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豆を栽培するならこれも食べるべき

あらすじを少し変更してみました。

気が向いた時にでもチラ見して下さい。

ボリアに戻って来て翌日…


ロウ達が戻るのは早くても明後日なので暇な時間ですね。


あたしだけで転職する訳にもいきませんし。


アプさんは余程気が合ったのかマリー様とお酒を飲みまくっていますが…っていつの間にかエリナ様とサーグァ様も参加してますし。


「私を相手に余所見をする余裕があるんですか?」


「しまっ…」


はい、あたしはミラさんと対人戦の訓練をしています。


今回はナイフを使わずに相手してくれていましたが…アームロックは止めて下さい!


ギブ!ギブアップです!




「ミラさんがマリー様と引き分けられる理由が解りましたよ…こうやって関節を極めてたんですね?」


「私はデストみたいに力がある方ではないので、こういう小手先の技に頼らざるを得なかったのですよ」


関節技(サブミッション)自体は立派な技術なんですけど…


これも価値観の違い、という奴でしょうか?


「そういえばグヌットに行く前に、私の技をいくつかロウに教えましたが…あの子は中々筋が良いですね」


ああ、あたしが神殿に行っている間にロウに関節技を教えてたのですか…


ロウは矢が尽きたら戦闘能力が半減しますからね…短剣だけじゃ心許なかったので接近戦を覚えて欲しかったのは確かです。


本当にありがとうございました。


「で…何でロウは呼び捨てにしてるんですか?」


「近い将来、義弟になりますから…今の内に慣れておこうかと」


モジモジしながら言ってますが、デストさんとロウに血の繋がりはありませんよ?


まあ、似てないけど兄弟に見えなくもないので黙っておきましょう。


「キュアお姉ちゃーん、お豆さんいっぱい採れたよー!」


「おっと、今日はここまでにしましょうか」


「はい、ありがとうございました」


早速持ち帰った緑を使ったのですね…まあ早い分には構いませんけど。


さて、また醤油と味噌を仕込む前に黄粉も作っておきましょう。


ですがその前に…折角ダイズ豆を栽培してるんですから、これは食べなくてはならないでしょう。






「という訳で、採れたての枝豆を塩茹でにしました」


オツマミの定番ですし、説明は不要でしょう。


ビールと枝豆は黄金の組み合わせと言われていますからね…この世界には焼酎と蜂蜜酒しかないので、合うかどうかは知りませんが。


ともかく、採れたての枝豆の塩茹では反則級に美味しいのです。


ダイズ豆の枝豆を食べるのはこれが初めてですけどね。


「え…これは鞘ごと食べるんですか?」


「いえ、これはこうやって…鞘をしゃぶりながら中の豆を食べるのです」


実演がてら1つ…うん、美味しいです。


名前が違うだけの大豆と確信してましたし、美味しいのは当たり前ですが。


それを見て安心したのか皆さんもバクバク食べてらっしゃいます。


「成程…ちょっと塩気が強いけど、お酒と交互に食べると丁度よくなりますね」


「こいつは危険だねぇ…さっきから豆を食う手が止められないし、酒が進んじまうよ」


「緑色のお豆さん美味しー!」


お酒を飲まないミラさんとナクアちゃんまで夢中で食べてますね…まあ気持ちは解りますけど。


あたしも手が止まりませんから。


何故か茹でたての枝豆って惹かれる物があるんですよね。


例えるならコーラを飲みながら食べるポテチの様な…癖になる味、と言いましょうか。


「こんなに美味しいのに…何故農家の人達はこの枝豆を採らないのでしょうか?」


「単純に日持ちの問題です、枝豆は採ってから4日以内に食べないと美味しくないですし…1週間もしたら腐ってしまいますので」


冷凍保存が出来れば話は代わりますが…そんな技術があるとは思えませんし。


そもそも氷の魔法はある(らしい)けど使える人が少ないですからね…現にコカちゃんは水属性の魔法は苦手だと言ってましたし。


「しかし塩茹でしただけでこんなに美味いんだ…料理したら凄い味になるんだろうねぇ」


「それは…とても気になりますね」


ちょっと待ってくれませんかね?


今この場にはコカちゃんもデストさんも居ないのですが?


「この枝豆っていうの、まだあるんだろう?」


「そりゃ庭に目一杯作りましたし…」


「では、お願いしますね」


司令塔のアプさんと、王様の夫人達に頼まれたら嫌と言える筈がないではないですか!


