歌姫楽宴!爆発と共に登場!
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とりあえず買ったお土産は全て俺の宇宙船に送ってもらい、ダッシュしてライブ会場へ向かおう!
こういうときのために俺は身体を鍛えてきたんだ!リミッター解除!うおおおおお!
――ふぅ…なんとか到着!あれだけ時間がなかったのに、なんだかんだライブ開始十分前だ。やはり、筋肉は全てを解決してくれる。
会場の入口には沢山の人と、ファンから送られてきた大量のフラワースタンドが並べられている。こういうのを見ると、ライブに来た感じがしてテンションが上ってしまうな。
さて、今回のライブは俺達は特別にトリカから招待チケットをもらっている。VIP席のチケットも取れたらしいが、俺はトリカにお願いして普通の立ち見席を取ってもらった。
トリカのライブに限っては、VIP席という全てを見渡せる場所でのんびり楽しむより、普通の立ち見席でファンと一緒に楽しむほうが面白い気がしてな。
ちなみに、セリやウツギは俺達全員のペットたちと一緒に、VIP席でのんびりライブを楽しむらしい。
「事前に持ってきた応援グッズはバッチリ。うん!準備完了!」
後は始まるのを待つだけだ!
ワクワクしながら待つこと数分、突如会場が暗くなっていく。
これは…いよいよトリカのライブが始まる気配だ!
会場はどんどん暗くなり、次第に目の前が見えないほど真っ暗になった。
ザワザワとざわめくファンたち。
暗闇の中、舞台に明るくカウントダウンが表示された。
【ライブが始まるまで、あと:59秒】
どんどん減っていくカウントダウン。
数字が少なくなると、観客全員で一体となって、この場の唯一の明かりであるカウントダウンの数字を見て精一杯叫ぶ。
「「「「……5!4!3!2!1……!」」」」」
ドッカーン!!!
ゼロの表示とともに、舞台上で大爆発がおきた。
心臓をドクドクと揺らすほどの轟音。実際に肌で感じるチリチリとした熱。目がチカチカするほどの強烈な光。
それらが一瞬で俺達を襲う!
さらに少し遅れて、勢いのある爆風が立ち見席に吹きつけてきた!俺も観客たちもキャーキャー叫びながら必死に踏ん張る!
しばらくすると爆風が収まり、なんとか舞台上に目を向けることができるようになった。
舞台上の爆発とともに焚かれていたスモークが、どんどん晴れていく。
期待感を煽るように、太鼓の音が会場に響きわたる。
ドン!ドドン!ドドドン!ドドドン!ドン!ドドン!ドドドン!…
この軽快で特徴的な太鼓のリズムは…!
これは、トリカのデビュー曲の前奏だ!聞いた瞬間分かった!
曲名は【マザー・◯ッカー】
当初トリカが歌を始めた理由は、同じく歌手である母へ自分を見てもらうため。そんな子供時代のトリカが母に対して歌った歌だ。
曲のタイトルのイメージとは違って、この曲は子供心満載のポップでキュートな歌なんだよね。自分をもっと見てほしいという、ただそれだけの純粋な思いを歌った楽しい歌なのだ。
この曲、大好き!
なんていうか、聴いていて凄くワクワクするのだ!まるで子供の頃、おもちゃ箱のフタを開けるときに感じた胸の高鳴りが蘇ってくるかのような、そんな歌だ。
オープニングアクトでデビュー曲とはくっそアツいな!凄く楽しみだ!!!
スモークが完全に晴れると、色とりどりの照明がトリカを照らす。
「「「きゃあああああああ!!!」」」
ついに姿を表したトリカを見て、耳をつんざくほどの大歓声が巻き起こる。
あ、隣の女性なんてトリカを見てもうえっぐえっぐと号泣している。気持ちは凄く分かるが、まだ始まったばかりだぞ!大丈夫か!?
沢山の花を身にまとっているような豪華な衣装に身を包んだトリカが、この前奏中にファンたちに向かって軽く挨拶をした。
「みんな!わたくしの電撃ライブに来てくれてありがとう!今日はわたくしが妖精の世界に招待してあげるから、あなた達も死ぬ気でついてきなさい!良いわね?」
「「「「うおおおおお!!!」」」」
トリカに答える様に、俺は精一杯腹の底から声を張り上げる。
ファン達全員が全力で声を出しているからか、会場が大歓声でゴゴゴゴゴと地鳴りのように揺れた。
ああ、この響き。
この圧倒的な一体感を感じるたび、「トリカのライブに来たんだな」と実感が腹の底からこみ上げてくる。
なぜみんな、ここまで本気を出すのか。
それは、俺達ファンもトリカのライブの一部だと心から思っているからだ。
トリカのライブの大きな特徴、それは、”超没入型ライブ”であるということ。
全方位ホログラムなどの映像演出、動きに連動する証明や音響、繰り返されるコールなどによって、とてつもない没入感が提供され、観客たちを全力でステージに引き込んでくるというのがトリカのライブではお決まりだ。
だからトリカのライブは、”見る”ものでも、”聞く”ものでもない。
”参加する”ものなのだ。
「キラメク星屑に必死に手を伸ばし~♪」
豪華な衣装を身にまとったトリカが、空中を縦横無尽に飛びながら歌い始める。
歌のリズムに導かれるように、ファンたちは身体を弾ませながら、お決まりの軽快なステップで床を鳴らし、会場全体をひとつの楽器のように響かせていく。
ああ、それにしてもトリカの歌声は力強く、それでいて澄んでいるな。
天井から降ってくる歌声が不思議と心にすっと入ってくる。声を聞いているだけで蕩けそうになるほど、気持ちいい。
トリカの歌声は特殊な周波数を発しているようで、聞いているものの五感を強く刺激し、心臓と脳を揺らし、細胞一つ一つに染み込んでくる。
それでいて、誰よりも楽しそうに歌うので、どうしたって俺達も共鳴するように楽しい気持ちにさせられてしまうのだ。
「だからね!歌うんだ~♪」
――ああ、楽しい!楽しすぎる!!
