ぜろ!!」」」
歓声が上がる。
───レギオンイベントを終了します───
───リザルトに移行します───
───リヴァース・リバース、2ポイント。
シャーク団、1ポイント。
リヴァース・リバースの勝利となります───
俺たちの勝ちだ。
その後、基地に戻った俺たちは大歓声に包まれた。
食堂部で宴会が開かれる。
「八億六千六百万マジカに!」
「「「かんぱーい!」」」
「レギオンレベルアップに!」
「「「かんぱーい!」」」
「りばりばの勝利に!」
「「「かんぱーい!」」」
くーっ! 効くな〜っ! 『魔女レモン酎ハイ』は!
ようやく俺の呑める酒ができたことに、俺は大変な満足を覚える。
「はーい、みんなちょっと聞いて!
幹部会から重大発表があります」
「よっ! レオナさん!」「なんだ?」「もしかして、また問題か?」
現在はレギオンイベント参加者だけではなく、ボランティア部隊も応援組も、関係ないやつも、全部費用はレギオン持ちってことでパーティー中だ。
そんな中での重大発表なら、それはレギオン全体に関わることだろう。
情報を持ってきたレオナが、小さく咳払いをする。
全員の視線が集まる。
「今回、シャーク団はたくさんの核を使用していましたが、そのほとんどが我々の物になることが決まりました」
「どういうことだ?」「個人の持ち物までは干渉できないだろ?」「マジかよ!」
会場がざわめく。
それをレオナはもう一度、咳払いして、全体を鎮めた。
「説明しますよ。
おそらくですが、あの大量の核は幹部である鮫島の持ち物でした。
それを他のメンバーに貸し出すために、シャーク団のものということにしていたのだと思います。
所有権がレギオンにあれば、貸し出したアイテムは確実にレギオンに戻ります。
アイテムドロップで喪失しない限りは、ですが。
シャーク団はある意味、鮫島のレギオンでしたから、レギオンのインベントリが鮫島のインベントリと同義だったのだと思われます。
鮫島が個人で貸したアイテムはどれだけ主張しても所有権が相手に移りますが、レギオンから貸し出したアイテムなら所有権はレギオンになります。
持ち逃げ防止策ですね。
シャーク団は勝つつもりだったようですし、勝ちさえすれば問題なかったはずですが、これが裏目に出たようです。
まあ、おかげで我々は核を二十個ほどいただけたということですが。
今回のアイテム類は課金アイテムと核だけでも、合計で二億マジカほどになるので、残りはマジカでレギオンに入ることになります。
課金アイテムと核は一部を除いて、戦闘員の皆さんで買えるようにします。
詳細は全員にメッセージでお送りしますので、後ほど確認してください。
幹部会からは以上です。
改めて、皆さん、お疲れ様でした!」
ぺこりとレオナが頭を下げる。
全員から拍手が起こる。
「うおー、マジかよ!」「課金アイテムもマジカで入手できるとか最高じゃん!」「俺と相性良さそうなコア買ったら怪人デビューかぁ」
実際にはコアは欲しい奴らで入札形式での取引になるらしい。
それでも、怪人やりたいやつはかなりいるだろうな。
レベルが足りててもコアがなくて怪人になれないやつは多い。
特に最大規模レギオンの『りばりば』としては、燻っている奴らに渡してやりたいところだろう。
たっぷり酔っ払って、知らない奴らと今回のことを大いに語り、俺は大満足でログアウトした。
明日はまた『作戦行動』がある。
そろそろ戦争イベントにも本腰を入れないとな。




