変わり時…3時の世界1
セレフィアの図書館に戻ったマナ達はセレフィアに軽く日本に行く事を伝えると図書館を出た。
「さてと……。健、じゃあ今度は日本へ連れてってくれよ。天記神のとこへもいけんだろ?」
霧深い辺りを見回しながらプラズマは大きく伸びをした。
「……行けますけど……マッシーに聞かないと……」
プラズマの隣にいた健が胸ポケットにいるハムスター、マッシーをちらりと見る。
「あんたはそのハムスターを甘やかしすぎじゃないのかよ……」
「ま、まあ……お嬢様基質になってしまったのは私の責任でもありますが……なんとかしてみます」
健はマッシーにおずおずと声をかけ始めた。
「マッシー……日本にも行けるかな?」
健の問いかけにマッシーは人型になるとふてくされたように話し始めた。
「えー、めんどくさーい。まあ、でも日本製のおっきなおうち買ってくれたらいいよ~。あとね、追加でイタリア製のおっきな世界がほしい」
「え……おっきなおうちってあの快適陶器製巣箱の事だよね?確かあれ……一個四千円……だった気が……。おっきな世界ってケージの事か……イタリア製って言ったらあの有名なやつ……三万くらいするやつ……だよな……。し、仕方ないなあ……」
健は明らかに顔が青ざめていた。
「あのハムスター、弱みを握っておねだりがうまいやつだな……悪女だ」
プラズマが健とマッシーの会話を聞きながらマナを仰いだ。
「なんかちょっとうらやましい気もするけど……あんなわがまま私はできそうにないなあ」
マナは呆れながら健とマッシーの攻防を見守り、話がまとまりそうなところで声をかけた。
「あの……行ってくれるかな?」
「いいよ。いったげる。健が後で大型ペットショップに連れてってくれるって言っているし、ついでにごちそうおやつ買ってくれるって約束もしたし」
マッシーは満足そうに頷いた。なんだかわからないが高いおやつも買ってあげる約束をしたらしい。
健はますます顔が青くなっていたがマナ達はあえて声をかけないようにしておいた。
「じゃ、じゃあ連れてってくれ。急ぎだ。よろしくな」
プラズマは顔を引きつらせながらマッシーにお願いした。
「はーい。じゃあいこっかね」
マッシーは先程レール国に行ったようにマナ達をふわりと浮かせた。そして勝手気ままに歩き始めた。そのマッシーにマナ達はまるで磁石のように引き寄せられて無理やり進まされる形になった。
しばらくどこをどう歩いたかわからないがネガフィルムが沢山絡まり合うような場所にたどり着き、さらに歩くと真っ白な世界へ着いた。
「お、ここは天記神の図書館の場所か?」
プラズマが声を上げた時、足が地面についた。辺りは霧深くうっそうとした森が広がっており、その先に古びた洋館がぽつんと建っていた。
「はい、着きましたね……出費がデカかった……とほほ」
健はがっくりとしていたが無事つけたことにホッとしていたようだ。
「前回行った場所だね。ここ」
マナは洋館に胸を躍らせていた時期を思い出した。少し前に来た時よりも状態はわかってきている。最初に来たときは何もわかっていなかった。




