最終回・俺の料理。
長く間が空いてしまいましたが、一先ずこれにて最終回。
君はどんなモノを食した事があるか。
必要以上に身分不相応な山海の珍味を食したか。
或いはまだ見ぬ未経験の味に驚愕したか。
人はモノを食い生きる。
ただそれだけの為に生きて何時か死ぬ。
ただそれだけの為に食べるのだ。
お読みの諸兄は、どのような料理を作れるだろうか。
和、中、仏、伊……ああ、独に露も有るか。但し、英となると複雑である。先ずイギリス料理の代表格からして曖昧である。フィッシュ&チップスは屋台料理の延長であって、大阪を代表する料理をタコ焼きだと関東の人間が言って「違う!」と反論されるようなものだが。つまり、良く判らないんですが。
突然、何を書き出したのかと思われるだろうが、つまり日本人程、節操無く多国籍の料理を取り入れる国は稀有だと言う事なんですよ、ええ。
まあ、見てみてくださいな。
和はさておき、中華を筆頭に出るわ出るわ各国様々な料理の数々……スーパーのお惣菜コーナーをみてごらんなさいな? 半分は煮物などの和食だとしても、それ以外の大半は中華にイタリアン、ポトフはヨーロッパかな? スコッチエッグってイギリス発祥なのか判りませんが、ダッタン人が馬肉を鞍に吊るして運んだのが由来と言われるハンバーグに韓国のキムチ……種類も豊富なら、国籍も豊富……。
でも、伝統的な郷土料理だって有りますからね。それらが一同に揃っている日本のお惣菜って、世界一だと思いませんか?
そして……気付かぬ内に我々は様々な料理を当たり前のように作り、当たり前のように食しているんです。ホントすげー。
でも、やっぱり作り慣れた家庭の味に、結局は戻る訳で。最終回はそんな料理をご紹介。
稲村某の実家では、一風変わったサラダが供されていました。
大根を細く千切りにし、同じ太さに刻んだ揚げジャガイモを同量作り、大根に載せてカイワレ大根をあしらったら胡麻油ベースの辛めな中華ドレッシングを回し掛けて出来上がり。
名前はありません。せいぜい【はりはりサラダ】みたいな呼び方してました。でも、旨かった。
サクサクとした歯応えと、シャキシャキとした食感。唐辛子の舌に残るピリッとした刺激と、胡麻油でほんのりと残る香り。
栄養素的に何がどーとか言うモノじゃあ、有りませんが、旨けりゃいいんです。子供の頃の好物でしたが……今の我が家では「わざわざ揚げるのが面倒!!」と一度も作った事は有りません。懐かしいですが、幻の味。ちなみにドレッシングは絶版になった某キューピーの中華ドレッシング。辛味が強くて人気無かったんですが、コイツには他のモノじゃあ、違うんですよね。
自慢のラザニア。
以前、あるアニメをエッセイで取り上げた際、作中にラザニアが出てくる話だったので感想欄がラザニアだらけになりましたが、実際に作った方は意外と少なかったようです。
況してや自作する方は更に少なく、余り家庭の味とは言えないかもしれませんが、稲村某の得意料理だったりします。
材料なんて難しくありません。気に入ったミートソースのパウチととろけるチーズ、小麦粉にバターかサラダ油を入れてホワイトソースを作り、春巻きの皮を間に挟みながら段々に入れてチーズを掛けてパン粉を散らし、オーブンかグリルで焼くだけ。
所要時間は三十分。凝った料理より手間はかからず、それでいてボリューミー。チーズとミートソースの絶妙な味わい、そして春巻きの皮がパスタのようになりながらホワイトソースと良く合いまして、味にうるさい我が家の娘も「これだけは食べてもいい」と残さず食べます。ちゅーかこれしか文句言わず喰う料理が無いんですよ……とほほ。あ、詳しいレシピは過去に書いた【全身義体と疾風娘】って作品の一番最後に書いてあります(写真付き)。何気に宣伝しときます。
……と、短いご紹介でしたが、ひとまずこれにてお仕舞いです。
まだまだ書き足りないし紹介したい料理も御座いますが、腹八分目が丁度良い。そんな感じにてご容赦あれ。
……お粗末様で御座いました。
短い間でしたが、御精読ありがとうございました。何時かまた続きが御座いましたら、その時またお会いいたしましょう。




