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占い師3

『大きく出たのう『神』の精霊。いや、今は混沌としていてなんと表現して良いかわからぬ存在じゃが、少なからず我らと同等と思って話すぞ?』

 セシリーが現れて話始めた。

『リエン様が消えると魔力お化けも消えてしまう。それは断言できるのかのう?』

「神の魔力を宿る者として言わせてもらうわ。これは本当よ。今こうしてリエンが残っているのは微かに残っている運命の魔力が本来起こる運命を遮っているだけで、それが無くなればリエンは消え、マオも消え、そしてこの世界も消えるわ」

 そんな事が……というか。



『リエン』って名前の影響すげーな。



「ちなみに運命の魔力の消費を抑える方法って無いの?」

「そうね。今貴方は運命的にあらゆる攻撃を避けれるようになっているけど、できる限り攻撃されないようにすることね。あとは運が絡む遊びもしないことね」

 なるほど。つまり運が絡む行動をできる限り避けるってことか。



「リエン、突然だけどじゃんけんしない?」


「話を聞いてたよねパムレ大好きお花畑お姫さま。今緊急時に運要素たっぷりのじゃんけんをすると思ってる?」


「冗談よ。これであっさりじゃんけんをしたらぶんなぐって説教をしてたわ」


「殴ったとしても運命的に防御するからね!?」



「あ」



 あ。じゃないよ!

 と、そんな話をしていた途中でキューレさんは『運命の切札』を使って何かを見ていた。

「不幸中の幸いと言っておこうかしら。貴方はフォルトナとも会っていて、運命の神とのつながりもできているから多少の無理はできるわ。それこそじゃんけんくらいは問題ないわ。でも油断はしない方が身のためね。そのためのその紙よ」

『斎藤 離縁』

 そう書かれた紙は微かに光っていた。

「その名前が消える前にマリーやカグヤに会い、そしてクロノを助けなさい。この助言こそ私が唯一『あいつ』に協力できる技だからね」

「あいつ?」 

 シャルロットの問いにキューレさんはゆっくりと答えた。

「『カンパネ』よ。あいつは私の同期で、性格は真逆の兄みたいな人よ。自分を犠牲にしてこの世界を存続させるため概念になり、そして今は復活したもののずっと苦しんでいる。唯一の支えであるこの世界まで壊れてしまえばカンパネはきっと崩れ落ちるでしょうね」

 そして一枚のカードを取り出した。それは何も描かれていないカードだった。

「さて、リエンの自分を探す旅についての助言は勝手にだけど私がしたわ。今度は私の願いを聞いてくれる?」

 え、無料じゃないんだ。

「ふふ、安心しなさい。そこそこ簡単なお願いよ」

「まあ、それなら」

「まずはこの『運命の切札』を預かっててほしいの。もしフォルトナに会えたら渡してちょうだい」

「それくらいなら。というかこれを使えば俺にも未来が分かるんじゃ?」

「それは……うーん、できなくは無いわね。でもおすすめはしないわ。カードに込められた内容の解釈は百年くらい経ってようやく理解できたから」

 それは無理だ。

「分かったわ。私達が預かるわ」

「ありがとう。あ、シャルロット、貴女の大叔母様と大叔父様によろしく伝えといてね。あの時はどうもーって」

 昔戦ったのだろう……ということは結構強いんだろうな。

「そしてもう一つ。これはマオにお願いしようかしら」

「……何?」



「私を消してちょうだい」



 一瞬、空気が凍った気がした。

「今、何て?」

「私を消して欲しいの。唯一微かに残った『神』の魔力も僅かで、残りは『悪魔』の魔力。人間と違って悪魔の精霊はいつ暴走するかわからないのよ。その前に私を消してほしいの」

「……どうしてマオが?」

「愚問よ。私を消すことができるのはこの世界で魔力お化けと名高い貴女くらいしかいないからよ」

「……まあ、それもそうか」

 なぜか納得するパムレ。いやいや、どうしてキューレさんが消えないといけないの?

「……フーリエとは訳が違う。キューレは神の魔力を持つ精霊であり今は悪魔でもある。これは存在するだけで世界が壊れるかもしれない」

「そうね。まあマオがそれを言うのも変な話だけど」

「……リエンとシャルロットとパティは小屋から出て行くと良い。ここからは『三大魔術師マオ』として仕事をする。できればあまり見られたくない」

「パムレちゃん……」

 シャルロットは寂しそうに名前を言って、そしてキューレさんを見た。

「なかなか貴女達の旅は遠くから眺めていて楽しかったわ。それこそシャムロエの世代から見ていて退屈はしなかったわね。まあ、音操人が生き返ったのは反則だと思うけどね」

 そして俺はシャルロットの肩に手を置いて小屋から出るように促した。

「キューレさん。最後に質問。君の兄の様な存在であるカンパネは、俺たちの味方なのかな?」

「少なくとも貴方達の敵にはならないわ。それこそ『女神』が万が一生き返ったとしても、カンパネは貴方達を全力で守るでしょうね」

 女神。度々出てくるその名称が今回は大きく印象に残った。

「そう……わかった」

 そう言って俺たちは小屋から出て行った。


 ☆


「シャルロットさん、元気を出してください」

 外に出てシャルロットは悲しげな表情をしていたからか、パティが声をかけた。

「ありがとうパティちゃん。なんだか腑に落ちないというか、別な方法であの人を助けることができたんじゃないかしらって思ってね。ほら、いつもの偶然で助かったみたいな感じで」

