撃退しました
またptとブクマが増えました(昇天
さて、どうした物でしょうかね?
デストさんソックリという事は戦闘もかなりの物と推測出来ますが……
「さあ、早く小娘を血祭りにあげるんだよ!」
それにしてもあのオバサンは五月蝿いですね……もう動く事も出来ない癖に。
『……無理だよ、僕はただの商人だ、戦いの為の技能は持っていない』
「……は?」
「え?」
デストさんのソックリさんからの以外な言葉……というか声までソックリなんですけど。
「そういえば反魂って術者に従うとは限らないと言っていましたが」
「まあ、今回の様に一般人の魂を呼び出してしまう可能性もありますから……万全の状態ならば更に憑依を使い有無を言わせず戦わせていたでしょうが」
ふと見れば明らかに満身創痍、魔力も枯渇して生命力まで消費していましたからね……当の本人も唖然としてますし。
例えるなら全財産を賭けたギャンブルに負けた瞬間、という顔ですね。
憐れとは思いますが同情はしませんよ、自業自得だし。
「あ、反魂で呼び出した魂って祓った方がいいですか?」
「いえ、彼に害意はなさそうですし急ぐ必要はありませんよ、心配せずとも夜明け……後2時間程で効果が切れるでしょう」
それなら放置で良さそうですね。
それにしても、またもや戦いらしい戦いにはなりませんでしたね……いつもの事ながらオチも酷いです。
もう歯向かう気力はないでしょうが、ネクロオバサンはふん縛っておきましょう。
「ヒヒヒ……せめて、せめて小娘だけでも地獄に行きなぁ!」
唐突に何を叫んで……
「キュアさん、上を!」
上……そういえばまだこのオバサンを運んでたレイスが2体居たんでした!
「【魔拳:雷】!」
咄嗟だったから魔法を使う余裕がなかったので魔拳の雷にしましたが問題はありませんね。
とりあえず1体は倒せましたがもう1体は何処に?
ってオバサンを担いで飛ぼうとしてるのを例のソックリさんが阻止してる!
『今の内に……急いで、長くは持たない』
貴方、戦闘技能を持っていないとか言っておきながら随分な無茶をしますね!
とはいえあたしの攻撃や魔法ではソックリさんまで巻き込んでしまいますし……
光弾ならレイスだけに当てられるでしょうが威力が低いから倒せませんし、どうすれば……
「あの……これはどういう状況ですか?それにデストに似ているあの人は一体?」
ミラさん!?
一目で別人と見抜くとは……ってそうじゃなくて!
「カクカクシカジカ、という訳であのレイスだけを倒す手段がなくてあたふたしていた所です」
「成程、そういう事なら私がやりましょう」
ミラさんが来てくれて助かりました……今度料理のリクエストに応えます。
ネクロオバサンは完全に力尽きたのか、大人しく投獄されました。
もう魔力はないにしても念のため緑を押収して、明日にも尋問した後、先に捕らえた神官と一緒にボリアへ連行されるでしょう。
そうこうしてる間にデュロックさんとコカちゃん、ロウとも合流……ん?
「……随分とモテていますね、ロウ」
何でロウはヒーラーの子達に囲まれているんですかねぇ?
あたしと、ナクアちゃんというものがありながら!?
「落ち着け!これは俺がモテているんじゃない!トウカがモテているんだ!」
ああ、トウカは可愛いですからね……それにロウの頭からは絶対に降りないから……納得しました。
肝心のトウカとヒーラーの子達がガタガタ震えているのは……何があったんでしょう?
「いや、キュアを見て怯えてるだけだぞ?」
失礼な……あたしの何処が怖いというのですか!
「というか何で兄貴がここに?」
「………………お父……さん?」
今、何て言いましたコカちゃん?
このデストさんのソックリさんをお父さんと呼びましたか?
