第三階層!共闘の始まり!
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俺はへとへとになった体を回復するために地面に寝転がる。
寝転がりながら軽く周りを見渡してみると、俺が足場にしていた木などは、実際にはSCエネルギーで低コストで作れる万能素材を木の形にしているだけで、映像によって木に模していただけだったようだ。
完全に木だと思っていたわ。触ったり乗ったりしても、意外と気がつかないもんなんだなぁ…
はぁ…それにしても、長い戦いだった…
でも、なんとかクリアできたぞ!
少し休憩した今になってようやく、腹の底から嬉しさが込み上げてきた。
俺はなんだかんだ最後の一つとなってしまった中ポーションを飲み、コメントを表示させ、視聴者に語りかける。
「さて、もうちょっと一休みしてから、宝箱チェックといきますかね」
>お疲れ~
>へっとへとだな
>手に汗握る戦いでしたね
>やっぱ追い詰められてるヒノキってエロいわ
>くそ、もうちょっと敵が頑張れば丸裸だったのに…
相変わらず視聴者はいつも通りっと。お前らが頼れるならもっと簡単に攻略できた気もするが、まあ望み薄だよな。
さて、そろそろ立ち上がりますか!
気を取り直して、宝箱部屋の中へ入る。
「宝箱は…罠はないな。よし!中身は…再挑戦カードと、赤いポーション十個とお手紙だな」
再挑戦カードを鑑定。
【これを使えば何度でも第二階層を再挑戦することが出来る。報酬はポーション三個のみ。最初から一万体の敵が出現するハードモードにもチャレンジできる】
…えっーと。うん。これはあれだな。
「今回は絶対再挑戦カードは使いません!だって、この階層しんどすぎるし!」
>ほら?ハードモードをクリアすれば、もっと成長できるよ?
>ハードモードを簡単にクリアするかっこいい姿見てみたいな♡
>ハードモードでダメージくらい過ぎて、全裸になる姿がみたいなんて一切思ってないからね!ホントだよ?
>ほら?ポーションの予備がなくて心配だろ?な?
やだやだ!もうこの階層ヤダ!
対処法が分かってからは多少楽しかったが、楽しいのは最初だけで、後半はびっくりするくらいしんどかったもん!
視聴者のコメントはいつものように聞き捨てることにして、次はポーションを鑑定。
【大ポーション。体力を50回復する】
なかなか回復量だ。
小中ときて、今度は大。
順番的に、これが一番性能の良いポーションな気がする。
ダンジョンなら、このくらいの回復量の回復アイテムは中盤から終盤に出てくる。
きっと、終わりは近いだろう。
まあ、この後特大ポーションとか出てくるかもしれないので、絶対ではないのだが…
「さてさて、そんなことよりお手紙だよ!今度は…おっ!トリカからだ!嬉しいなあ!」
>うっきうきで草
>そんなに嬉しいもんなのかねぇ
>私でも男の生声ボイスメッセージとかあったら買い占めるだろうなあ
>今のあなたに鏡を見せてやりたい。すごいニタニタしててキモいから
>さっきまでヘロヘロだったのに、ころっと元気になってるwww
視聴者にきもがられようが、嬉しいものは嬉しいのだ!早速再生だ!
【一度しか言わないから、心して聞きなさい!………ヒノキ、愛しているわよ♡】
あ、あ、あ…
おほー!
みなぎってきた!!!
少し照れながら甘い声で言ってくれてるのもいい!とてもいい!
「もう一回再生っと」
>一度しか言わないって言ってるのにwww
>あなたの口角上がりっぱなしで草なんだがwww
>トリカ様!私にも愛してるって言ってくれ!
>グギギ…トリカ様に特別愛されててムカつく!
>でも!トリカ様はライブ中、ファンたちに愛してるって言ってくれるし!
