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旧作(2009〜2018年完結) 「TOKIの世界書」 世界と宇宙を知る物語  作者: ごぼうかえる
最終部「変わり時…」エラーの出た神
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変わり時…4狂う世界9

アマテラス大神の瞳が黄色に輝く。これはこちらの世界でエラーが出ていたマナが見せた瞳の色と同じだった。

それを確認したのは健だけだ。


「アマテラスさんの瞳が……」

そう言いかけた健はふと振り向いたアマテラス大神と目が合った。


「健さん……『あや』さんのお父様。あなたの娘さんはただいま重要なプログラムが作動しました」


「えっ!?」

アマテラス大神からの突然の発言に健は頭が真っ白になった。


「ああ、大丈夫ですわ。弐の世界のリョウの所にいらっしゃるだけです」

「なんでリョウさんの所に?」


「楔が時神アヤさん、歴史神ナオさん、ヒメさん、芸術神マイさんだけではないということですわ。日本のみの話ですが、改変のプログラムが入っているわたくし達アマテラス、スサノオ、ツクヨミの他、別の国で想像された時刻の神クロノスを日本人が独自の想像で創った日本のクロノス、リョウ。その他カオス時に出現したとされる神々を繋いでいるのが時神アヤさんの原型、あなたの娘のあやさんです。別れていた私達が集まったことにより裏の楔が抜けました。日本のワールドシステムが開いてしまったので他の国のワールドシステムが干渉してこないようにリョウとあやさんが日本のみの時間を止めても世界に辻褄が合うよう調節しています」


「私の娘にそんな力が……」

健はただ口をぽかんと開けたままアマテラス大神の話を聞いていた。以前マナが眼鏡を外して健の娘、あやの事を言っていたのを思い出した。


「では、社内へお入りください。扉はあります。マナさんが持っている鍵で開けてください」

アマテラス大神は健から目をそらすとマナに目を向けた。


「はい」

マナは素直に頷き、まわりを見ずに社に手をかざした。マナには社の前に鏡のような扉が見えていた。


「マナ、世界にやられるなよ」

ふとプラズマがマナに言葉を発した。マナは振り向くと一言「うん」と頷いた。


振り向かずに進もうと決意をしていたマナは冷たい、冷酷な顔をしていた。ここまでで覚悟は決まった。自分の信じたものを通すなら冷えた感情の方がいいとそう思った。

足を雷に貫かれても平気になった。


かざした手が鏡に吸い込まれていく。電子数字が飛び散り、ケイにすすめられてはじめてパソコンから入り込んだ時のような感覚に襲われた。


「とりあえず、リョウの世界に飛べますから」

アマテラス大神はそう言って微笑んだ。マナが吸い込まれて行ったので健とクラウゼも慌てて鏡に入り込んだ。プラズマとマイはアマテラス大神と社を眺めながらその場に佇んでいた。


マナ達はリョウの世界とやらに飛んだ。電子数字で分解された体がまた元の身体に戻る。分解されて戻ると雷でうけた傷がすっかり治っていた。もうその時点でマナは自分が本当に人間ではないことを実感した。体が電子数字で再構築され正常な元の状態に戻ったということだ。


おまけにこの世界に順応させるためのプログラムまで頭に入ってきた。正直、今は邪魔だ。こちらの世界は何がしたいのかマナを止めたり進めたりする。


リョウの世界とやらは満月がきれいな海辺の世界だった。

月が海に照らされて美しいが現世でみたような時間停止が行われている。海から寄せる波が中途半端で止まっていた。


「奇妙な世界だな」

クラウゼが辺りを不気味に眺めながらつぶやいた。


「不思議な世界ですね」

健も少し先にある海岸を首をかしげながら見ていた。


「ぱぱ!」

「?」

いつの間にか健の目の前に小さな女の子が立っていた。

その女の子は時神アヤにそっくりだったがアヤと比べるとかなり幼い。


「あやちゃん!」

健は急にデレた顔をすると女の子を抱きしめながら頬をグリグリこすりはじめた。


「アヤさんにそっくり……。健さんの娘さん?だよね」

「あなた達は……」

マナが尋ねると健の娘あやが聡明なまなざしで聞き返してきた。


「あ、私はマナ」

マナはとりあえず名前だけ言った。その後、クラウゼも名乗る。


「俺はクラウゼだ」

「あーっ!」

クラウゼはあやの手をとると甲にキスをした。レール国の女性に対する挨拶だったが健は悲鳴を上げた。


「あやちゃんにチュウを……。チュッチュするのは俺だけ……なのに」

健はビジネス言語であった丁寧語を簡単に捨てて肩を落とした。


「なんか賑やかだね。マナ、ここまで来るとは思わなかったよ。世界は君を生かしたいのか殺したいのかわからないね」

近くの木から少年の声が聞こえた。木を見上げると太い枝にリョウが座ってこちらを見ていた。


「リョウさん……私は私で進むよ」

もう何を言われても怖くなかった。


「そうか。でもね、そんな簡単じゃないよ。剣王が来る。世界は相変わらずどっちつかずだ」

「剣王……」

リョウの言葉にマナは軽く苛立ちを覚えた。


……どうして邪魔をするの?

私はこちらも向こうも救うと言っているのに!


よく考えるとどっちつかずの者とマナの敵になる者しかおらず、こちらの世界では味方が存在していないことに気がついた。


……でも、私はこちらの世界に入り込めた。おまけに向こうの神々は味方をしている。一体、なんなんだ。

私にどうしてほしいの?世界……。

アマノミナヌシ神。

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