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原初の魔力の対の魔力

 ガラン王国城下町の公園に到着。

 外は暗く、俺が魔術で火を出して辺りを照らさないと見えない。

「この辺で良いでしょう。実は少し気になったことがあったのです」

 何だろう?

「その前にその火を消してもらっても良いですか?」

 火を?

 とりあえず辺りを照らしていた火を消す。


 次の瞬間。


 シュッ!


「っと!」


 シュッ! シュッ!


「わっ! え、何!?」


 突然何か棒のようなものが俺を襲ってきた。

 だが姿かたちは見えない。もしかして『認識阻害』を使った不意打ち!?


「すみません。ちょっと確かめたかったのです」


 再度手に火を灯し照らすと、目の前には木の棒を持ったパティが立っていた。認識阻害を解除したようだ。

「何のつもり!?」

「すみません! 誤解しないでください!」


 誤解?



「ワタシは本気でリエンさんを殴ろうとしただけです!」



「どこに誤解する要素ある!? それこそ俺が考えている内容そのままなんだけど!?」



「間違えました! いえ、間違ってませんが、誤解です!」



 慌てているパティ。一体どういうこと?

「えっと、リエンさんは『原初の魔力』を知ってますか?」

「原初の……魔力……」

「はい。この世界を作ったとされる五つの魔力。『神』『鉱石』『音』『光』『時間』。これらは特別な魔力であり、そしてそれぞれには神様が存在します」

 そう。そして……。



「『鉱石』の神様は立派なチャーハン職人に生まれ変わったけどね」



「そう。チャーハン……え!? 何ですかそれ!?」



 驚くパティ。うん、俺も信じられないもん。

「原初の魔力に関してはちょっと前に色々と関わったから知ってるつもりだよ」

「何故もっと早く言ってくれないのですか! 知ってたら真剣に話さなかったですよ!」

 勝手に始めたのパティじゃん。

「ちなみに不真面目に原初の魔力を解説するとどうなるの?」



「『なんか世界を作った五個の魔力がありました。終わり』」



 いやいや、終わっちゃったよ!

 結局何が言いたいのさ!

「ワタシが話したいのは原初の魔力ではなく、その後に出てきた魔力です」

「その後に出てきた魔力?」

 それって……。

「その表情だと少しは知ってるみたいですね。そうです。『運命』や『望遠』などの魔力についてです」

 まさかパティの口からその言葉が出るとは思わなかった。

「ワタシの予想ではリエンさんは『運命』の魔力を多少なりとも持っている可能性はあります」

「え」

 運命の魔力を?

「その証拠に先ほどワタシの攻撃を全部避けました。認識阻害を使っても避けるなんて、よほどの強者か運命の魔力の持ち主以外考えられません!」



「俺がその『よほどの強者』という可能性は?」



「え、ですから『運命』の魔力を」



「俺剣術頑張ってる! もしかしたらよほどの強者かもしれないじゃん!」



「ええ!? ちょ、リエンさん、目に涙を浮かべないでください!」



 そりゃ泣くよ!

 今までも『なぜか』俺に襲い掛かる攻撃を偶然受け止めたりできてたし、変だなーとは思ってたけど、それが魔力の影響だなんて信じたくないよ!

 空き時間にシャルロットから色々と剣術を教えてもらってる身としてはやっぱり強くなってるって思いたいじゃん!

「も……もしかしたらリエンさんの実力かもしれませんが、とりあえず話が進まないのであきらめてください! そもそも火と氷の精霊と契約しているだけでもかなりの実力者なのですから、それ以上は欲張りだと思いますよ!」

 すげー悔しいけど、精霊と契約していることに関しては納得せざるを得ない。

「ん? そもそもパティって魔術や魔力に関して結構詳しいの?」

「ふう、ようやく本題に入れますね。実はワタシはその特別な魔力の中の一つ、『龍』の魔力を持っています」

 龍……? いや、『龍族』って言うくらいだし、精霊とは別の何かはあるとは思っていたけど。

「『龍族』の魔力は原初の魔力『神』の対となる魔力。そして、ワタシ以外の同族は全て消されてしまいました」

「消された?」

「はい。おかしいと思いませんか? 『龍族』という言葉だけが残っていて、ワタシ以外は存在しない。運命や望遠などの魔力はどこかにあるのに、存在がほぼ残っていない」

 そう言われてみれば……まあ。

「ワタシは自分と同族……あわよくば両親や友達を探すために身を隠して旅に出ていました」

 そんな事情があったのか。

「まさかパムレットを作ったのって、パティの同族がミルダ大陸にいたときの暗号か何かなのかな!」

 大陸全土に広まるパムレット。もしその名前や料理内容にメッセージが隠されているのであれば合点がいく。



「あ、それは偶然です。お世話になったパン屋さんと一緒に作ったら偶然すっごくおいしいお菓子ができちゃいました」

「俺の全力の推理をサラッと流さないでくれる!?」



 真顔で言ったのが恥ずかしくなってきたよ!

「ともあれ、リエンさんは自分探しの旅へ。ワタシは自分の同族を探すために大陸を歩いている。同じ目的を持っているのでここは協力をしませんか?」

 パティは俺に手を差し出した。

「ま、まあ、断る理由は特にないし、人が増えればその分手がかりを見つけやすくなるしね」

 そう言って俺はパティと握手をした。



「良かったー! 魔術研究所の(元)館長の息子さんなら今までより数倍手がかりを見つけやすくなるので、正直助かります!」

「俺よりも母さん狙いかよ!」

「半分冗談です! 運命の魔力を宿している可能性があるので、一歩どころか百歩前進という気分ですね!」



 幼い顔をして口だけは上手である。

「じゃあ一緒に旅をする中で一つ約束事があるからそれをまずは守ってもらおうかな」

「約束事ですか?」


 ☆


「やばいわねリエン。パムレちゃんのような小っちゃい女の子も良かったけど、角の生えた小っちゃい女の子を抱っこして寝るなんて幸せ過ぎるわ」

「ちょ! シャルロットさん!? ち……力強!? え、出れない!」

 俺のお仕置き薬で気を失ってたシャルロットが目覚めた直後、パティを横に寝かせてみたら目にも止まらぬ速さで抱き着いて頬ずりをし始めた。

 今まで見たことなかったけど、もしかしてパムレってこれを毎回やられてたの? あんなにほっぺたをグリグリと押し付けられたらそりゃ辛いよね。

「理由は後程ゆっくり話すとして、パティもこれから一緒に旅をすることになったから、シャルロットの抱き枕役はパティに決定だね」

「ええ!?」

「本当に!? パムレちゃんがいないから、店主殿にお願いをして『空腹の小悪魔』を出してもらおうかと思ったけど、パティちゃんなら文句なしだわ!」

「ワタシの意思は!?」

 空腹の小悪魔を抱き枕にする一国の姫とか想像したくないよ。

「まあもう良い時間だし俺はそろそろ寝るよ」

「はーい。パティちゃん、今日は一緒に寝ましょうね」

「うう……まさか長年生きてきて抱き枕になる日が来るとは」

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[一言] 空腹の小悪魔でもいいんだ!?www
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