変わり時…2向こうの世界18
「ところで……その前に……クラウゼさん、あなたは伍の世界に行っていたとおっしゃっていましたが……結界を越えたのですか~?」
セレフィアは興味深そうにクラウゼを見ていた。
「知らんが……不思議と十年近く、そこにいる健と伍の世界に飛ばされていたんだ。伍の世界は不思議な世界だった。俺達の常識がまるで通用しない」
クラウゼはため息交じりにセレフィアに答えた。
「そうですか……。やはり……。ルフィニの言っていた通りです」
「……ルフィニって誰だ?伍の世界に詳しいのか?」
セレフィアの発言にプラズマが鋭く質問をした。
「会ってみるとわかりますよ~。……次元の神です。時神でもありながら暗闇の世界を結んでいると言われている悪役神です。本神は別に何か悪さをするわけではありませんがレール国ではその神を厄神として祭っています。厄災が起こりませんようにと崇められることで信仰を得ています~。我々にとっては大事な神です。逆に道を照らし導く、もしくはすべてのものと優しく繋がる正の神としてはレールがいます~。私達の国名でもあり、太陽神に近いと思います~」
「なるほど……陰と陽の神が存在するのか。しかし、陰方面の神が興味深いな。次元の神で時神で……その暗闇の世界ってのはなんだ?」
プラズマの質問にセレフィアはくすりと笑った。
「それは伍の世界ですよ~。レール国の神話では神々がいなくなった世界を暗闇の世界と呼んでいるんです。レール国の国民性は自然現象や人間の感情などすべてのものに神々が宿っているという考え方です。日本と似ているかもしれませんが……日本と違う所は神々が消えてしまった『終わりの世界』が明確に記されているところです。それもレール国の国民が考えた内容で不思議ですね~。あ、あそこからレール国に入れますので~」
セレフィアは静かに立ち上がると本棚の間にある不自然な扉を指差した。
「……とりあえず、そのルフィニとかいう神に会ってみるしかない。なんかこの国民は伍の世界を知っていそうで不気味だ……」
「私達の世界は……終わりの世界……なんだ」
扉の方面へ歩いて行くプラズマを追いかけながらマナは小さくつぶやいた。
セレフィアはほほ笑みながら見送ると再び何かしらの本を本棚から抜き取っていた。
「俺達も行くか。健」
「そうですね……。十年ぶりですけど時間が戻っているみたいですね?」
「……では、俺達はいなくなっていたことになっていない可能性があると」
「その可能性はあります」
健がクラウゼを促したのでクラウゼはため息交じりにマナ達を追った。