「うん……俺もそう思うよ」

 それほど関りは少なかった人……いや、精霊だとは言え、近くで消滅するという事実を知っておきながら何もできないのは凄く辛いな。

『む? 巨大な魔力反応じゃ。害は無いが反動に気をつけよ』

『多分魔力お化けー』

 セシリーとフェリーの忠告後、小屋が思いっきり光った。

 おそらくパムレ……いや、マオによる攻撃が始まったのだろう。

 俺はカードを眺め、そしてほんの少しの時間だけだったがキューレの淹れてくれたお茶の味を思い出して悲しみに



「……ごめん、失敗した。超聖術を使ったらキューレの悪魔の部分だけが見事に消し去って、神の部分だけ残っちゃった。その所為で世界に影響が出ないレベルで生存することが可能になっちゃった」



「パティちゃん。万が一ってこともあるからあの小屋に向って『ドラゴン・ブレス』を放つのよ。ビシッと決めるときに決まらないと靄が残る一方だからね」



「何言ってんの!? せっかく助かってるっぽいんだからやらなくていいよ!」



「えっとえっと、どうすれば良いですか? 放てば良いのですか?」



 やばいやばい。手から陣が出てるよ!

 と、小屋から人影が。

「やっぱりマオは規格外ね。正直私がどうなるかも占っていれば良かったわ」

 そう言って小屋からキューレさんが出てきた。見た目は少し変わって色白の白い髪のきれいなお姉さんだった。先ほどと少し雰囲気が違ってお姉さんという印象……。

「リエン? もしかしてああいう人が好み?」

「違う! いや、違……わないけどそれどころじゃないでしょ!」

「良かったです! えっとえっと、とりあえず抱き着いてみます!」

 そう言ってパティはキューレに抱き着いた。

「……元敵だったからマオとしては複雑」

「今は敵意なんて無いし、むしろ感謝している。大きな貸しにしてあげるから」

 何はともあれ良かったと言うべきかな。


 ☆


 ということで色々あったけど次の目的地も分かり、色々と荷造りのためにミッドガルフ貿易国の寒がり店主の休憩所へ到着。そして。



「……『フーリエ』。リエンがあの『サイトウ』だったということを隠してた罪は大きい。『マオ』の持つ権力を駆使して寒がり店主の休憩所の経営を圧迫させる」

「ままままってくださいパムレ様! ヤバイですリエン! ワタチの本名を人前で呼び、パムレ様の一人称が『マオ』と言っている辺り本気です! 完全にここのお手伝いを抜け出したことに対してどんな罪を償わせようかと考えていた矢先、まさかのこっちが不利状況となってしまいました!」」

 これほど殺意むき出しのパムレは久々に見たな―。

「というか母さんは俺の本名を知ってたの? まあそもそも本名とか転生とか言われても前世の記憶が無い俺にとってはただ複雑な思いになるだけなんだけど」

「母親を舐めないでください。ワタチはリエンの全てを知っていると言っても過言ではありません。リエンが地球で有名な学者だったというのも知っており、転生後にワタチの所へ来ることも知っていました」



「……つまり知ってて今まで隠していたと。これはもうフーリエのお店の経営を破綻させるしか無いね」



 それをされると俺も間接的に困るんだけど!

「ちなみにパムレちゃんにとってその『サイトウ』って人はどんな人なの?」

 そのシャルロットの問いにパムレは少し考えて答えた。



「……お父さん的な存在? ん、ということでリエンは実質パムレのお父さんだね。おとーさーん」



「リエン。ツラ貸しなさい。その辺のいい感じの木の棒で顔面殴ってあげる」



「ふざけんなよ! 三大魔術師の娘に元三大魔術師の親ってすげー惨めじゃん! パティ! シャルロットの手をにぎにぎするんだ!」



「は、はい! にぎにぎ!」



「特別に許すわ……でも……この憎しみはどこに投げれば……」



 シャルロットは本当に単純である。でも今回はいつもより怒りレベルが高いのかな?

「……まあ転生云々もあってリエンが『サイトウ』と同一人物かと言われるとなかなか難しい問題となるし、この話題は保留にしよ。今はキューレに言われた通りマリー達に会おう」

「マリー様に会うのですね。じゃあ先に連絡だけしておきますね」

 こういう時の母さんは便利である。あ、いやいや、母親を道具みたいに思うとは人として失格だな。あ。


「ついでに『ミルダ母さん』にも会うって言っておいて」

「わかりました。ミルダには長期出張に出てもらいましょう」



 おおー、母さんの目が本気だ。というか母さんにミルダさんの予定を動かす権力でも持っているの!?

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[一言] 流石主人公( ˘ω˘ ) 名実共に最重要人物に( ˘ω˘ )
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