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酒樽20を空にしたそうです

誤字脱字報告を受け一部修正を加えました。

報告、ありがとうございました!

カチコミが終わりクティの酒場に戻って来ましたが…


中では騎士の2人とメイドさん達が貴族の館で番人してた人達にお酒を振る舞っておりました。


…皆さんが何故ここに居るのですか?


というか何で騎士の2人はカチコミに来なかったのでしょうか?


「グヌット伯爵には奴隷商と繋がっている疑いがありましたから、あの2人にはメイドの護衛をして貰っていたのです」


成程…非戦闘要員の護衛は大事ですね。


「お、お帰りなさいませ!」


「あら、いい時に戻りましたわね…ちょっとキュアさん、こっちを手伝って下さいまし!」


言われるがままに厨房でオツマミを作ってはメイドさんに…って何であたしは素直に手伝ってしまっているのでしょうか?


まあバイト代の代わりに無料(タダ)で宿泊させて貰いますけど。


「所で…何で皆さんここに集まっているのですか?」


「だって酒場はここにしかないし、商店は閉まってるし」


そりゃ夜中ですからね…この世界にコンビニがある筈ないですから。


だからってこんな時間に来店しなくてもいいでしょうに。


「あのババア貴族が失脚してくれたお陰で仕事が増えそうだから前祝いを兼ねて」


捕らぬ狸のなんとやら、にならない事を祈っておきますね。


「というかクティ、こういう時は臨時休業にする物では?」


「仕方ないではありませんか…ウチには大喰らいが3人も居ますのよ!」


大喰らい…育成中のモンスターがスライムの他に2匹居るのですね。


今の内に倒してしまいたい所ではありますが、今回は見逃しておきましょう。


「なら代金はグヌット伯爵の私財から出しちゃいましょう、皆さん好きなだけ飲んじゃって下さいね」


「「「「「おおーっ!」」」」」


ちゃっかりマリー様やアプさんまで参加してしまっていますが…まあいいです。


精々美味しいオツマミを作らせて頂きましょう。


「ってミラさんは飲まないのですか?」


「その…私は下戸ですので」


ああ、お酒が飲めない人でしたか。




翌朝…ようやく番人やってた人達が帰ってくれました。


マリー様とアプさんはまだ飲んでますけど…


「スミマセン…もうお酒も食材もないのでお開きに」


「まあ、結構飲んだし…あんな人数に出せばなくなるのも無理はないねぇ」


「では私達も帰りましょう…あ、お会計お願いしますね」


それにしてもこの2人…お酒に強過ぎですね。


「えっと…あれとこれとそれの合計が…あのお酒の値段が…で、端数切り捨てで合計6800ハウトになりますわ」


日本だとこの50倍の代金になりますから…飲み過ぎですよ!?


「というか押収した私財を勝手に使ってしまっていいのですか?」


「お金は使ってこそ意味があるんですよ?」


それ…説明になっていないのですが?


「真面目な話、このお金はこの村の民から巻き上げたお金です…だからこの村で使う事で効率よく返還出来るのですよ」


ミラさんの説明でようやく理解出来ました。


確かに貯めてるだけじゃ経済は回りませんよね…難しい理屈はサッパリですが。




「さて…帰ると言った物の2人は徹夜させてしまいましたし、少し寝ておきなさい」


「「ハッ!」」


ああ、徹夜明けの運転は危険だといいますからね…馬車も車には違いありませんし。


あたしの覚醒(ウェイク)で誤魔化すのは可能ですが、反動が怖いですし止めておきましょう。


因みにメイドさん達とミラさんはしっかり眠っておりました…あたしだって寝てないのに。


「ならその間は…少し市場でも見てみるかねぇ」


「いいですね、ご一緒します」


アプさんとマリー様は市場を回るみたいですね…あたしも一緒に行ってみますか。


「キュアも少し寝ておきな、また一睡もしてないんだろう?」


今回の寝れなかった原因に言われるのは釈然としませんが…眠いのは確かですしお言葉に甘えましょう。


「ミラさんは寝ている皆さんの護衛を」


「判りました」


仮にも王様の夫人を放っていいのかと思いましたがアプさんが近くに居るなら…まあ大丈夫でしょうね。


というかあのコンビに勝てるのはレイスかゴーストぐらいでしょうし…ってこれじゃフラグっぽくなってしまいますね。


うん、余計な事は考えずにさっさと寝てしまいましょう。




まあ、気が付いたら既に出発していましたけれど…やけに荷物が増えてますし。


アプさんとマリー様は馬車の中で酔い潰れていましたし。


どんだけ飲んだんですか!


「起きましたか?」


「ええ、起きました…頭痛い」


一体あたしはどれだけ寝ていたのでしょうか?