俺もつられるように、リズムに合わせてステップを踏みながら、スキップするように舞うトリカを夢中で目で追う。
その瞬間。
トリカが宙を舞った軌跡に、光の粒がふわりと舞い、まるで魔法のように小さな種が空中に浮かび上がる。
それらの種はゆっくりと舞い降り、会場のあちこちで静かに芽吹き始めた。芽が出て、つぼみが膨らみ、小さな可憐な花が咲いていく。
あっという間に、ホログラムによる幻想的な花々がフロア全体を埋めつくしていく。
まるで、夢の中にいるようだ!
「あなた達!お気に入りのじょうろを選んで、この小さな花に水をあげなさい!」
ポン!
歌の間奏中、サビ前に発されたトリカのそのコールとともに、動物を模したじょうろが目の前に沢山出現した。
どれも子供のおもちゃの様な、可愛らしいデザインで、カラフルだ。
どれを選ぼうかな!なんだか、子供に戻ったみたい!
ああ、この歌が始まってからずっとワクワクしっぱなしだ!
あ!これいいじゃん!これしかない!
俺はどこかクスネに似たじょうろを反射的に手に取り、花に水をあげる。ファンたちも同様だ。
出てくる水の色がじょうろによって違うようで、これも色とりどりで綺麗。
指示通り会場中に咲く花に水を上げ終えると、花は水に反応し、喜ぶようにキラキラと輝き出し、大きく育ち、実際に芳醇な香りを放ちだした!
おお!すっごい綺麗だ!そして、めちゃくちゃいい香りだ!
ファンの協力もあり、会場中に咲いた花は全てキラキラと輝き、甘い香りで会場中を満たした。まるで、花の中に入り込んだみたいだ!
「みんな!ありがとう!あなた達のおかげで、わたくしももっと輝けるわ!」
会場中の花がきらめくとともに、トリカの花の衣装も連動して、とてつもない光量で明るく輝き出した!
そして、その状態で満を持してサビに入る!
「可愛いを届けに行こう♪ほら?流星群に乗って~♪」
まるで踊るように猛スピードでくるくる回りながら、会場中の空を飛び回るトリカ。
トリカの周りにはキュートでファンシーな色や形のした流星群がまとっている。
トリカが飛ぶことで、会場中に突風が吹き荒れ、空に花びらが舞い、香りが充満する!
トリカの飛んだ後を追うように、淡く光る花びらそっくりの蝶々たちが大量にふわりと現れ、会場の咲いた花に向かって密を吸いに来た。
お!俺の育てた花にも蝶々が来てくれた!それだけなのに、なんだか無性に嬉しい!
サビに入ったトリカは、自由気ままに会場を飛び回っていたかと思えば、突然ふっと動きを止めてみせる。その予測不能な動きに、観客たちの視線が自然と引き寄せられる。
今のトリカは、まるで何も知らない純粋な子供のようだった。
無邪気に俺達に手を降ったり、いたずらっぽい表情で投げキッスをしたり、とってもキュートにウインクしたりと、細かなパフォーマンスが多く、思わず笑顔が溢れてしまう。
これ以上俺を幸せにしてどうするつもりなんだ!
あ!今!トリカと目があった!
すると、トリカは空中から俺がいるあたりに向かって、投げキッスのファンサービスをしてくれた。
あれさ、絶対俺個人に向かって投げキッスしたよね!
…ちょっっっっっまって!ヤバい!今ので俺の中の何かがあふれた!もう限界!
むりむりむりむりむりむりむりむり!!!!尊すぎるんだけど!!!!
え???何この気持ち。顔がいい。声がいい。衣装が天才。笑顔が世界遺産。むり。しぬ。
あああああ。幸福感がヤバい!ニヤニヤがとまらない!
あまりのトリカの破壊力に俺が限界オタク化した所で、最後には、
「さあ、宇宙で一番可愛いのは誰?」
「「「トリカ様!!!」」」
そんなコールで、この曲は終了。
ふと周りを見渡してみると、ファンたち全員が一様に笑顔だ。
そりゃ、めちゃくちゃ楽しかったからなあ。俺もさっきから口角が上がりっぱなしだ。
まだオープニングアクトが終わっただけなのに、もう満足感が凄い。ああ、本当に来てよかった。
次回予告:やりすぎです!