あ、何処かで聞いたと思ったら……以前アプさんが、死んだ旦那さんは見た目だけはデストさんに瓜二つだと言っていましたね。
これは……病死して、余りにも心配だったからかコカちゃんの背後霊になっていて、そしたらネクロオバサンの魔法で肉体を得てしまった、といった所ですね。
『大きくなったね、コカ……』
「お父さん……っ!」
感動の再会を邪魔する訳にはいきませんね……残り時間も僅かですし、2人きりに
『微かにだけど、何があったのかは解るよ……君がキュア、だね』
「あ、はい……」
『娘を……コカを頼んだよ』
「………はい」
先の事は解りませんが、少なくともあたしが生きている間は絶対に幸せにします。
それがコカちゃんを受け入れたあたしの覚悟です。
翌朝、お義父さんの旅立ち(消滅)を見届けたあたし達は仮眠の後に戦闘で壊れた入口を直す手伝いや穴の空いた地面を埋める手伝いをしつつ炊き出しの用意に入ります。
あたしの屋台で鍋を火に掛けて、これで赤は残り3個……この先アンデットが沸く可能性を考えると暫くはコカちゃんの魔法に頼るしかなさそうですね。
さて、水が沸騰しない様に注意しつつ……
干し肉で出汁を取ったら1口大に切ったジャガイモ、タマネギ、ニンジン、ゴボウ(この世界ではネッコと呼ばれてた)も入れて……出汁殻の干し肉も切って入れましょう。
それと塩と醤油で味を付けたすいとんも加えます。
煮ている間にコカちゃんにはビフーの薄切りを固くならない様に炒めて貰い、野菜が煮えたら鍋に入れて、と。
火を弱めたら塩と味噌で味を付けて、最後に豆腐を千切りながら入れれば豚汁ならぬビフー汁の出来上がりです。
因みにこの豆腐はコカちゃんのリクエストで夕食用に作っておいた物でしたが……まあ仕方ありません。
夕飯はオカラを使う事にしましょう。
本当ならビフー汁ではなくポクー汁にしたかった所ですが、ポクー肉はまだ高いですからね……それに王様に貰った報償金はアプさんに預けていますし、ここの領主は貧乏ですし。
セバスチャンさんが言うにはプラトーちゃんには素質があるそうですし、借金も消滅したのですから成人するまでに頑張って立て直して下さいよ。
「体が暖まるなぁ……これで午後も頑張れそうだ」
「これ本当にネッコなのか?全然泥臭くないぞ」
「このモチモチしたのが美味い」
「一度にこんな沢山の肉を食ってバチが当たらないだろうか……」
「アーチさんに食われたいアッー!?」
ちょっと最後の変態……一体何があったんですか?
まあ変態の貞操はどうでもいいとして、これならコンテストも予定通りに進むでしょう。
審査員になったからには最後まで見届けますけど……ンガイの方は大丈夫ですかね?
「ンガイならまだ大丈夫よ、アプを含めた私の知り合いが何人か向かっているし、デュロックさん経由で王様の耳にも入るだろうから」
「王様は所用につき来れないでしょうが、マリー様が駆け付けると思いますよ」
ミラさんにアーチさん……何でアーチさんの頬が艶々しているのかは聞かないでおきますよ?
「王様がカチコミより優先する用って想像出来ないのですが……というかミラさんとアーチさんは随分と仲が良さそうですね?」
「私も昔はデストの面倒を見ていたんだもの、甥みたいな物ね……つまりデストのお嫁さんなら私の姪も同然でしょ?」
「昔のデストの事を色々と聞けまして……すっかり意気投合してしまいました」
まさかデストさんも、こんな形で恥ずかしい話をバラされるとは思っていなかったでしょうね……
そういえばこのアーチさん、かなりの肉食系ですが……やたらとお尻を狙われるロウがピンチだったりするんでしょうか?
「ああ、心配せずとも私は未成年は食べないから安心してね?勿論デストには手を出してないし、ロウ君にも出さないから」
「その言葉、信じますからね?」
破ったらあたしの魔拳をお見舞いしますからね!
「それと王様の用ですが、ガリクの効果かエリナ様にご妊娠の兆しが見えましたので……正確に解るまでは傍に居たいと申されていましたよ」
成程……確かにニンニクは精力剤としても使われる事がありますからガリクも同様なのでしょう。
とはいえガリク料理を振る舞ったのはほんの1ヶ月前だし、その程度の期間で妊娠したとか解ると思えませんが……まあ魔法がある世界ですし、余り気にしない方がいいでしょう。
ガリクは関係なくてそれより前に仕込んだ種が芽吹いただけ、という可能性もありますし。
「流石の王様も自分の子供は気になるのねぇ」
何よりも嫁に激甘な王様ですから……今頃は気が気ではないでしょうね。
とりあえず悪阻でも食べやすいと言われている料理を幾つか書いてデュロックさんに渡しておきましょうか。
王様には今後もお世話になりますし……主にサーグァ様の食欲で絡む機会が多いでしょうからね。
「そういえばピーニャはどうしたのですか?」
「宿でサーグァ様と一緒にグッスリ寝てるぞ?」