太陽が真上にあったのでそんなに長くはないと思いますけど。


「そういえばキュアさん、今回の件で転職も出来るそうですが…その後の予定はどうなっていますか?」


「そうですね…全員が転職したらまた旅に出るつもりでしたが、デストさんはボリアに残る事になっています」


これは前から決まってた事ですが…


デストさんにはボリアで情報収集をして貰い、何か解ればサーグァ様の分体を通して知らせて貰う事になりました。


ロウが物凄く淋しそうに、アトラさんは物凄く嬉しそうにしてましたよ。


「そうですか…デストはボリアに残るのですか」


あ、ミラさんも嬉しそうですね?


この分だとジェネさんもでしょう。


「…前から聞きたかったのですが、ミラさんはデストさんの何処に惚れたのですか?」


「…ふぇっ!?」


「ギョウザの下りは聞きましたけど、それだけで結婚したがるとは考え難いので…」


餃子が作れるだけで結婚するならあたしともしなくてはなりませんよ?


これ以上は勘弁して下さい、あたしはコカちゃんだけで手一杯ですから。


ロウは生まれた瞬間からあたしとの結婚が決まっていたのでいいんです。


「…デストには内緒にしておいて下さいね?恥ずかしいので」


「安心して下さい、その話は墓の下まで持っていきますから」






~???(女神視点)~


「「「「「「「ふんぐるい むぐるうなふ トゥグア ほまる はうと…  ふんぐるい むぐるうなふ トゥグア ほまる はうと…」」」」」」」




なぜ…何でキュアさんを通して私の信者になった人達は、例外なくあの詠唱を唱えるのですか!?


女神力が増えるのは確かですけど、それと引き換えに私の正気度が下がっている気がします…


元凶であるキュアさんをどうにかすれば解決すると思っていたのに…私が甘かったのでしょうか?


…はて、冒涜的な信仰の背後からアルラの気配が?


ああ、アルラの眷属…ハイドラの娘はそこを拠点にしていたのですか。


何をしているのかまでは判りませんね…おそらくアルラが張った結界でしょう。


現に今回の事がなければずっと気付けなかったでしょうし…暫くは様子を見るしかないですね。




「…久しぶりですね、トゥグア」


「ハイドラ…何で貴方がここに?」


というかいきなり背後から現れないで、ビックリするから。


「そういえばハイドラ、先日私の世界で顕現したみたいですが…昇神試験はどうしたの?」


「娘が貴方の世界で迷惑を掛けているし、辞退しました…これで残ったのは貴方とトゥールだけですよ」


トゥール…風と喜の女神。


とにかく動いてないと落ち着けない性格だけど仕事が出来ない訳じゃないのよね。


個神的な意見だと私が不合格だった場合に備えてハイドラにこそ残っていて欲しかったのですが…


「身内の不祥事に巻き込んでしまったお詫び…というつもりではないけれど、貴方の世界に居たロウという少年に少し力を貸そうと思いまして」


ああ、キュアさんのお兄さん…確かに彼の才能はハイドラの力と相性がいいですね。


「先日の顕現はその為でしたか…」


「それで迷惑を承知でもう1つ…期限付きで私の眷属を貴方の世界に送りたいのですが」


「ハイドラの眷属…彼女を私の世界に?」


「ええ、幻獣使いについて教えるなら幻獣使いが1番でしょう?」


ふむ…少なくとも私に害はないし、ロウさんも強くなれるでしょうから断る理由がないですね。


アルラが何を仕掛けるか解らない以上、実力を上げておいて損はないでしょうし。


「…判りました、幸い私の転生枠は後2つ余っていますし、問題はありません」


「ありがとう、せめて必要な魔力や神力は私が出します」


それは助かるのでお言葉に甘えちゃいましょう。


あ、でもこれだけは聞いておかないと。


「ハイドラ…貴方の娘や、それで辞退したって話については言っていた通りなんでしょうけど、今回の件についての本音は?」


「トゥールの下に着くぐらいなら無に還った方がマシです!よって、私はトゥグアをサポートする事にしました」


やっぱり…ハイドラとトゥールはとにかく仲が悪いですからね。


まあ、私とアルラも他神事(ひとごと)じゃないんですけれど。


となるとアルラも今頃はトゥールに接触しているでしょう…唐突に負けたくなくなりました。


「そういえばトゥグア、私がサポートするからには貴方に合格して貰いたいのですが…アルラの妨害以外の問題はありますか?」


「そうですね…見て貰った方が早いでしょう」




「「「「「「「ふんぐるい むぐるうなふ トゥグア ほまる はうと…  ふんぐるい むぐるうなふ トゥグア ほまる はうと…」」」」」」」




「…どうすればいいと思います?」


「…笑えばいいと思います」


つまり解決策はないって事ですね…グスン。

「あの…馴れ初め話の続きは?」


「…次回に続きます」

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