あぁ〜、視聴者の妬み嫉みが気持ちいいわ。優越感で鼻の穴がぱんぱんだ。
「よし!この宝物のおかげで心の疲れが完全に吹き飛んだ!でも、体の疲れを取るために仮眠はするけどな!仮眠の後は、次の階層へレッツゴー!…っと、その前にもう一回再生しよ」
視聴者に呆れられながら、仮眠室へ行き、トリカの応援メッセージを何度も再生しながら目をつぶって寝転がっていると、あっという間に寝落ちしたのだった。
◆
数時間ほど寝て疲労を取った後、今までと同じ流れで次の階層の扉の前にいき、表示を読む。
【第三階層:クリア条件。敵を30分以内に十体倒せ。30分が過ぎた場合、最初からやり直し】
今回は十体でいいのね。ただし、時間制限付きと。
十体という数から、今度の敵はおそらく一体一体が強いタイプなのだと予想できる。
気合は十分。さて、いきますか!
不意打ちに気をつけながら、俺は扉を開ける。
開けた途端、熱風が俺を襲ってきた。
「あっつ…くはない。服のおかげだな。えーっと、どうやらここはマグマステージみたいだな。マグマ地帯はゲームで言うとラスボス前っていうのが定番だけど…お?なんだ?なんかじわじわ服が透明になっていくぞ?」
鑑定でログをチェックすると、熱風によるスリップダメージを受けているということが確認できた。
スリップダメージか…面倒だな。
「で、だよ…」
マグマステージだとか、スリップダメージだとかよりも、もっと目につく存在がある。
ほら?この階層の中央あたりを見てくれ。
「なんか先客が居るんだけど…なんで?」
…マジでなんで?
>ああ、あいつね
>あなたの表情、なかなかいいぽかーん顔だったよwww
>視聴者はなんとなく察してはいた
>ウツギの配信内でトリカ様に、ヒノキにはこのことを黙っておけって言われてたけど、こういうことだったのね
>共闘ってことか?
「もう!来るのならもっと早く来なさいよ!ほら?さっさと手伝いなさい!ウチ一人じゃなかなかクリアできないのよ!」
「…状況はまだ良くわかってないけど、とりあえず了解した?」
その先客とは、ウツギだ。何故か怒られた。
ウツギは俺の気配に気がつくと、戦闘から一時離脱し、声をかけてきたのだ。
どうやら察するに、この第三階層は協力して敵を倒すステージらしい。
ウツギはこのステージを今まで一人で戦っていたってことかな?
「もう制限時間がないから、今回は捨ての回よ!次の戦闘から本番ね!」
「…おう」
ウツギの勢いに押され、俺は反射的に了承してしまう。まだ俺は現状を正しく理解していないのだが…
ウツギはあっという間にそれだけ言うと、また戦闘に戻っていった。
えーと、とりあえず今は状況の把握だけにしておけばいいのかな?
俺は周りをしっかりと見渡す。
天井には制限時間が表示されていた。残り一分。
…一分!?制限時間は十分じゃないの?
これはあれか?先に一人でウツギが九分間戦っていたってことか?
うん、よく見れば敵も十体いないし、そうとしか考えられないな。
残りの敵は七体。ウツギが一人で三体倒したのかな?
さて、その残りの敵を鑑定するか。
【マグマオークソルジャー 剣が得意 遠距離攻撃と火に耐性がある】
【ビッグマグマオーク 耐久力が高い 遠距離攻撃と火に耐性がある】
【マグマオークファイター 肉弾戦が得意 遠距離攻撃と火に耐性がある】
今回の敵は三種類のオークね。ざっくりとした情報だが、無いよりはマシ程度だ。
ただ、今回は鑑定の情報だけではなく、実際の戦闘の様子からも情報を得ることが出来る。
今はウツギが目の前で敵の攻撃を回避しまくっている。制限時間が来るまで逃げ切るつもりかな?何にせよ助かるな。おかげでゆっくり観察に徹することが出来る。
まず、どの敵もデカい。二階建ての家くらいのサイズだ。ビックマグマオークなんて四階建てくらいのサイズがある。
次に、デカい割に速い。デカい敵はのろま、というような定石はないようだ。
最後に、どの敵も防御力が高そう。ウツギが牽制として超威力テーザー銃を放ち、マグマオークソルジャーにヒットしたが、ダメージは微々たるものだ。
うーん…相変わらずこのダンジョンの敵は厄介だな。それに、黒炎を操るウツギとも相性が悪そうだ。
さて、そろそろ制限時間が終わる。
5、4、3、2、1、0。
カウントダウンが終わった瞬間、地面が急に消えた。
…え?
次回予告:リアクション芸人




