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毛と瞳は水色、小さくて可愛いペットです

カチコミまで後3日…


今日は何故かコカちゃんが朝食を作るのを代わってくれたり、ロウがホストみたいになったり、アプさんですら今日の水晶集めを代わると言ってたり…


何故かあたしに優し過ぎて困惑しているのですが…


皆さんに一体何があったのでしょうか?


「まあ何だ…それは気にせずに今日はロウと2人きりで羽でも伸ばしてこい」


デストさんの提案は有り難くはありますが謎が深まるばかりなんですけど?


「安心しろ、2~3日もすれば元に戻るから…多分」


せめて断言して欲しかったのですが…お言葉には甘えますけども。


なんて事があって現在、ロウと2人っきりでデートです。


てっきりコカちゃんに妨害されるか、ナクアちゃんに乱入されるかと思いましたがそんな事はなく…かえって不気味なんですけど。


「コカは判らんけどナクアはアトラさんと兄貴がどっかに連れてったみたいだぞ」


それってデストさんが拉致られただけなんじゃ…いえ、言わない方が良さそうです。


ふと考えてみればこの世界に来てからロウと2人きりになれる時は何度かありましたが、デートするのは何気に初めてですね…日本に居た頃もした事なかったですが。


折角だから目一杯楽しませて貰いましょう。


…音沙汰なしのコカちゃんが怖いですが。




「…そういやこの世界のデートって何をすればいいんだ?」


「唐突にして今更ですね…」


定番のカラオケやゲーセンはある訳ないので…買い物と食事、休憩(意味深)専用の宿屋辺りですかね。


宿屋の場所は以前サーグァ様が教えてくれました。


「…宿屋は行かないぞ?最終目標だった家は手に入ったが、まだ女神の依頼が終わってないからな」


チッ…気付かれましたか。


「それに入った瞬間コカが乱入してくるかもしれないし」


あー…それは容易に想像出来ますね。


初めては2人きりでと決めていますし、今回は諦めましょう。


「…この際だから聞くけど、キュアはコカをどう思ってるんだ?」


「まあ…何だかんだ言ってはいますが嫌いではないですよ、あくまでもライクですけど」


「見た限りじゃライク以上ラブ未満って雰囲気だったが…」


「ちょっと待ってくれませんか?」


最近は否定出来る要素が少なくなって本当に洒落になりませんから!


「この際だし正直に言うが…キュアは俺だけの者にしたいって思ってるけど、コカなら一緒でも構わないとも思っている」


前半は非常に嬉しいんですが後半で台無しですよ!


「キュアは日本に居る時、俺の事ばかりで友達が居なかったしな…その分この世界では好きな様に過ごして欲しいし」


確かにあたしは学校ではボッチでしたけど、ロウが居るから淋しくなかったですよ!


それに友達なら道場には居ましたよ!?


というかコカちゃんが狙っているのはあたしの嫁の座ですし…友達と嫁じゃ全然違うと思うのですが?


「…何よりこのままカチコミに同行したら、俺がコカに殺されかねん」


コカちゃんと水晶集めしてると必ず火傷して帰って来ますからね…


あたしの魔法でキッチリと治してますけど。


というか…間違いなくそれが1番の理由ですよね?


「まあ、今までは俺を引き合いに否定してたみたいだけど…次があったらキュア自身の気持ちで答えてやれよ?」


「…前向きに検討しておきます」


実際あたしは日本の常識で、ロウが居るからって理由で否定してましたからね…


そういう意味ではコカちゃんに向き合っていなかったのは確かです。


…というかあたしが三角関係の上部になるとは思っていなかった上に相手が同性なせいで考えるのを放棄していた節もあります。


もし他の男性だったら躊躇なく振ってましたけど。






その後はロウと買い物しつつ食堂巡りをして、屋台を見て回ったり…


ナクアちゃんを肩車するデストさんを見かけてニマニマしたり…


野良猫の子供になつかれてあたふたしたりと楽しませて貰いましたよ。


で、夕方になって帰路に就いたのですが…


「この子はすっかりロウになついてしまいましたね…」


何故か子猫はロウの頭から降りようとはせずに居座ってしまいました。


まあ可愛いですし、あたしも猫は好きですし構わないのですが。


「今まで動物には好かれなかったんだがなぁ…こうなると可愛いな」


「でも家で飼ってもいいのでしょうか?」


「アプさんが何て言うかだよな…まあ駄目元で頼んでみよう」


飼えなくとも何かの縁ですし、猫が好きそうなミルクやチーズは買っておきましょう。


せめて1回ぐらい餌をあげたいので。




「猫?別に構わないよ」


予想に反してアッサリ了承してくれました…嬉しいんですが、いいのですか?


