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旧作(2009〜2018年完結) 「TOKIの世界書」 世界と宇宙を知る物語  作者: ごぼうかえる
最終部「変わり時…」世界を変える力
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変わり時…最終話漆の世界24

再び戦闘になったがマナ達の動きが変わるわけではない。

時間操作でイザナギの攻撃をかわし、隙をみてイツノオハバリで凪ぎ払うが避けられ攻撃を加えられる。

マナはイザナギが持つデータを奪う方法を考えるが解決策は思い付かない。


「相手が……強すぎる……」

栄次が疲弊してきた。早く勝たなければ全滅してしまう。

プラズマ、アヤ、マイはタイミングを合わせるので精一杯で打開策を考える余裕はない。


「どうすれば……」

考えていると頭にアマテラス大神の声が聞こえてきた。


「え!?」


「どうした?マナ……」

「アマテラス様の声がする……」

マナは栄次にそう答えて声に集中した。


『……聞こえますでしょうか?今、黄泉にいますね?わたくしはアマテラス。わたくしはいまだ思兼(おもいかね)をデータでおさえております。

スサノオはタケミカヅチと戦闘中。黄泉はわたくし達は入れませんわ。

……ただ、ツクヨミは侵入できますので応援を要請しておきました。

では』


アマテラス大神は一方的に話すと突然に声が聞こえなくなった。


「頭に声が……」

「それは通信だ。神々はこうやって離れた者と会話ができる。テレパシーというらしいが」

栄次はイザナギのアメノオハバリを間一髪で避けると冷や汗をかきながらマナに答えた。


「……ツクヨミ様が来てくれるらしいの……」

マナがつぶやいた時、ホログラムのようにツクヨミが現れた。


「やあ、『さっきから見ていた』けどなんだかイザナミが逆の事を言ってたよ。イザナギ」

「……」

ツクヨミは表情なくイザナギの前に現れた。イザナギは少しだけ動揺を見せた。


「逆……とは?」

「あなたが言った言葉、『千五百人を産む』という言葉をイザナミは逆にしていたよ。あなたがまるで人殺しかのような言い分だ。本当はイザナミが『千人殺す』と言ったのに。……彼女は改変でデータの一部を損傷したようだ。これはKによるものと考える」


「……もういいのだ。私は人間の男性のモデルデータではない。妻は……私を当時の人間達の男性感で立てようとしたのだろう。私はその発言に対し、なんら怒りはない。妻を今でも愛している」


「そう?でも、男性が破壊の対象なんてなんだか疲れない?あなたは僕達を産んだじゃないか。男だってなにかを産み出せる。黄泉に連れ込む破壊をしているのはイザナミ、千人殺すと言ったのもイザナミ、むしろ狂暴なのは女じゃないか」

ツクヨミは呆れた顔でイザナギを見た。


「私達は……一般的な人間の男女のモデルデータの逆をバックアップする神でもある。だからこれでいい」


「……じゃあさ、マナに自由にしてもらえば?」

「別によい」

イザナギの言葉にツクヨミは目を細めた。


「……僕はあなたの右目だ。姉は左目、弟は鼻。僕達は世界改変を支援する。あなたもそうなのでは?」

ツクヨミが言葉を発した刹那、イザナギが苦しみ始めた。

なんの変化もなく突然だ。


「な、なに……」


マナ達は少し距離を置いてイザナギを見据えた。

「姉の神力と弟の神力をもらった。僕達はあなたから産まれた。故にあなたから産まれた部分とリンクできる……」


「……くっ……」

イザナギは目や鼻を押さえていた。


「僕達があなたの目と鼻を封じた。獣のように、においで敵を把握することも目に頼って敵を把握することもできない。耳のみだ。ハンデにはいいでしょ?」

ツクヨミはイザナギに声をかけながらマナを一瞥した。

マナに早く動けと目で言っているようだ。


「栄次さん……」

マナは小さく栄次にささやいた。

栄次は深く頷き、走り出した。


察したアヤがプラズマと目配せをして時間操作をおこなった。

イザナギは栄次の姿を探している。栄次はまたもイザナギの懐付近に現れた。

マイが糸を飛ばす。わずかな音に反応しイザナギがアメノオハバリを振るう。


マナは決死の覚悟でイツノオハバリを凪ぎ払った。アメノオハバリとイツノオハバリはぶつかり合ったがイツノオハバリが力負けをした。イツノオハバリはパックリ折れて遠くにすっ飛んでいった。


「……くぅ!!あきらめない!!」

マナは眼鏡を咄嗟に外した。


……このままデータをとってみるしかない!!


桃、葡萄、筍のデータはすぐにわかった。自分が持っているデータをなぜか即座に解析できた。

無理に手を伸ばす。

本当に瞬間の出来事だった。


同じデータだったからかマナの手に桃、葡萄、筍のデータがそれぞれ磁石のように吸い込まれてくる。


「……!!」

イザナギはアメノオハバリを乱暴に振るった。栄次は反応できなかったが飛んできたツクヨミに抱えられて助けられた。


「もういいよ。彼は負けた。データを取れたんだね。これでイザナギは黄泉の神々に再び追われて穢れを纏う。もういいから彼にデータを返してあげて」


「もういいって……」


「彼には戦う意志はもうないよ。僕らはイザナギに目と鼻を返した。だから君も」

ツクヨミが栄次とマナを抱えて地面に降り立った時、イザナギがこちらをじっと見つめていた。目が見えているようだ。

イザナギは戦闘の意志がないのか動かない。


「……負けを認めたんですよね?」

マナはツクヨミにもう一度確認を取った。


「大丈夫。返してあげて」

ツクヨミの言葉にマナは先程の余りの桃、筍、葡萄を差し出し地面に置いた。

三つの品物はデータとなりイザナギに自動的に吸い込まれていった。


「……これも世界の定めか……」

イザナギは呆然としていたがマナに向き直り、手から長い矛を出現させた。


「……ついに……」


「アマノミナヌシ……日本のワールドシステムに入れる。アマノミナヌシはデータだ。どう改変しようとしているかわからんが……そう簡単ではない」


「ありがとう……ございます」

マナは栄次に支えられながら矛を手に持った。不思議と重くはなくマナでも持つことができる。


「……その矛が持てるか……ならば……本当にワールドシステムを持った者か」

イザナギは目を閉じると何事もなかったかのように去っていった。


「あ、あの……」


「矛が手に入ってよかったね。僕はもういくよ。アマテラスとスサノオに成功した事を言っておくね。じゃあ」

あまり感情が出ないツクヨミはすぐにその場から消えてしまった。


「自由すぎるわね……」

アヤが体を震わせながらマナの所へやってきた。


「自由だな……」

プラズマとマイも近づいてきた。


「これからどうする?」

栄次の言葉にマナは少し考えてから

「……皆でワールドシステムに入る!」

と答えた。


これを聞いた時神達は目を見開いて驚いていた。


「え?私達も行くの!?」

「なんだか嫌な予感が……」

アヤやプラズマの困惑の声にマナは頷いた。


「皆で行くの」

譲りそうもないマナに一同は仕方なく頷いた。マイだけはひとりで笑っていた。

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