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旧作(2009〜2018年完結) 「TOKIの世界書」 世界と宇宙を知る物語  作者: ごぼうかえる
最終部「変わり時…」未来に逆らう神
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変わり時…2向こうの世界15

 再び五芒星の結界が見えてきた。

 「あれは……結界ですか?」

 先程から驚いてばかりの健が不安げに尋ねてきた。


 「そうだよ。もうすぐで服着れると思う……。」

 マナは健とクラウゼを目に入れないようにしながら五芒星の結界を見つめた。

 五芒星の結界が真っ暗な宇宙で激しく輝き始めた。


 「あれは俺達に反応しているのか?」

 クラウゼがどこか懐かしい顔をしながら五芒星の結界を眺める。


 「そのようだな。それよりも俺は向こうへ行った後、未来になってないか心配だ。」

 プラズマの言葉にマナが声を上げた。


 「そうだわ!向こうでも二十年近く経過している可能性がある!」

 「まあ、弐の世界を通るから時間が巻き戻る可能性もあるけどな。」

 五芒星はもう目前だ。余計な事を考えている時間はない。マナ達の前に沢山の電子数字が流れ、情報の解析が行われている最中、マナの意識は途切れた。


****


 「はっ!」

 マナは勢いよく目を開けた。


 「やっと起きた?おかえり。向こうはどんな感じだった?」

 マナの顔を覗き込んでいたモンペ姿の幼女がマナに話しかけてきた。


 「……あなたは……K?」

 「そう。Kだよ。お姉さん。時神未来神はまだわかるけどもう二人の男は誰?」

 ゆっくりと起き上がったマナにKは戸惑いながら尋ねた。


 マナの隣では頭を抱えたプラズマがぼうっとしていた。Kはマナの後ろを指差していた。マナは後ろを振り返った。スーツを着た健とクラウゼが生きているのを確かめるように自身の手を握ったり開いたりしている。


 「……あ、えっとあの人達は……黒い髪の人がKの健さんで金髪の人がレール国の神様、クラウゼさんだって。」

 マナは丁寧に答えてあげた。


 「Kって幼い女の子だけかと思ってたけど……男もいるんだね。」

 Kの少女は健を驚いた目で見つめた。


 「いるみたいだね?」

 マナは再び目線をKに向けた。


 「ねぇ、そこのKのお兄さん、お兄さんにはKの使いっているの?」

 Kは全く臆することなく健に尋ねた。


 「ん?ああ、いるよ。俺の愛ハムのマッシーがいる。」

 健は少女相手という事もあったのかかなり崩して話し始めた。


 「まっしー?」

 「ああ、昔ゴルフが好きで自分のハムスターに五番アイアンの旧名をつけたんだ。一緒に連れてきたよ。マッシー。」

 健が名前を呼ぶと健のワイシャツの胸ポケットからジャンガリアンハムスターのノーマルが顔を出した。先程まで裸だったのに一体どこにいたのか。

 マナは気にしないようにした。


 「やっぱりKはKの使いを皆使っているんだな。どことなくハムスター率が高いのが気になるが。」

 プラズマが髭をピコピコ動かしているジャンガリアンハムスターを呆れたように見つめた。


 「ところであんたにわかるかわからねぇけどこっちの世界……壱の世界での時間はどれくらい経った?」

 続けてKにプラズマは質問を投げた。


 「んー?別に何にも変わってない気がするけど。」

 Kの少女が首を傾げたのでプラズマも「そうか。」で済ませた。

 しばらく沈黙が続いた後、クラウゼが静かに声を出した。


 「それで……俺は国に帰れるのか?俺の心配事はそこなのだが。」


 「帰れるよ。たぶんね。そこのKの男の人に連れて行ってもらいなよ。彼はどうやら弐の世界からレール国に繋がるルートを持っているみたいだし。ちなみにここら辺にいる私達は日本の図書館に送り届けることくらいしかできない。天記神の図書館までなら送れるけど、どうせだったらKの男の人にレール国まで届けてもらった方がいいんじゃないかな?」


 「そうか。」

 クラウゼが健に頼もうとした時、マナが声を上げた。


 「わ、私達もそのレール国に行きたい!もしかしたら向こう(伍)に信じ込ませる何かがあるかもしれない。レール国は唯一あっちの世界で形になっていた国。もしかすると……。」

 「なるほど、レール国を認識させるキッカケにしようとしているわけか。あんたは。」

 プラズマがマナの意見に頷いた。


 「レール国と日本の絆はとても深い。いつからそうなったのかはわからないけど何かあったら協力してくれるかもしれないよ?」

 Kの少女はほほ笑みながらマナを見上げた。

「そうだといいな。」

マナは穏やかに答えた。

 「じゃあ、やっと戻ってきた事ですし、レール国へ向かいますか。マッシー、俺達をレール国まで連れて行ってくれ。」

 健がハムスターに話しかけるとハムスター、マッシーが突然、茶色い髪の女の子になった。赤い着物を着ており、口元には動物の髭が細かく動いている。目は大きく可愛らしい女の子で身長は子供のKと同じくらいの身長だった。


 「はあ、めんどくさいけどレール国なら行ってあげる。その代わり、後でレール国のスペシャルペットケーキちょうだい。お腹がすいているし、少し眠いの。後で昼寝もさせて。」

 マッシーはかなり高圧的な目線で健を見上げた。


 「わ、わかったよ……。ちゃんとあげるから……。」

 健はマッシーをなだめ、一同に振り返った。

 「と、いうわけで……。」

 「まあ、なんていうか……かなりお嬢様基質のようだな。そのハムスター……。」

 プラズマが呆れたため息をついた。


 「甘えさせすぎだったようだな。」

 「……もう今更驚かないけどハムスターが人型になるのってどういう事なの?」

 クラウゼとマナのため息もプラズマを追って吐き出された。


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