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旧作(2009〜2018年完結) 「TOKIの世界書」 世界と宇宙を知る物語  作者: ごぼうかえる
最終部「変わり時…」現人神になった人間
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変わり時…1交じる世界最終話

 あおに連れられたプラズマとマナは困惑した顔のまま、ただ黙々と図書館外の道なき道を歩いていた。


 無言のままとりあえずついていくと知らぬ間にの世界に来ていた。弐の世界では謎の浮遊感がマナ達を包み、足下には無数のネガフィルムのような世界が広がっていた。ネガフィルムの区切りと区切りに全く別の世界が描かれており、となりはまた違う人間か動物かの心の世界であるようだった。


 ネガフィルムのまわりはどこまでも続きそうな宇宙空間ときらきらと輝く星々が広がっていた。


 「相変わらず……ここはわけがわからないなあ。人間の妄想とかも含まれるみたいだから変なものが多い。」

 プラズマはあおについていきながら星に交じって浮遊しているロボットのようなものを呆れた目で見つめた。


 「こんな……不思議なものも弐の世界にはあるんだね。」

 マナも飛んで来る謎の物達を興味津々に見つめた。


 しばらくあおについて歩いているとあおが急に立ち止まった。目の前にはなにもない。ネガフィルムのような世界達の真ん中部分で普通の宇宙空間だった。


 「今はここにKの世界がありましゅね。あ、毎回変動しているんでわたち達以外は探すの大変でしゅよ。ひまわりの種はペットショップで!でしゅ。」

 「……ちょっと意味わかんないけどたぶん、餅は餅屋だね……。」

 胸を張っているあおにマナは引きつった顔で軽く答えた。

 あおには餅がわからなかったようだが軽く頷くと何もない空間を手で横に裂いた。


 刹那、空間が横に裂けて中からお花畑の世界が現れた。あおが躊躇いもなくそのお花畑の世界へと飛び込んでいったのでマナとプラズマもお互いに目配せをすると世界に飛び込んでいった。


****


 お花畑の世界に足を踏み出すとあおがいなかった。

 「あ、あれ?あの子は?」

 マナはきれいな花畑を見回しながらあおを探した。


 「いないな……。これからどうすればいいんだ?」

 プラズマが呻いた時、ピンク色の可愛らしい花が密集している花畑の真ん中にモンペ姿の少女がホログラムの様に現れた。


 「あ!あなたは!」

 「やあ、もう戻ってきたんだね。」

 モンペ姿の少女はマナがこちらの世界に来たときにはじめて会った女の子であった。

 「誰だ?」

 プラズマは首を傾げながら二人の会話を聞いている。


 「前にも名乗ったけど私はK。伍に行きたいんでしょ?そこの未来神さんも。いいよ。責任は取らないけどね。」

 Kの少女は軽くほほ笑んだ。


 「あ、あの……。」

 マナはKの少女の手にすっぽり収まっているジャンガリアンハムスターに目を向けた。


 「まさか……。」

 「え?ああ、あおちゃんの事?かわいいよねぇ。……あおちゃん、ご苦労様。」

 Kの少女は手のひらに乗っていたハムスターを地面にそっと下した。

 ハムスターは花畑の内部へと入り込み、消えてしまった。


 「あのハムスターが先程の……。」

 「そうか!やつはハムスターになれるからいつの間にか天記神の図書館の机なんかに座ってやがったんだ!」

 プラズマは納得して頷いていた。

 先程の鶴と同じ感じなのだろう。あまり気にしない方が良さそうだった。


 「んじゃあ、結界に行こうか。」

 Kの少女は楽しそうにほほ笑むと手を横に広げた。いままであった花畑がぐにゃりと曲がり、マナとプラズマは世界が反転するような気分を味わった。


 「うげぇ……気持ち悪い。」

 プラズマが吐きそうな声を上げた時、あたりは真っ白な空間に変わっていた。

 目の前にこちらの世界に入るときに見た五芒星の結界があった。


 「ここは……。」

 「ここは君がここに来たときに見た所だね。」

 「やっぱりそうだ。」

 Kの少女は疑問に思った事をなんでも答えてくれた。マナは頷くと気持ち悪そうにしているプラズマを促して結界のそばまで寄った。


 結界の先は真っ暗だ。宇宙空間がどこまでも続いている。

 「……なんかここに立つと悪寒がするぞ……。」

 プラズマは怯えながら二、三歩後ろにさがった。


 「悪寒?」

 マナは不思議そうに首を傾げた。


 「あんたは何も感じないのか?」

 「……感じないよ?」

 プラズマとマナの会話をKの少女は黙って聞いていた。Kの少女には黄色に光るマナの瞳と緑色に光るプラズマの瞳がはっきりと目に映っていた。


 ……マナにはエラーが出っぱなしだ。プラズマは正常。緑色は皆そうだけど……黄色に光る瞳ははじめてみた。彼女はうまくシステムを抜けている……。


 Kは軽くほほ笑むと大きく頷いた。


 「……で?もう結界越えられるけど。」

 Kの少女がマナとプラズマを交互に見つめた。


 「私は行くよ。プラズマさんは?」

 マナは怯えているプラズマを仰いだ。


 「……お……俺も行くよ……。」

 刹那、プラズマの瞳が黄緑色になったのをKは見逃さなかった。


 「じゃあ、行こう?」

 「お、おう!せーのっ!」

 目を瞑ったプラズマはマナに手を引かれて結界へと飛び出した。

 「やっぱこええええ!」


 「いってらっしゃい。」


 ……まさか未来神が向こうへ行く決心をつけるとは思わなかったな。

 少し……面白くなりそうだ。


 Kの少女はもう消えてしまったマナとプラズマを楽しそうに見つめていた。


 ……ねえ、マナ。向こうの世界には何があるの?

 ……もう一度……こちらに戻ってきたら教えてね。

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