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通なら二八を好むらしい

今回は短めです

前日は色々ありましたが無事にレンの村へ着きました。


成程、蕎麦粉が売られているのは確かな様でアチコチから蕎麦の香りが充満しています。


しかし屋台を見ると蕎麦クレープにソバがきしかないですね…とりあえずソバがきは食べましょう。


「ソバがきは美味いんだけど味付けが塩だけってのは…」


「あっちで醤油をつけて食べましょう…流石にここだと屋台の迷惑になりますし」


うん、やはり醤油があると一味違いますね。


蕎麦ツユがあればもっと良かったのですが…この世界には鰹節がありませんし。


「こうなると麺になってる蕎麦も食いたいな…」


「あたしの腕では四六蕎麦しか打てませんが?」


因みにこの四六とは蕎麦粉6に小麦粉4という分量の事を指します。


ロウが好きなのは蕎麦粉100パーセントの十割蕎麦ですが…こればかりはどうしようもありません。


こんな事になるなら日本で蕎麦打ちの練習をしておくんでした…


「十割蕎麦も美味いけど、キュアの打った蕎麦の方が好きだぞ?」


「…流石にツユは作れませんからね?」


「大丈夫だ、問題ない」


我ながらチョロいですねあたし…


まあ、蕎麦を食べたいと思ってましたし…屋台のついでに打ちましょう。




「蕎麦粉が1キロで…3500ハウトぉ!?」


ポクー並に高いとは聞いていましたが…ポクー肉200グラムと同じ値段ではありませんか!?


確かにここでしか栽培されていないとは聞きましたけど!


王様に貰った報酬で買えなくはないですが…ちょっと所でなく躊躇ってしまいますね。


でもあのソバがきは1杯15ハウトでしたけど…採算合うんですかね?


「ほんの10年前まではこんな値段じゃなかったんじゃがのう…今の領主になってからは上がる一方じゃよ」


という事はデストさんも元の値段を知らなかったのですね…


これは…また悪徳貴族の仕業でしょうか?


とりあえずお爺さんに詳しい話を聞いてみようと思ったら「これ以上は何も言えない」と酷く怯えてしまったので…チップ代わりに黄を渡してその場を去りました。


で、1つ20ハウトの蕎麦クレープを食べながら村を観察していたのですが…


蕎麦粉のクレープに包まれてるのは角切りにしたレッドと千切ったグリンにタマネギの薄切り、塩辛いビフー肉…ケバブみたいで中々美味しいですね。


「至る所に私兵らしい奴等が居るな…」


「ふむ…あたし達の一存では動けませんし、アプさん達と合流しましょう」


あ、その前に肉屋で骨を貰っておかないと…




夕方、骨の血抜きをしながら顛末を分体サーグァ様に話したのですが…


「現状では何も証拠がないので難しいですね…」


まあ、あの王様なら証拠があれば嬉々としてカチコミに来ていますよね…間違いなく。


「もしくは自白(アトロ)で白状させるという手段もありますが…」


王様のコネがあるとはいえ一介の旅人に過ぎないあたし達に面会してくれるとは思えませんし…その手は使えませんね。


犯罪覚悟で殴り込む訳にも行きませんし…やったら上司である姉さんとサーグァ様に迷惑掛かりますから。


「キュアお姉ちゃん、何か面白そうなイベントの告知があったよー!」


イベント…もう予想がついてますが一応確認をしましょう。




【ダイ2カイ ソバリョウリコンテスト】


うん、知ってました。


「これもサーグァ様の企画ですか?」


「それは私の企画ではありませんよ…だって審査員は王様ではありませんから」


つまり王様が審査員をしてるコンテストは全てサーグァ様の企画なんですね。


「多分ですがダニチのコンテストを見て影響されたのでしょう、他にも幾つか事例があります」


ある意味料理の発展に繋がってはいますが…物凄く不満そうな顔をしてますね?


原因は自分が食べられないからでしょうけど。


「開催は4日後で審査員はこの地の領主か…」


…ふむ、ちょっと念密な計画を練る必要はありそうですがやる価値はありそうですね。


「サーグァ様、ヴァレンさんとデュロックさんに此方へ来てくれる様話して頂けますか?」


「それは構いませんが…」


「アプさん、蕎麦粉の調達をお願いします…代金は王様に貰った報酬から出します」


「はいよ、なるべく安い所を見つけとくさ」


「コカちゃんとナクアちゃんはクックー肉を、出来るだけ大量に」


「う、うん…」


「はーい!」


「ロウ、いつかの妨害みたいな事がないとも限らないので大量にクックーの骨、それと小麦粉を」


「クックーと蕎麦って事は…鴨南蛮か!」


厳密には違いますけどね…鴨肉ではありませんから。


それに鴨南蛮には欠かせない、鴨の油で焼いた長ネギもありませんし。


そもそも長ネギ自体存在しませんし、鴨も居ませんし。


ですがやる事は変わりません。


「何としてもコンテストで優勝して、貴族に値上げの理由を自白させますよ!」


「その前に夕飯、お願いしますね?」


掌サイズの分体でも食欲に忠実なのは変わらないのですね…




「もうキュアは神子(プリースト)じゃなくて狂信者(りょうりにん)を名乗った方がいいんじゃないか?」


「どちらかと言うと…破壊僧(りょうりにん)じゃ…ないかな」


そこの2人…後で話がありますから逃げないで下さいよ?

「所で何で十割だと打てないんだい?」


「厳密には打てない訳ではないのですが…蕎麦粉だけではどうしてもコシが出せないのです」

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