鯖の骨は骨せんべいにしました
ptブクマありがとーございます
やっと50越えた(嬉
明日はお祭り……なので夕飯を作りつつ明日の夕飯の仕込みをして、あたし用のお刺身も作ります。
お祭りの後は疲れて料理が出来ないでしょうからね……動ける内に済ませなくては。
まずはお刺身から……鯖を3枚に卸して、洗って、小骨を抜いて、塩をして約1時間置いておきます。
後は洗って水気を切ったら梅酢に漬けて、と。
はい、いわゆるしめ鯖ですね。
寄生虫が居たとしても、酢に漬ける事で安全にお刺身で食べられる様になるのです。
本来なら米酢に柑橘類の果汁を加えたい所ですが……なぜか酸味が嫌われがちなこの世界だと酢はレモンの果汁ぐらいしかありませんからね。
まあ、酢を作れなくはないんですが材料となるお酒を使うにはアプさんの視線に耐える気力が必要です。
以前ポクーを大量のお酒で煮込んだ時は王様の命令だったのもあって言うほどキツくはなかったのですが、流石にあたししか食べないだろう物の為にそこまでは出来ません。
漬けている間にカレイとヒラメを5枚に卸して塩をして……食べる前に小麦粉と溶き卵、パン粉をまぶしてカラッと揚げればフライの出来上がり。
それに付けるタルタルソースは既に出来上がっています。
酢ダコもいい感じに仕上がりましたが……これも酸味があるから食べるのはあたしぐらいでしょうし、しかも柔らかくする処理はしてないので固いですからね、あたしはタコに歯応えがあるのが好みなので。
代わりに柔らかくなる様に処理したタコの唐揚げ(試作品)を出せば大丈夫でしょう。
それとヒラメとカレイの皮とエンガワ、ヒレを串に巻いて、塩をふって直火で炙ればお酒のオツマミになりますし……肝をお酒で蒸せば美味しいから勿論食べます。
ヒラメの肝やエンガワはお刺身でも美味しいんですけどね……生食するのは不安なので致し方ありません。
それにカレイやヒラメは酢でしめると淡白な持ち味が台無しになってしまいます。
更にヒラメとカレイの骨と頭を弱火で煮込んで醤油を垂らせばあら汁が出来ます。
食べるからには無駄を出さないのがあたしのモットーです。
おっと、最後に梅酢に漬けた鯖の皮を剥いでから引いて……半身は皮を軽く炙ってから剥がずに引いて、と。
折角なら皮付きも食べたいですからね、魚の皮は酢で締めただけじゃ固くて噛みきれませんが炙れば食べられるし、皮目の油が程よく溶けて身に馴染んでくれます。
酢締めしたお刺身を炙るのは好みが別れますが……あたしはどっちも好きです。
そういえば何でお刺身は切ると言わずに引くと言うのですかね?
美味しければ些細な問題ではありますけど。
後は明日の夕飯ですが……イカを塩辛にして、お祭りにも出す伝通煮を用意して、鯖を味噌煮にしておけば温めるだけで出来ますね。
「酢ダコとしめ鯖って美味しーね!」
あたし専用だった筈のしめ鯖が……好奇心の塊であるナクアちゃんが興味を持って味見した結果、気に入ってしまいました。
そういえばナクアちゃんは梅干しも平気で食べてましたね。
お陰で半分しか食べられませんでしたよ……久しぶりのお刺身だったのに。
酢ダコも固いから食べないだろうと思いきや3切れを纏めて頬張っていますし……中々強靭な歯と顎をお持ちですねナクアちゃん。
でもしっかりと噛んで食べましょうね?
まあお刺身が苦手なロウは勿論、他の皆さんも「酸っぱいからいい」との事ですからね……次からは2匹分を引いておけばいいでしょう。
旅の途中で食べる酢ダコまで仕込んで梅酢を切らせてしまったし、次はいつになるかは不明ですが……やはり米酢が欲しいですね。
因みにロウはお寿司も食べられないぐらい生の魚が苦手です。
火を通せば普通に食べますけど……お刺身は美味しいんですけどねぇ。
「この串に巻いたヒレがパリパリしてて美味しいねぇ」
「クックーやイノシシでも美味かったけど……タコの唐揚げも美味いじゃないか」
「あら汁……美味しい」
「ミャァ!」
「スダコウマイ」
おいピーニャ……貴方にはクックー肉の唐揚げを作ったのに、何で酢ダコまで食べてるんですか?
ただでさえナクアちゃんが抱えて残り少ないのに!
それにトウカも干物を焼いたのにフライまで食べてるし……しかもタルタルソースを山盛りで!
本当に味が解る猫ですね!
「キュアお姉ちゃん、リコッタがグリンのお代わり欲しいって言ってるよ!」
ああ、もう食べ切ったんですか。
リコッタは外側から剥がしたレタス、もといグリンを1枚ずつ出せば済みますからね……手が掛からないのは有難いですよ。
トウカとピーニャもリコッタを見習ってくれませんかね?
「ねぇキュアお姉ちゃん、ナクア、明日もお刺身食べたいな!」
「お刺身は酢がないと作れませんからね……明日はちょっと無理ですよ」
寄生虫が居ないなら幾らでも引きますけどね……あたしだってお刺身が食べたいのですから。
それに明日はお祭りがありますから、料理する余力は残らない可能性が大きいです。
「そっかぁ……」
うん、ナクアちゃんもお刺身が気に入った様ですし……やはりお祭りの後にでも酢を作りましょう。
冷凍技術のないこの世界では海辺でなければ食べられませんし、酢はお酒を空気に晒しながら放置してれば出来るから手間もかかりませんからね。
時間は短縮で省略が出来るから直ぐでしょうし。
……問題は呑兵衛のアプさんですが、ナクアちゃんの為なら嫌とは言わないでしょう、多分。
念の為にあたしの自腹でお酒を買って、それを酢にしますけどね。
というかカレイとヒラメの肝の酒蒸し、誰も手を出さないのは何故でしょうか?
こんなに美味しいのに……でもカレイの肝はまだしも、ヒラメの肝はやっぱり生をお刺身で食べたいですね。
夕飯の後はお祭りの為の仕込みです。
タコの足を塩揉みして洗って、寸胴鍋で煮込んで、火が通ったら置いといて、明日また煮れば伝通煮の出来上がりです。
明日の夕飯のオカズにもするから大量に作っておきますよ。
そして頭はすりこぎで叩いて、氷水に入れて冷やしておいて……と。
後はお祭りが始まり次第ぶつ切りにしたら唐揚げにするだけです。
本来なら処理したその場で揚げたいのですが……屋台の台は組み立て易さ重視だからかベニヤ板並の脆さですし、すりこぎで叩いてたら壊れてしまいますからね。
ラーメン用の屋台はそれなりに頑丈に出来ていますが、あくまでもラーメン用ですし。
寸胴鍋の頭があたしの胸元に来る様になってるから揚げ物を作るには低過ぎるんですよね……
まあそれはさておき……小麦粉や油も大量に仕入れておきましたし、塩はまだ備蓄があるから大丈夫でしょう。
よし、これで準備は終わりました。
後はお風呂に入って寝るだけです。
タコの下処理をした後は手が生臭くなりますからね……
ってあたし今回はずっと料理と仕込みしかやってないですね!
こんな形で鍛練をサボる事になってしまうとは……不覚すぎます!
「ロウお兄ちゃんは何でお刺身食べれないの?」
「昔、鯵の刺身で腹を壊した事があってな……」




