お胸に挟まれて死にたかった
( ̄^ ̄ゞ
――上空
「静流さん……」
「ん? どうしたマリア」
「私……もうらめぇっ!!!」
「ふぁ!?」
壁を越えた直後に静流の目に映りこんだティエールの街並みは、綺麗の一言では表せないほど夢のあるものだった。
洋風の建物に馬車、剣などそれぞれの武器をもった冒険者らしき人、それに人種だって多様だ。
これこそ静流が待ちわびた異世界だった。
だったのだが……。
「おい、マリア? マリアァァァッ!?」
「……………………………………」
高所恐怖症。
そう。マリアは極度なまでに高いところが苦手なのだ――
最初に静流の前に落ちたのもそのためだ。高く飛ぶまではいいが、高さを認識した途端マリアの意識は空へ飛ぶ。
「ちょ、待て待て待てぇぇぇ! そうだ! ステータスリセット!! バイタリティにオールセットォォッ!!」
真っ逆さまに落ちる中、間一髪でスキルを発動した静流は、防御力にステータスポイントを全振りする。
マリアの下敷きになるように体を突き出した静流は、石畳に頭から落ち……。
「ガハッッッ!!!!」
《主様!?!?》
死んだ――
~~~~~~~~~~~~~~~~
「痛ってぇぇぇぇぇぇぇッッッ!!」
自宅――
本日二度目の帰還である。
時は大して進んでいないが、死んだ時の恐怖は残っている。
「そういや、俺HPギリギリだったんだった……。けっ、クソッタレが!」
もう少しでマリアの胸に顔挟められたのに! とゴミ箱を蹴った静流は、流れでカーテンを覗き込む。
さっき一瞬目に飛び込んできたティエールの街並みと現実世界の街並み……。
本当に違う世界に居たのかと改めて実感する。
「とんでもねぇな本当……この一瞬で達也が死んで、俺が違う世界に行ってた? やっぱ夢みたいな話だな……」
心のどこかに沈めていた達也の死を思い返し、苦い顔をした静流は、ポケットから黒いカードを取り出す。
「そういや、死んだらどうなるんだこれ……」
前回は強制的にリイスに帰還させられたが、今回は普通に死んでしまったわけだ、もしかすると所持金消滅したり、セーブシステムがあったり、色々やらかしてしまってるかもしれない。
そう思った静流は、これ……まずいだろ! と慌ててゲート解放の言葉ラ・トランスファイルを唱え、現実世界を後にした。
もちろん今回も靴を忘れてね――
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