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決してジャンクフードではないようです

いつの間にか1000PV…

御観覧ありがとうございます

さて、まずは夕飯の分の買い出しですね。


暫くは大人数の食卓になりそうだから纏めて作れる物にしたい所です。


カレー粉があればカレーにしていましたがそんな便利な物はありませんし、スパイスの配合とか知りませんからね…


シチューは既に存在している様ですから真新しさがありません。


かといって今からラーメンもどきを作るには時間が足りませんし…どうしましょう?


「そういえばナクアちゃん、貴女はどんな食べ物が好きですか?」


「ナクアはね、チーズの入ってるサンドイッチが好きー!」


成程、サンドイッチですか。


手早く作れて栄養バランスも考えやすく、しかも美味しい…いいチョイスですね。


「お、これは…丸くて柔らかい、ハンバーガーみたいなパンだ」


ほう、丸いパンでしかも柔らかいとは…この世界に来てからは固くて四角い、日持ちするパンしか見てなかったのですが柔らかいパンがあったのですね。


あれはあれで食べ応えがあってあたしは好きですし、パン粉にするのも楽でしたから今後も利用しますけど。


店の人に話を聞いてみたら以前来た旅人がこういうパンが欲しいと言って、それを商品にしたのだとか…


その人もしかしてあたし達と同じ世界から来た人じゃないでしょうか?


もし会えたら色々と話を聞いてみたいですね。




まあこれも何かの縁という事で。


「…よし、夕飯にはこれを使いましょう」


「さっきの会話と丸いパン…ハンバーガーか?」


「ええ、さっきの会話で食べたくなってしまいました」


フフフ、これなら材料さえ用意してしまえば後は挟むだけですからね。


空いた時間を使って醤油作りの為の準備をしましょう。




野菜と肉の購入も終わって新しい樽を幾つか買い、塩とダイズ豆と粉にしていない麦を買って…


「うー…ナクア、お豆さんは嫌ーい!」


「おいおい、好き嫌いしてると大きくなれないぞ?」


その言葉はあたしに刺さるので止めて下さい…


他はともかくセロリだけは苦手なあたしは匂いだけでリバースしてしまう程の拒絶反応を出してしまうのですよ。


そのせいでいつまで経っても胸がまっ平らなままですし!


因みにロウも小倉餡が食べられませんから人の事は言えませんよ?


「安心して下さい、この豆は食べる為の物ではありませんので」


「そうなの?」


「ええ、これは調味料を作る為の材料ですからね」


とはいえ好き嫌いが良くないのは確かですからね…醤油作りが上手く行ったら黄粉でも作って食べられる様に工夫してあげましょう。


まっ平らの苦しみはよく判っています、将来がある子にそれを味わわせるのは忍びないですからね。


あたしのセロリ嫌いは最早アレルギーと言うべき状態なので今更治す気はありませんけども。




そんなこんなで夕飯の支度をさっさと終わらせて、厨房で作業を開始します。


ダイズ豆を蒸して、麦を空炒りしながら砕いて…


「じー…」


「じぃー…」


「ジー…」


うん、ナクアちゃんもコカちゃんも…いつの間にか来ていたサーグァ様までそんなに見られるとやり辛いのですが?


この世界じゃ珍しい物を作っているのは確かですけど。




気を取り直して、蒸した豆と砕いた麦を混ぜて…麹菌が育つのを待つ暇はないので【短縮(ジャンプ)】で省略しましょう。


うん、いい色になったのでこれを樽に詰めて、塩水も入れて…と。


普通なら半年から2年は熟成させなければならないのですが…折角なので魔力が持つ限り省略します。


というかあたし自身が醤油を味わいたいのです。


よくかき混ぜたらまた【短縮(ジャンプ)】を掛けて、またかき混ぜてを繰り返して…


…うん、いい香りがしますね。


後は新しい樽に大きい笊を被せて、その上に布を数枚被せて…この醤油の元を少しずつ入れて、包んだら重りを乗せて…


確か昔読んだ本には一気に搾らずゆっくり時間を掛けろと書いてありましたからね…


このまま半日放置しておきましょう。




「言っておきますが、これが使える様になるのは明日以降になりますよ?」


「「「がーん!」」」


皆さん息ピッタリですね!


