予期せぬ再会でした
評価とブクマが増えていた…圧倒的感謝!
いよいよカチコミに出発する時が来ました。
先の通達通りあたしとアプさんはマリー様達とグヌットへ…
ロウ(+トウカ)とデストさんとコカちゃんにジェネさんは王様達とルルイへ向かいます。
いつの間にか首輪を着けていたトウカはナクアちゃん達と一緒に留守番して貰いたかったのですが、意地でもロウの頭から離れようとしなかったので諦めました。
下手に引き剥がしたらロウの頭が血塗れになってしまいますからね…すぐに治せますけど痛々しいのは嫌ですし。
そんなこんなで今はマリー様専用の馬車でグヌットへ向かっています。
普通なら歩いて10日の距離ですがこの馬車なら1日で着くそうで…ちょっと早過ぎませんかね?
あたしとアプさん、マリー様とミラさんにマリー様付きのメイド2人…馬に乗ってる女性騎士2人がカチコミのメンバーです。
…っていくらなんでも少なくないですかね?
メイドさん達は非戦闘要員ですから戦えるのは6人しかいませんし。
王様達も馬に乗ってる人を入れて8人(+1匹)でしたけど。
「そういえばアプさん、荷車は持って来なくて良かったのですか?」
今回のカチコミでアプさんとデストさんは荷車を家の倉庫に置いてきていました。
そりゃ戦いに行くんですし余計な荷物は邪魔になるとは思いますが。
因みにトゥグア様に貰った鞄はロウに持たせました…海草が豊富らしいから昆布を手に入れて貰う為に。
「今から行くのはグヌットだからねぇ…ガリクとジンジャーは定期的にボリアに卸されてるんだから、あたい達が仕入れる意味はないだろう?」
まあ入ってくる度に王様が持って来ますからね…これで美味い物を頼むとか言って。
それにガリクは余り日保ちしないからなるべく早く使う必要がありますからね…昨夜はガリク尽くしでパーティー状態でした。
ガリクのせいで盛ったコカちゃんを退けるのには苦労しましたけれど、食べ物を腐らせるよりはマシでしょう。
聞いた話だと他に売れそうな物はないらしいですし…無駄な出費は避けたいって所でしょうか?
下手に仕入れてコカちゃんのトラウマを刺激するのもアレですし。
「そういえばロウは大丈夫でしょうか…馬に嫌われて振り落とされてなければいいのですが」
「流石に馬車に乗った奴を落とせはしないだろうよ…」
「マリー様、間もなくグヌットに到着します」
本当に早いですね…遅いよりはいいのですが。
「ご苦労様です、では今のうちに武器の確認を済ませてしまいましょう」
マリー様の長槍は白金色で、とても重そうな一品ですね…何と言うかゲームで歌舞伎者な武将が使っていたのによく似てる気がします。
「この槍は特注品なんですよ、そこら辺の物では私の力に耐えられなくて折れてしまいますから」
槍が折れる位の馬鹿力なんですね…演習場の木製の槍はよく耐えられましたね。
マリー様専用と考えれば納得ですけど。
ミラさんは8本のナイフ…その内4本はそれぞれ刃の色が違いますね?
「この4本は以前デストに作って貰ったナイフです…切れ味は劣りますが物理攻撃が通じないモンスターには有効なのですよ」
前に買った水晶の破片を使った矢と同じという事ですか…そういえばデストさんの屋台で似た様な短剣が置いてありましたね。
ミラさんはデストさんとパーティーを組んでたと言ってましたし、持っていても不思議ではありませんね。
「デストは前に水晶を使った武器を作りたいとか言ってたが…本当に実現させちまったんだねぇ」
「そういえばアプさんはデストの指導をしていたと聞きましたが…」
「世渡りと行商についてちょっと教えてやっただけさ…それ以外、特に料理なんかは全部デストの独学だよ」
料理に関しては日本での知識ですから独学とは違うかと。
言ってもミラさんは信じてくれないでしょうから黙っておきますけど。
それとアプさんは盾の手入れしかしてないのは…タンクだからですか?
「時にキュアさん…今回は少数対多数ですが武器は持たなくて宜しいのですか?」
「あたしの武器はこの拳です、問題はありません」
ぶっちゃけ包丁以外の武器は使い辛いんですよね…
トゥグア様に頂いた杖は持っていますが武器としてではなく魔法の触媒として使っているだけですし。
まあ、包丁も料理以外に使うつもりはありませんが。
アバズレのモンスターは見た目が食材だったからセーフでしょう…多分。
そんなこんなでグヌットです…見事にゴリラみたいな女性しか居ませんね。
腕なんてあたしの太ももぐらいあるし、胸も脂肪がなく大胸筋が歩いてる所か突っ走っています。
この村は相手が居ない貴族の娘や娼婦が集まって出来たと聞いたのですが…成程、理由が判った気がします。
確かにあんな人達に襲われたらトラウマになりそうですね…コカちゃんの気持ちが少し判りました。
「あれぐらいで驚いてたら身が持たないよ、この辺に居るのは非戦闘要員だからねぇ」
「ゑ…」
「とはいえ1人1人がそこらの騎士よりも強いのは確かですよ…まあキュアさんなら問題はないでしょう」
それって遠回しにあたしがゴリラ並と言われている気がするのですが…
それ以上に非戦闘要員であの筋肉なら戦闘要員はどんだけゴツいのかが気になりますけど。
「まずは馬車を止めて、今回の情報をくれた協力者に会いますよ…攻め込むのは夕飯の後ですが時間に余裕がないのも確かですから」
話を反らされた感じがしますが…まあいいです。
作戦次第ではありますが皆さんの足を引っ張る真似だけはしませんとも。
で、やって来たのは小洒落た酒場…ってあたしが入ってもいいのですかね?
別にお酒を飲まなければいいだけの話なんですけど…
「確かこの酒場で落ち合う手筈でしたが…」
「お待ちしておりました、マリー様とミラ様でs…ってああー!?」
ん?何故か聞き覚えのある声が…ってああー!?
「何でアバズレがここに居るのですか!」
「何でキュアさんがここに居ますの!それとわたくしはクティですわよ!」
「あたしはマリー様の協力者として来たのですよ!アバズレこそ何を企んでるんですか!」
「ここはわたくしの経営している酒場ですし、この地の貴族の不正を王に流したのもわたくしですわよ!それといい加減その呼び名はどうにかしてくれません?」
「納得出来ませんが理解はしました、最後のは却下します」
「で、落ち着いたかい?」
「「…はい」」
あの後も言い争ってたあたしはアプさんの、アバズレはマリー様の折檻を受けてしまいました…
お尻が物凄く痛いです…グスン。
それにしてもマリー様はあのアバズレを技能を使わずに意図も容易く鎮圧してしまいましたが…
これ…あたしとロウがまるで役立たずなんですけど転生する意味ってあったのでしょうか?
生き返ったのは非常に感謝しているのですが…何かモヤモヤした物があります。
「そういや何でこんな所に酒場なんて建てたんだい?」
「わたくしだってお金がなければ生きていけませんし…ここには変な男が居ないから安心出来ますわ」




