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今も昔も変わってないらしい

ねんがんの ちょうみりょうを てにいれたぞ!


なんて事があって、ようやくこの国の首都であるボリアに向けて出発です。


サーグァ様の食欲も満足した様ですしね…着くまでの間はやたらと作らされそうですけども。


まあ魚醤のお礼とかで鰻の捌き方を教えて貰えたので結果的に得をしましたね。


「ようやくボリアに行けるんだな…ここまで結構掛かったな」


「あたし達の最初の目的でしたが…色々ありましたからね」


ラーメンもどきを作ったり、魚を釣って干物を作ったり、魚を釣って魚醤を作ったり…


おかしいですね…世界を救う話だった筈なのに料理と釣りしかしてない気がしますよ?


「いや、他にもあっただろ…クティとか」


「クティ?知らない子ですね」


そういえば最近音沙汰がありませんがアバズレは何をしているのでしょうか?


その内ひょっこりとちょっかい掛けに来そうではありますけれど。




「おや?前から凄い勢いで走って来る人が」


「あいつは…見覚えがあるねぇ」


どうやらアプさんの知り合いらしいですね…


「おい、あんた達も早く逃げ…ってアプの姐さん!?」


「やっぱりデストかい、久しぶりだねぇ」


姐さんと来ましたか…いや、納得は出来ましたけど。


頼りになりますからね…本当に。


「えっと…お嬢の隣に居る嬢ちゃんと坊主は?それに何で第3夫人がそこに?」


お嬢って…ああ、コカちゃんの事ですね。


サーグァ様も何気に有名人ですね…王様の夫人なら当たり前なんでしょうけれど。


「ああ、キュアとロウってんだ…ちょいと訳ありでね、面倒見てんのさ」


「へぇ…っと、俺はデストってんだ、以前姐さんに世話して貰った旅人で鍛冶師(スミス)だぜ」


スミス…って確か戦う武器屋といった職業でしたね。


成程、武器を作ってはアプさんが売ってくれていたんですね。






とりあえず現状の説明を簡単に済ませて…次はデストさんの番ですね。


「で、何があったんだい?」


「あ、はい…実はこの先に大量のスライムが増殖してやがって」


ファンタジーな世界のスライムといえば…


最初に戦う雑魚か、女性の装備や下着を溶かしてしまうエッチな奴か、剣や弓矢が効かない厄介な奴の3種類が居ると記憶していますが…


この人の様子から察するに厄介なモンスターっぽいですね。


「攻撃が通じないのは判ってたし、備えに持ってたスクロールの魔法をぶっ放したのはいいんですが…奴等その魔法を喰って更に増えちまって」


スクロールってかなり貴重な品だったと思うんですが…


どんだけ稼いでるんですかこの人は。




「多分だけど…それ…マジックスライム…だね」


「ああ…確かにそれなら逃げたのは正解だねぇ」


マジックスライム…どんなスライムですかそれは?


「マジックスライムはね…魔法を餌にしちゃう…厄介なスライム…だよ」


「しかもスライムだから盾や拳じゃ倒せないんだよ…」


アプさん、盾は武器ではありませんよ?


しかしそれだとロウの弓矢も効かないでしょうね…


むしろどうやって倒せばいいんですか?


「マジックスライムには1つだけ弱点があって、純粋な魔力だけを餌にしてたせいか毒や細菌に物凄く弱いんですよ」


流石はサーグァ様、物知りですね。


「へぇ…スライムって雑食だと思ってたんだけど」


「マジックスライムは…何処かの研究者が…廃棄したスライムの…生き残りが増殖したんだって…噂があるんだよ」


「そういや前にカビの生えたパンを食ったスライムが消滅したって話を聞いた事があったねぇ…」


きっとその話のスライムがマジックスライムなのですね…


とりあえず噂になっている研究者がまだ生きているのなら1発ぶん殴ってやりたいですね。




とりあえずモンスターの弱点は解りましたがあたし達の荷物に毒なんてありましたっけ?


