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旧作(2009〜2018年完結) 「TOKIの世界書」 世界と宇宙を知る物語  作者: ごぼうかえる
最終部「変わり時…」エラーの出た神
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変わり時…4狂う世界3

スサノオが指定した神社に行くために高天原から現世に行く事にした。

「あ、時間が止まっているなら鶴が呼べないな」

「問題ない。私は上部の弐を出せるし渡れる。私が出した世界から現世に行けばいい」

残念そうにうつむいたプラズマを横目で見ながらマイが薄い笑みを浮かべて言った。


「あ、私も弐を出せますし、渡れますよ?」

健も付け加えて提案した。そういえば健はワイズに捕まった時、弐を出して皆を逃がしたのだった。


「ああ、そうか。それでも現世に行けるのか」

プラズマは渋い顔をして近くの木によりかかった。


「では、私より健とかいうなよなよした男に任せる方が安全だろう」

「な、なよなよ……。ま、まあ、わかりました!私が弐を出して現世に連れていきます」

マイの言葉に少し傷つきながら健はため息混じりに言葉を発した。


「じゃあ、さっさと行こうか」

プラズマのかけ声で健が頷き先程と同じように弐を出現させた。


「なんか嫌な予感がするんだけど、行くしかないし」

マナは何かを感じとり顔をしかめていたが何があるか検討がつかなかったので考えるのをやめて弐に足を踏み入れた。

またネガフィルムが沢山絡まったようなものがある宇宙空間に出た。


「マッシー、またよろしく。今度は現世に」

健は胸ポケットに潜んでいたマッシーに声をかけた。


「はー、めんどくさっ。またやるのー?じゃあ、ドライイチゴちょうだいね?」

「わ、わかったから……」

マッシーは相変わらず不機嫌そうにしていた。健はなだめてマッシーを進ませる。


「ひとついいか?そのハムスターは時間の干渉を受けてないのか?」

「あ、そういえば……」

プラズマの疑問に健は首を傾げた。


「Kの使いだからとか?」

「そのなよ男が時間停止を受けていないからなのでは?先程、平次郎とかいう人形も動いていたが?」

マナの言葉にマイが答えた。


「お!そうかもしれないな。仕組みはわからんが。君、頭がきれるんだな」

プラズマはマイの意見に納得し、頷いた。


とりあえず、一同はマッシーを操り現世を目指した。

時間停止の影響か弐の世界もおかしかった。現在進行で動いていた人の心が停止しているためネガフィルム内の映像も停止している。

奇妙で不気味だ。もっともこの弐の世界も元々普通ではないが。


「もう着きますね。また図書館から現世入りする感じになります」

健は一同が動き始めてからすぐに到着を知らせた。


「早いな……」

あまりの早さに不安を覚えたプラズマは冷や汗をかきながらつぶやいた。


「世界が停止しているため、動きやすいですね。まあ、一部は動いているみたいですが」

健がちらちら辺りを見回しながらつぶやいた時、足が地面についた。


「地面だ」

マナは毎回の事、不思議に思いながら健の後を追って歩く。

健はマッシーを労い、ポケットに入れると図書館方面を指差した。


「あっちに歩いていくと人間の図書館につながります」

「じゃあ、さっさと行こうか。なんだか嫌な予感がするんだよ」

プラズマの言う嫌な予感とは何かわからないがマナもこれから起こることに対して嫌な予感がしていた。


……なんだか敵がいそうなそんな予感……明確にはわからないけど悪寒みたいな……


マナは唾を飲み込むと気合いを入れた。


しばらく霧の中を歩き、気がつくと本棚が沢山ある空間に出た。


本棚には本が一冊しかない。真っ白い本だ。この本は天記神という書庫の神が運営している図書館に通じる本だ。本を開くと弐の世界にある図書館に行ける。今回マナ達は逆をやったのだ。天記神の図書館がある空間から現世の図書館に戻ってきた。マナ達がいるこの場所は現世にある霊的空間なので人間には認知できない。霊的空間を出ると人間が使う図書館に出る。


「よし、現世まで来れた」

霊的空間を出ると突然賑やかになった。子供が絵本を読んでいるキッズスペースはいっぱいでなにか調べものをしている学生達は図書館にある机に熱心に向かっている。しかし、奇妙なことに人々は蝋人形のように全く動かない。


「不気味……」

「時間が止まってるからおかしなことになってるが無事にこちらに来れたな」

人間が使う図書館に出た所でプラズマはまず一息ついた。


「人が多い図書館だな。どこの図書館だ?」

「あ、鶴を呼べないからあの神社から遠い図書館だったらどうしよう?」


マイの言葉にマナは大切な事に気がついた。弐の世界にある天記神の図書館から現世の図書館はランダムだ。どこに飛ばされるかわからない。


「ま、まあ、出てから考えよう」

盲点だったと頭を抱えるマナにプラズマは顔をひきつらせて頷いた。


とりあえず外に出たマナ達は場所の確認のため駅前の地図を眺めた。この図書館は駅近にある図書館だった。駅前はごちゃごちゃ人が行き交っているが皆オブジェのように固まっている。うるさい環境だが音がまるでない。


「あ!ここ、あの学校がある近くの図書館だ!良かった!奇跡だ!」

マナは月影藤高校の文字を見つけた。この学校はマナが壱の世界に来た時、はじめてアヤとサキに会った場所だ。


「近かったか!良かった」

「マナさん、どこら辺に神社があるかわかりますか?」

喜ぶプラズマの横で健が辺りを見回しながら尋ねた。


「わかるよ。学校の屋上で見たの」

「じゃあ、さっさと行くぜ。さっきから誰かに見られてるような変な感覚がするんだよ」

プラズマは顔をしかめ、気配をうかがったがよくわからなかった。


「私も感じる。とりあえず行こうか」

マナも気持ち悪さを感じながら神社へと歩き出した。

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