変わり時…4狂う世界4
駅前から神社に向かい走った。神社は例の高校を真ん中に三角を描くように三つ存在していた。マナは眼鏡を外して駅前にある地図パネルを眺めるうちに伍の世界にあった病院前の地図にそっくりなことを発見した。
と、いうよりやっぱりそうかと思った。
「この三角の真ん中にあるのが病院か学校かの違いなだけ。でもこの神社は眼鏡を外さないと現れない。やっぱり伍の世界とリンクしてたんだ!」
マナは走りながら興奮した口調でプラズマ達に言った。
「確かにこの周辺見てると同じな気もするな。ところで、こっちでいいのか?」
駅前を通りすぎ、商店街を抜けた先に小さな公園があった。その小さな公園から先は道がない。そのまま山に繋がっているようだ。
「ここから先は獣道みたいですね?道があるかもわかりません」
健が首を傾げた。
「でも……」
マナは眼鏡を外した。辺りの景色、それとプラズマ達は一瞬で電子数字に変わった。マナの目には電子数字に変わった公園の先で鳥居が揺れていた。
「あそこに鳥居がある」
「鳥居ねー、俺はわかんないが」
プラズマは目を凝らして鳥居を見ようとしたが存在そのものを確認できなかった。
眼鏡を再びしたマナは獣道の先を指差した。
「あそこ……」
フェンスがあるので子供は入れそうにないがよく見ると網のフェンスが破れている所があり、中に入れそうだ。
「ふむ。悪ガキが網をねじ曲げて中に入り込んで遊んでたみたいだな」
マイがクスクス笑いながら腰をかがめて網を通った。
「おい!勝手に行くなよー」
プラズマは呆れた顔でウキウキ顔のマイを眺めた。
「なんだかここから先、嫌な予感がするんですけど……」
健は顔色悪くマナを見た。
「もう引き返せないから行くしかないよ」
怯えている健にビシッと言い放ったマナはマイに続きフェンスを潜った。
「仕方ないですねー」
健も観念してフェンスを潜る。プラズマも潜った。
嫌な予感はだんだん強くなってきた。山を登っていき、鳥居の前まで来た。マナは眼鏡を外して鳥居を確認する。
「やっぱりここに鳥居が……」
「あぶねぇ!」
そこまで言った時、突然プラズマがマナを突き飛ばした。
「うっ!?」
「なんだ!?火の玉!?」
マナは尻もちをつきながらプラズマを見上げた。
「ひのたま?」
マナがいた所を見るとなぜか焼け焦げていた。
「なんだかわかりませんがまた来ました!」
健が叫びながらえぃこ、びぃこを出現させた。えぃこ、びぃこは完全回復して現れた。そのまま魔法使いスタイルに変身すると飛んできた火の玉を弾いた。
「なんだ?火の玉か。魔法使いみたいだな。おもしろい」
マイだけはひとりケラケラと笑っていた。
マナは火の玉が飛んできた方向を探した。神の仕業のはずだが姿を確認できない。
「どっから飛んできた!?」
プラズマも探した。
「ネコだわ!ネコがいるわ!白い猫!」
えぃこが魔法の杖を握りながら叫んだ。
「ネコ!?」
嫌な予感がした。白い猫……。
「まさか、レール国の……」
健が白猫を見つけてつぶやくと白猫は男性になりマナ達を睨み付けた。
知らない者だったが線路を模した独特なエスニックの服装だったのでレール国の者とすぐにわかった。
「なんでレール国のやつが攻撃してくんだよ!だいたいなんで動いてやがる!」
プラズマは苛立ちながらレール国の男神に叫んだ。
「気を失っている者もいるが、我々はこの世界の秘密を知っている。だから動けるのだ。ラジオールはお前達を敵と判断した。我々はこちらを守る。それがこの世界の意思」
男神は平然と言い放った。
「畜生!お前らは見てるだけじゃなかったのかよ!剣王がやられたから出てきやがったのか?」
プラズマが掴みかかる勢いで男神を睨み付けた。
「我が軍の総大将クラウゼの采配だ」
「クラウゼさんの!?クラウゼさんは協力的だったはずなのに」
男神の発言にマナは悲鳴をあげた。
「この世界のシステムがお前らを止めろと言っている。クラウゼもそれに従ったにすぎない。こちらのKが世界改変を望んでいない」
男神は再び火の玉を出現させるとマナ達に向かい放った。
「えぃこ、びぃこ!」
健が叫び、えぃこ、びぃこが火の玉をシールドで弾いた。
「我々レール国の神々は本来は存在しなかった国の神々。Kが作った神々だ。我々はKと同じなのだ」
男神はさらに火の玉を出現させた。
「Kはこちらの世界を守るためにいる。裏切っているのは向こうのKのひとりとお前だけだ」
男神は健を指差しハッキリとそう言った。
「レール国の奴らは神のシステムコードとKのシステムコード、両方で動くのか」
プラズマが霊的武器の弓を構えながら苦々しくつぶやいた。
「とりあえず、倒さないといけないみたいだな」
マイはマナに狂気的に笑いかけた。
「う、うん。倒すっていうか……弐の世界に飛ばそうか」
マナは戸惑いながらマイに答えた。




