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明かし時…最終話リグレット・エンド・ヒストリー18

 「父上と母上のためだ。俺は行くぜ。このままじゃ伍との均衡がとれねぇしな。黄泉も伍が出現したことによっていままでよりも管理が難しくなっているようだ。」


 目の前に紫色の髪の青年、スサノオが現れ、何かを話している。ここはナオ達がいる伍の世界とこちらを結ぶ結界前のようだ。


 「へえ……それは大変だね。じゃあ、僕も行こうかな。また母上が暴れ出すと大変だし。日本だけじゃなくて世界各地にいる神々も向こうへ行っているんでしょ?」

 スサノオの隣にいたのは紫の長髪をなびかせているツクヨミだった。


 「しかし、向こうへ行くとどうなるかわかりませんわよ。もう戦争はうんざり。伍を創ってしまった宇宙のエネルギーは恐ろしいわ。」


 ツクヨミのさらに隣に同じ紫の髪をしているアマテラスが現れた。アマテラスを見ながらスサノオはうんざりした顔をしていた。


 「世界には必ず転換期が来る。それが世界大戦が終わった今なんだろ。もう久しく世界は転換してなかったからな。世界のシステムもよく考えたよな。今の人類を同じところに集めていたらまた戦争が起きる。今度は神を信じない人間と神を信じている人間の戦争だ。ばかばかしい。わけて正解だぜ。世界のシステムはまだ人間を生かしたいようだ。」


 スサノオは結界前の白い空間から伍の世界を眺めた。


 「確かに、人間ってちょっと異質な生き物だよね。僕達を想像したのも人間だし。想像から生まれるエネルギーの強さってすごいや。で、伍の世界って今どうなってんの?」

 ツクヨミが美しい長髪をいじりながらアマテラスに目を向けた。


 「伍の世界の人々も逞しく生きているようですわ。まだ、世界が完全に離れてはいないので私は太陽から伍を見る事ができます。そのうちできなくなるでしょうけど。」


 「そっか。じゃあ、早めに行こう。完全に切り離されたら僕達も行けなくなっちゃうかもしれないし。せめて、僕らでこっちと伍を繋ごうよ。」

 ツクヨミも結界の外をじっと見つめた。


 「万が一のため、蛭子お兄様にはこちらに残っていただきましょう。私達の子供もいるわけですし。完全に状態が切れてしまっては私達が伍とこちらを結べなくなってしまうでしょう。神々も人間も縁を大切にしますからね。黄泉にいる母上とこれから伍の世界の弐も守らなければならない父上とも縁を切ってしまってはシステムにエラーが出る可能性がありますし。」


 「じゃあ、そうしよう。」

 アマテラスの言葉にツクヨミは深く頷いた。


 「じゃ、後は身の回りの準備と消える準備とこちらの世界を保たせる準備と俺達の歴史を管理している歴史神を呼んでもう点でしか繋げていない伍を切り離せばいいんだな。」

 スサノオは全くぶれずにケラケラと笑いながら言った。


 「切り離したらこちらは一応安泰。向こうはどうなるかわからないけど……。」


 「問題ねぇよ。いずれ伍の改変を望む人間が現れるはずだぜ。それがどれくらい先になるのかわからねぇけどな。もしかすると神々に代わるものを人間が新たに想像するかもしれない。面白れぇじゃねぇか。お互いの世界が幻想の世界だと認識する。桃源郷や天界なんてお互い言い合うのかもしれねぇな。住んでいるのも環境も同じ人間なのにな。」

 スサノオはとても楽しそうだった。


 「考えたってしかたありませんわ。伍に行ったら消えてしまうかもしれないのですから。」

 アマテラスはため息交じりにスサノオを諭した。


 「俺は消えねぇ。絶対に伍で意思を持ってやる。」

 「ま、とりあえず、頑張ろうか。」

 アマテラスとスサノオの正反対な反応を見ながらツクヨミは軽くほほ笑んだ。

 記憶はそこまでで砂の様に流れて消えた。

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