「なあキュア…細菌で倒せるんなら魚醤が使えないか?」


「はったおしますよ?」


ようやく出来上がった故郷の味を攻撃に使うなんて勿体ない事はしないしさせません。


あ、魚醤といえば確か…


「そういえばあの毒持ちの魚はもう捨てちゃいましたっけ?」


「そういや…色々あって鞄に入れっぱなしだったな」




とりあえず皆さんに見て貰った方がいいかと出してみたのですが…


「これはポイズンか!何でこんな沢山居やがるんだ!」


この茶色いブラックバスはポイズンと呼ばれているのですか…


まあ毒があるそうですし、名前はこの際どうでもいいでしょう。


宿の料理人達にも魚醤を分けるべく沢山釣った中にもチラホラ混ざってましたからね…腐る程ありますよ。


「確かにこれをマジックスライムに食べさせれば倒せますね…問題は数ですけど」


「この数でも半分減らせるかどうかって所だろうな…せめてこの倍は欲しい所だ」


実際に見たのはアプさんの舎弟?のデストさんだけですからね…


どの部分に毒があるのか判らない以上捌く訳にもいかないでしょう。


「となれば…釣るしかないか」


「幸い川沿いに歩いていましたからね、すぐに準備しましょう」


「ぼ、ボクも…手伝う」


「デスト、あんたも手伝いな」


「わ、判りました!」


「では私も釣りますからキュアさんはポイズンと、それ以外の魚を分けて下さい…そして釣った魚でお昼ご飯をお願いします」


そういえばそろそろお昼の時間でしたね。





とりあえずお昼は鮭の切り身に魚醤塗って焼いて、アラを煮込んだアラ汁で手早く済ませてしまい、ひたすらポイズンを釣る作業を繰り返して何とか数は揃ったのですが…


「あの…これスゲェ重いんですが?」


そりゃ300匹近い魚を入れた樽ですし、重くない筈がないですよね。


「男なら文句言うんじゃないよ!」


アプさん結構人使いが荒いんですね。


といってもアプさんはその10倍はある荷車を1人で運んでいますけど。


「ぐぅ…姐さんは相変わらずだなぁ」


「昔からこうだったんですか?」


「ああ、まあでも何だかんだで尊敬はしてんだけどよ」


「判ります」




で、遂に問題のスライムが現れたのですが…見事な程に真っ白いスライムとか初めて見ましたよ。


「さっきより更に増えてやがる…」


うん、どう見ても400匹は居そうですね。


「あの辺に水晶がいくつか落ちてる…って事は他のモンスター喰って増えやがったな」


はて…モンスターなんて雑菌の塊だと思うんですが食べても平気なのでしょうか?


とか考えてる余裕はありませんね…倒さないと先に進めません。


「とりあえず…減らせるだけ減らしてしまいましょう」


幸い知能はない様でそこら中に撒いたポイズンを勝手に食べてくれてるので作業は楽な物でした。


しかも消滅したスライムの食べ残しを勝手に食べてくれるという学習能力の無さが非常にありがたいですね。


でもスライムは消滅しても水晶を落とさない様ですね…骨折り損って奴です。


「とりあえず…そこらに落ちてる水晶拾っておくか」


「まあないよりはマシですね」




水晶も拾い終わって先に進もうと思った矢先…今度は真っ黒なスライムが現れた?


「貴様等…よくも我が眷属達を殺してくれたな」


スライムって喋れるんですね…


「何あれ…あんなスライム…初めて…見た」


「お嬢の知らないスライム!?一体何者なんだ?」


コカちゃんが知らないって相当レアなんじゃないでしょうか?


「とりあえずクロベエとでも呼びましょうか?」


「誰がクロベエだ!我の名はスパウン!クティ様に作られたスライムの王である!」


ああ、あのアバズレが作ったモンスターでしたか。


早くも3体目を見つけてしまいましたね。




「前はクトゥルヒで今度はスパウンか…確かスパウンって」


「あたしの読んだ神話によれば無形の落とし子…怠慢の邪神の眷属ですね」


確か英名はformless spawnとか言いましたから…


下のスペルをそれっぽく読んだだけですねこれは。


「そういえば怠慢の邪神もアバズレの上司と同じ地を司っていましたね」


「あのキュアさん?それってもしかして姉さんに祈りを捧げている時の詠唱と何か関係があったりしますか?」


「あー…深く追及しない方がいいぞ?」


正気度が下がってしまいますからね…


というか詠唱って何の事ですか?


「無自覚だったのかキュア…」




「おい貴様等!いつまで我を待たせるのだ!」


ああ、そういえばまだ戦闘中でした。


「というかお前、何で律儀に待ってるんだ?」


「そうするのがオヤクソクという奴なのだろう?」


判ってますねこのスライム…


アバズレが作ったモンスターでなければペットにしても…流石に無理ですね。


「スミマセンがちょっと作戦を練りたいのでもう少し待って下さい」


「仕方ない…なるべく早くするのだぞ」


うん、話が通じるのは良い事です。


さて…あれはどうやって倒せばいいんですかね?

~その頃のクティさん~


「スパウーン!食事の時間ですわよー!」


「居ませんわね…何処に行ってしまったのかしら?」

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