というか何でショックを受けているのですか?


「だってキュアさんが作った物ですよ?美味しいに決まっています!」


うん、これが嫌いな人はそんなに居ないとは思いますが…日本人に限った話ですけど。


「キュアちゃんの作った…料理や調味料…凄く…美味しいし…絶対に…売れるから」


行商人らしい意見ですね…絶対にと言われても干物はそんなに売れてませんよ?


干物はあたしが食べたいから作ったので売れなくても構わないのですけど。


因みに魚醤は完全にあたし達専用なので売るつもりはありません。


「コカお姉ちゃんが絶対に美味しいって言ってたから食べたかったの!」


醤油は食べ物ではなく調味料です…


そのまま口にしたら身体を壊しますよ?


「とにかく、もうじき夕飯にしますから準備をしますよ」


「「はーい」」


「では楽しみに待ってますね」


切り替え早いですね…というかサーグァ様も手伝って欲しいんですけど。




という訳で夕飯はハンバーガーです。


具はレタスに良く似たグリンという野菜とトマトに良く似たレッドという野菜、薄切りにして水に晒したタマネギ、以前コカちゃんに作って貰ったハンバーグにナクアちゃんが好きなチーズです。


これに…ケチャップはなかったので、自作のマヨネーズから作ったタルタルソースもどきを一緒に挟んだら出来上がりです。


もどきなのはピクルスがなかったからで、代わりに酸味のあるハーブのみじん切りを入れているからです。


その内ケチャップを作ってもいいかもしれませんね。




余談ですがタルタルソースを作っている最中にアトラさんがマヨネーズを味見してそのままハマってしまいました。


この世界で最初のマヨラーが誕生した瞬間に立ち会ってしまいましたよ…


余り摂取し過ぎると太りますから気を付けて下さいね?




そんなこんなで夕飯の時間です。


王様と夫人の皆さんに何故か騎士の人までスタンバってました。


そういえば他の夫人達と話すのはこれが初めてですね。


「わたくしは第1夫人のエリナと申します、貴女の料理を再び味わえる時を楽しみにしていましたわ」


エリナ様はいかにもな御令嬢ですね…


今回のはいわゆるファーストフードなので期待されると申し訳ないです。


「私は第2夫人のマリーです、料理も楽しみだけど戦闘の方も期待してますね」


そういえばマリー様は王様と一緒に悪徳貴族や奴隷商人の殲滅をしていたんでしたね…


あたしもそういう輩は極力ぶん殴ってトゥグア様の信者にさせるつもりなので利害は一致していますね。


「元フォーマルハウト王国騎士団団長のヴァレンという…お主が作ったという干物は酒に合うので大いに気に入ったぞ」


お買い上げありがとうございます…って貴方既に引退してたんですか。


またルイエに行けたら他にお酒に合う物を作りますね。




何はともあれハンバーガーを出しましょう。


例の如く皆さん食べ方が解らないらしく、ロウが手掴みで噛っているのを真似していました。


因みにおかわりは用意してありますが挟むのはセルフでお願いしますよ。


「うーむ、君の作る料理はどれも独創的で美味いな…城の料理人としてスカウトしたいぐらいだ」


「一見サンドイッチみたいだけど、全くの別物ですわね…中のソースも面白い味ですわ」


「サーグァさんが気に入った理由が良く解ります…とても美味しいです」


うん、皆さん気に入ってくれた様で何よりです。


「ナクア、お肉とチーズだけじゃなくて野菜も挟みなさい!」


「やー!」


ナクアちゃん…ハンバーグとチーズだけって胃もたれしますよ?


それとアトラさんもトマトとマヨネーズだけ挟んでるのはどうかと思いますが。


意外だったのはヴァレンさんと王様がタルタルソースもどきだけを挟んで食べてた事ですが…そんなに気に入ってしまったのでしょうか?


後でレシピをお渡ししましょう。


尚、ロウとアプさんがハンバーグだけを纏めて3つ挟んで食べていたので野菜だけのハンバーガーを用意しておきました。

「すみません、おかわり下さい!タルタルチーズマシマシで!」←サーグァ


「もう7個目なんですけど…まだ食べるんですか?」←キュア

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