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旧作(2009〜2018年完結) 「TOKIの世界書」 世界と宇宙を知る物語  作者: ごぼうかえる
最終部「変わり時…」現人神になった人間
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変わり時…1交じる世界8

 「ま、とりあえずだな、俺はあんたを見ていたい。どうせ元の時代には戻れないし、いい暇つぶしにはなるだろ。ここは平成二十九年だろ?2017年か。だいぶん前だな。この時代忘れてるぞ。俺。」

 プラズマは楽観的に笑っていた。マナは笑いごとではなかったがプラズマに合わせて引きつった笑顔を向けた。


 「えーと……。私、どうしたらいいかわからないんだけど……。一緒に行動するって事?」

 「そういう事!興味本位だけどやましい気持ちじゃないから、そこは理解してね。」

 「やましい気持ちって……。」

 プラズマの眩しい笑顔にマナは頭を抱えた。


 だがなんとなく無害な気もする。


 「で、あんた、これからどうするの?」

 「どうするって……?」

 プラズマの突然の質問にマナは戸惑った。


 「だから、これからどこ行こうって思っているのって事だ。」

 プラズマは相変わらず楽しそうにマナを見ていた。


 「え……。どこ行こう……。とりあえず、この辺歩く。」

 「オーケー。」

 マナは困った挙句、ただの散歩をすることにした。プラズマは嫌がるそぶりをみせず、単純にマナの後を歩いてきた。


 ……なんかこの人、変かも……。どう対応すればいいんだろ……。

 マナは不安げな顔で当てもなく歩く。プラズマが気になりすぎて風景が頭に入ってこない。

 どれだけ同じ道を行ったり来たりしたかわからないがマナの足が疲れ始めた頃、マナとプラズマを呼ぶ声が聞こえた。


 「マナ!っと……プラズマ!?あなたはなんでここにいるのよ!」

 声の主は先程の少女アヤだった。アヤはマナに目を向けた後、プラズマに目を向けて驚いていた。


 「あー、アヤか。久しぶりだな。」

 「久しぶりじゃないでしょ!なんでいるのよ。ここは現代よ。」

 呑気なプラズマとは反対にアヤは焦った顔をしていた。


 「そうなんだよな。俺、なんでか現代に来ちゃったんだよ。散歩してたら急にここにいてだな。」

 プラズマは少し困った顔でアヤを見ていた。


 「はあ……つまりは……また時間が狂う何かがあるというわけね。栄次は……。」

 アヤがため息交じりにつぶやき、プラズマがそれを拾って答えた。


 「栄次は今回関係ないっぽい。つまり、未来なんだ。」

 プラズマは少し楽しそうにマナに目を向けた。マナは身体を強張らせながら引きつった笑みを返した。


 「未来……あなた……一体……。」

 アヤがマナを不気味そうに見ている。マナもなんだか徐々に怖くなってきた。


 ……一体自分のようなちっぽけな存在が世界にどのような影響を与えているというのか……。

 マナはわけがわからずにアヤに向かい首を傾げた。


 とりあえず『何か話さないと』と思ったマナはアヤに外れた問いを投げかけた。


 「アヤさん……学校は……?」

 「学校?ああ、あれはもういいのよ。それよりも……。」

 アヤはマナの言葉をてきとうに流した。


 「アヤ、今回は俺とマナで動くからアヤは注意深く現代を見ていてくれ。」

 プラズマが焦っているアヤをなだめてほほ笑んだ。


 「……そ、そう。時間関係が狂うのは嫌だわ。一番、気持ちが悪くなるもの。」

 「わかってるって。あんたは現代神なんだから現代を『今』を守ってろ。『今』ですらおかしくなったらあんたの出番だ。」

 「……そうね。」

 アヤはまだ納得がいっていなさそうだったが渋々頷いた。


 「なあ、アヤ。」

 プラズマが思い出したようにアヤに会話を投げかけた。


 「何よ?」

 「俺達、これからどうすればいい?」

 プラズマがマナをちらりと横目で見つつアヤに尋ねた。

 アヤは明らかな呆れ顔を作った。


 「知らないわよ……。でも……まあ、そうね……。情報を集める面でも過去、現代、未来が繋がっているといった面でも……図書館に行くのがいいんじゃないかしら?」

 アヤは首を傾げながらため息交じりにそう言った。


 「そうか!なるほどな。参考になった。じゃあ、これから行こう!」

 プラズマはアヤにほほ笑むとマナに目を向けた。


 「図書館って……本で調べるの?」

 マナは完全に話についていけずに頭を悩ませていた。


 「違う。人が利用する図書館じゃないよ。神が利用する図書館だ。あそこの本には興味がないが……あそこにはひとり興味深い神がいる。」

 「本じゃないの?」

 「本よりももっとすげぇ奴だ。図書館のブレーンだよ。」

 「ぶれーん……。」

 プラズマは茫然としているマナの腕を掴んで歩き始めた。


 「アヤ、ありがとな。あんたもちょこちょこ原因を調べて見てくれ。」

 「わかったわ。気を付けて。」

 プラズマとアヤの会話はかなりドライだった。プラズマに腕を持っていかれながらマナは後ろを振り返った。


 少し疲れているアヤの顔が徐々に遠くなっていった。


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