「キュアの作った干物には稼がせて貰ったし、あんた達のお陰でこの町にも拠点が出来た上にコカの転職問題も片付いた、何より旦那の墓も守れたんだ…猫の10匹や20匹ぐらいどうって事はないよ」


流石にそんなに飼うつもりはありませんが…許可が出たのでホッとしました。


「ミャー…」


「ん?腹が減ったのか…チーズ食うか?」


既に意志疎通してるし…


「で、その猫の名前は決めたのかい?」


「そういや名前はまだだな…」


「折角だからロウが決めてはどうですか?」


生まれて初めてなついた動物ですし。


「なら…よし、お前の名前は今からトウカだ!」


ファッ!?


「ミャー!」


「お、喜んでるな…良かった」




その後デストさん達に続いてコカちゃんが帰ってきて子猫…もとい、トウカの御披露目が終わり、王様達が来て夕飯食べて…


お風呂を済ませて後は寝るだけとなったのでロウの部屋に行きます。


「…どういう事か説明して下さい」


因みにトウカはアプさんが晩酌で食べてる干物のおこぼれに預かっていました。


中々に味の解る猫です。


「まあ、来ると思ったよ…」


「当然ですよ、この世界に来た時に捨てた…あたしの名前を子猫に付けるなんて!」


はい、日本に居た時のあたしの名前は桃花(トウカ)だったんです。


ついでに言うとロウは桃士(トウジ)でした。


「深い理由はないんだがな…ほら、俺は動物には好かれない体質だろ?」


「好かれない所か嫌われていますよね」


淋しいと死んでしまうと言われている兎にすら避けられるぐらいですからね…


双子のあたしはそうでもないんですが…何故でしょうね?


「で、今日初めてなついてくれたのがあの子猫だった訳で…いざ名前を付けるとなったら1番大事な物と同じ名前で…ってな」


…ん?


「俺が1番大事にしてるのは…お前だぞ、キュア」


……………え、これってまさか。


「俺から言い出しておいて悪いとは思ったが、他に大事な物がある訳でもなかったし…他には何も思い付かなかったからな」


あ…これはいけません、あたしの体温が急激に上がってます。


多分今は全身が真っ赤になってます。


これ以上を聞きたくはありますが…確実にあたしの心臓が持たない!


「り…理由は判りました、なのでキスしてくれたら許します」


「それでいいなら幾らでも…」


「…ダメ!」


「「うわっ!」」


しまった…コカちゃんに見つかってしまいました!


ってあれだけ騒げば嫌でも気付きますよね!


「ロウくんと…キスするなら…ボクにもしてよ!」


「そこなんですか!」


本当に遠慮がなくなりましたねコカちゃん!


最近は病んでる雰囲気もありますし…独占欲がないのだけが救いですね。


「まあ、朝も言ったけど俺はコカなら一緒で構わないが…問題はキュアの気持ちだぞ?」


ロウ…あたしとのデートの前にそんな事を言ってたんですね?


「うん…ボクだって…キュアちゃんが好きだから…無理矢理なんて…しないよ」


いやコカちゃん…貴女はこの前、寝てるあたしの頬やら首筋やらをねぶってらっしゃいましたよね?


温泉では背中からお腹までをまさぐってらっしゃいましたよね?


あたしが声にしなければその手が胸まで伸びてましたよね?


当然それらの行為に同意した覚えはありませんよ?


うん、改めて振り返ってみれば…何で嫌いになれないのかが不思議です。


スキンシップの範疇を越えてるし、普通なら怒ってるんでしょうが…何故か怒りは湧きません。


だからって何度もやられるのは御免ですが。


「あたし自身も判らなくなってるんです…コカちゃんが好きなのか、そうでないのか…好きだとしてライクなのかラブなのかが…今確実に言えるのは嫌いではない、です」


「そう…なんだ」


これは嘘も照れ隠しもない、正真正銘あたしの本心です…


あたし自身ここまで思っているとは想像していなかったのですが…まだ出会って半年も経ってないのに。


「正直な意見を言うなら…考える時間が欲しいです」


「うん…判った」


ぶっちゃけ問題を先伸ばしにしただけな気がしますが…これは勢いで答えてはいけない事ですし。


コカちゃんも一応は納得してくれた様だし…今はこれで良いでしょう。




「で、結局キスはするのか?」


「…止めておきます」


完全にタイミング逃しました…グスン。

「ミャー…ミャー!」


「(ああ…抱き締めたい、撫でくり回したい…でもそれはあたいのキャラじゃない!)」


「姐さん…無理しない方がいいですぜ?」

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