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人形の少女との再会

 水筒に食料。色々と鞄に詰め込んでいざ出発した俺たちは、ここから西へと向かった。

 フェリーが元々住んでいた場所である『砂の地』へは今回自分たちだけで行くことになった。そこへ行く馬車を持つ商人が今回見つからなかったからである。

「まあ盗賊が住む町だし当然よね。行くって言った商人は完全に闇商売している人だし、仕方が無いわね」

「それもそうか。こっそり聞けば行けたかも?」

「あはは……リエンさんもシャルロットさんも悪い顔してます」

 という事で三人で荷物を分担しつつ、パティには『犬』に乗ってもらった。

「えっと、ワタシだけ楽をして良いのですか?」

「可愛いから良いのよ」

 全然理由になってないような。

 本当の理由は俺かシャルロットが怪我をした時に入れ替われるように体力の温存という感じである。

 怪我をしなければそのままでいいし、俺としては(年上だけど)小さい女の子をテケテケと歩かせるのはちょっと気が引けてしまう。

『魔力お化けは歩かせてたがのう』

「パムレは歩いているフリをしているだけで自力で浮いてたからね。精霊ズが『魔力お化け』と言うように俺から見てもパムレは規格外だよ」

 と、そんなワイワイと笑いあいながら歩く事『五時間』。



「いや、結構辛い!」



 五時間って何だよ!

「えっと、変わりますか?」

「だい、じょう、ぶ」

「全く格好つけちゃって。おんぶしようか?」

「もしそうなったら俺は男としての何かを失う事になるから断固拒否する!」

「でも確か一回抱っこしたことあったわよね?」

「ぬああああああ!」

 ひょいっと持ち上げられたことがあった。あまりにもあっさりと持ち上げられたから脳が追い付かなかったけど、徐々に恥ずかしさが込み上げて来た。

 疲れの原因は長時間の移動もだけど、砂の地に近づくにつれて足場が悪くなっていた。主に砂に変わっていき、上手く踏ん張れない。

「そうだ。セシリーとフェリーに運んでもらおう」

『リエン様よ。魔力お化けを持った時の事を忘れたか? あ奴の体重でギリギリじゃぞ?』

『両耳から悲鳴が飛び交う状態で旅をすることになるよー?』

 うん、それは嫌だな。

「まあそう言っているうちにほら、小さな小屋が見えてきたわよ」

 と、広い砂地が続く中、一つだけ小さな家があった。


 ☆


「お疲れ様でした。もう少しで砂の地の集落ですよー」

 そう言って母さんは水を出してくれた。

「そう言えばここに店主殿の小屋があったわね。あれ、確かセシリーちゃんの氷の家だったと思ったんだけど」

「この猛暑の砂の地でセシリー様が遠くに行ったら、精霊術で作った氷でもさすがに溶けちゃいますよ」

 まあ、氷だもんな。

「あれ、人形の女の子は?」

「ペシア様は現在砂の地にある家の掃除をしています。色々と話し合った結果、砂の地に寒がり店主の休憩所を置くことにしました」

「完全に乗っ取りじゃん」

「人聞きが悪いですね。ペシア様の体では人形店を営むのは困難なので協力関係になったのですよ」

 うわー。凄く怪しい笑みを浮かべているよ。

「リエンさん、ペシアさんっていうのは?」

 と、パティが俺の服をツンツンと引っ張って質問してきた。

「元人間の女の子で、今は人形になった女の子で、前にお世話になったんだ」

 と言っても『創造の編み棒』を探しに来て出会っただけなんだけどね。

「ペシア様はリエン達に会えるのを楽しみにしてますよ。夕方には戻って来るので来たら話し相手になってください」

「ということでシャルロット。膝上に乗せる少女が増えて良かったね」

 と、シャルロットに目を向けると。



「あ、う、うん。良かった」



 え、すっげーテンション低いんだけど。

「違うのリエン。その、ペシアちゃんって……中身は人間だけど人形だからちょっと怖いのよね」

 あー、実際最初に会った時はお化けだと思ったもんね。

「空腹の小悪魔と比べたら余裕でしょ」

「店主殿の出す空腹の小悪魔はちょっと可愛いじゃん?」



「「どこが(ですか)?」」



 まさかのパティも反応しちゃったよ。

 と、そんな話をしていたら扉が開いた。

『ただいま戻りましたー。ふう、砂埃が酷くて……あ! リエンさんにシャルロットさん!』

 ピューと飛んでくるペシアさん。うん? 声は聞き覚えあるけどちょっと姿変わった?

 今は緑色の髪に白い肌。見た目こそ小さいけど人形というよりもセシリーやフェリーにちょっと近いような。



「あ、言い忘れてました。『悪魔の技術を超駆使して人間っぽい感触の素材をふんだんに使用してペシア様の依り代を作りました』」

「人間っぽい感触の素材って人間使ってない!? 大丈夫!?」

 三大魔術師を抜けてから母さんってやりたい放題じゃない?

「これなら可愛いわね! 久しぶりペシアちゃん!」

『はい! シャルロットさんもお元気そうですね。その節はお世話になりました! それと……』

 ペシアはパティを見た。


『立派な角ですね……これは良い編み棒に……は! その、初めまして!』

「ワタシこれからこの人形さんに狩られるの!?」

 驚いて俺の後ろに隠れるパティ。



「リエン。パティちゃんはどうしていつも貴方の背中に隠れるのかしら」

「俺これからこの怖いお姫様に狩られるんじゃないかな!」



 まったく。地味に気が付いてたけどパティって俺を呼ぶとき服をツンツンと引っ張るんだけど、その都度シャルロットが恐ろしい顔で俺を睨むんだよね。

「パティ、とりあえずシャルロットに抱き着いてみて」

「へ? えっと……わー」

 ぎゅっとシャルロットに抱き着くパティ。



「リエン。今までの事は全て水に流してあげるわ」



 俺の罪は軽いな。

『今回はマオさんはいないのですね』

「ああ、色々と忙しいみたい。外に向って大声で『パムレットの新作作っちゃったー』とか叫べば来るんじゃない?」

『そうなんですか?』

 そう言ってペシアは扉を開けて外に向って大きな口を開いた。まさか……。



『パムレットの新作ができたみたいですうううううう』



 本当に叫んじゃったよ。まあパムレは忙しいしそう簡単に



 ばあああああああああああああああああああああああああああああんん!



 ☆


「いや、本当に来るなよ」

「……偶然近くを通りかかっただけ。というか口の中まだ砂だらけ。ぺっぺっ」

『あうう、すみません。軽率に三大魔術師を呼んでしまいました』

 本当にそうだよ。まあパムレが簡単に来ちゃうのも問題だと思うんだけど。

 ちなみに母さんとシャルロットとセシリーとフェリーは外でパムレが空けた大穴を元に戻していた。主にスコップでならしているだけである。


「……で、新作パムレットは?」


 目をギラギラと輝かせてパティを見る。


「え、あ、その……まだ」

「……この罪はミルダ大陸が三度消えるほど重い。リエン、覚悟はできてる?」


 俺の所為じゃ無いよ! ペシアが叫んだんだよ!

 と、そこへ母さん登場。

「望むところです! ワタチがその三回崩壊するほどの攻撃を守って見せましょう! 多分この宿屋以外は消えますがリエンがいればとりあえず良いでしょう!」

「良く無いよ! 簡単に大陸崩壊できる二人はちょっと落ち着いてもらって良いかな!」

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[一言] >俺の罪は軽いな。 wwww
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