はぁ…仕方ありません、夕飯は枝豆尽くしといきましょう。




そんなこんなで夕飯です。


メニューは枝豆の炊き込みご飯、枝豆とタマネギのかき揚げ、枝豆サラダ、それにデザートです。


「枝豆とグリンをマヨネーズで和えただけでこんなに美味しくなるとは…」


シーザードレッシングならもっと美味しくなったんですけどね…あたしは作り方を知らなかったので仕方ありません。


ただアンチョビが必要だと聞いた事はあるのですが…この世界にあるんでしょうか?


海で釣りしてた時に鰯は見かけませんでしたが。


「このかき揚げも酒に合いそうだねぇ…」


揚げ物は大抵お酒に合うと言われてますからね…しかも中身に枝豆が入っていますし。


個人的に枝豆だけのかき揚げにしたかったのですが、それをやるとデザートが作れなくなってしまいますのでタマネギを混ぜました。


まあ、タマネギも美味しいですからね。


「お豆さんのご飯美味しいね!」


ナクアちゃん、ちゃんとオカズも食べましょうね?


お代わりなら沢山ありますから。


…サーグァ様が食べ尽くさなければ、ですが。


「流石の私も子供の分まで食べたりはしませんよ?」


「「「…え?」」」


おっと、エリナ様にマリー様の声と重なってしまいました。


「キュアさん、お姉様達も…私を何だと思ってたのですか?」


美味しい物の為なら何でもしでかすトゥグア様の眷属(いもうと)だと思っています。


「「美味しい物の為なら何でもしでかす可愛い妹だと思ってます」」


「しでかすって何ですかー!」




さて、いよいよデザートです。


丸パンを1cm程の厚さに切って、牛乳にアマミズの水を混ぜた物へ浸して、枝豆を擦って味噌とアマミズの水を混ぜた物を塗って焼いた、ずんだトーストです。


本当はつき立てのお餅に絡めてずんだ餅にしたかったのですが…流石に夕飯の後で食べるのは重いですからね。


それにサーグァ様なら余裕でしょうが、あたしを含めた他の皆さんは太ってしまいます。


まあお餅は食べたいので、ずんだ餅はロウ達が帰って来てからにしましょう。


「はぁ…この素朴な甘さがいいですねぇ」


「枝豆ってデザートにもなるんだねぇ」


「お豆さんのジャム美味しいよ!」


豆のジャムと来ましたか…ってこの世界にジャムがあるとは初耳ですよ?


「ご存知ありませんか?デストが潰れていた果物をアマミズの水で煮込んだ物をジャムという名前で売っていたのですが」


ああ、デストさんが作っていたのですね…納得しました。


潰れていた果物という事は安く手に入れられたんでしょうし、手間さえ掛ければ利益は大きかったのでしょう。


「今でも思い出せます…試しに売ったジャムが余りにも人気で、辺りのアマミズを狩り尽くす勢いで集めて…その地方の領主に土下座で止めてくれって頼まれましたっけ」


何してるんですか…いや、その頃だとジェネさんの転職資金を集めている最中でしょうから理由は解りますけど。


この前は色んな事が聞けましたが…掘り返せば黒歴史も山ほどありそうですね。


「因みにその領主、わたくしの弟ですのよ」


まさかのエリナ様の姉弟でした。


「…その節は大変ご迷惑をお掛けしました」


ミラさん、知らなかったんですか?


「貴方達のお陰で新しい名物が出来て喜んでいますし、恨んではいませんわよ」


「ンガイのジャムといえば貴族から庶民まで幅広い人気の商品で、余りに品薄で中々手に入らないのです…私とナクアは1度しか食べられませんでした」


ああ、お詫びでジャムのレシピを提供したんですね…


果物の栽培に力を入れているなら、売り物にならないのをジャムにして売れば儲けにはなりますね。


「ンガイは果物の他にキノコの栽培もしてますの、立ち寄った際には1度召し上がってみて下さいな」


それにしてもンガイって…火事になりそうな名前ですが大丈夫でしょうか?


あたしの知ってる話だと燃やすのは炎の邪神ですが、この世界の炎の神は…火事は起こらないと確信しました。


「キノコか…」


そういえばアプさんはキノコが苦手だとデストさんが言ってましたね…


まあ果物だけでも行く価値はあるでしょうし、行き先の候補には入れておきましょう。

「キュアさん、枝豆追加して下さいな」


「スミマセン、もう残っていません…」


※翌日大量に採らされたらしい

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