希望王子!その2!奇跡の内容!
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「神様って信じるかい?俺は信じる。だって、君こそ俺の女神――」
「はいはい、どっか行きなさい」
ズリズリズリ――
「奇跡って信じるかい?俺は信じる。だって、俺は君と出会えたことが一番の奇跡――」
「……」
こんな感じでその後も希望の王子(笑)さんは、手足を縛られた状態にも関わらず、目に入った女性を片っ端から口説きまくった。
この場にいる博士とルリさんとヨヒラ以外の女性には、口説いて回っただろう。
ちなみに、ヨヒラは巧みに俺を盾にして、視線に入らないように上手くかわしているだけだ。
イケメンの男性からアプローチされているのにも関わらず、女性からの反応はあまりよくない。これは男女比1:10の宇宙じゃかなり珍しい光景だ。
俺の惑星に住むみんなならまだしも、俺の母にまで邪険に扱われるって相当だぞ?
…てかさあ、あなた、ルリさんと結ばれているんじゃないのか?不自然なくらいルリさんの方に目線を向けないけど……あのルリさんの熱い眼差し――熱烈なラブコールに気づいていないのか?
そんな風に邪険に扱われて、地面を這う(笑)さんを不思議な目で見るクスネ。目を輝かせて、トテトテと近づいていった。
「ちょ、ちょっとそこのベイビイたち、そこに居る犬畜生をどこかへやってくれないか?俺、犬だけは苦手なんだ!」
止めるまもなく(笑)さんに飛びかかっていくクスネ。
「うぎゃああああああ!!!!」
抵抗すればするほどクスネのテンションは上がっていく。楽しいおもちゃを見つけたかのように、目がキラッキラだ。
ひとしきり顔を舐め尽くしたのち、満足した顔でこちらに戻ってきた。
「……はぁ……はぁ……」
…うん、ざまあ。
「それにしても、よくこんな人に希望を見出したなあ…」
俺にはこの人を見ても期待感が全く湧かない。よく匿い続けたよ、ホント。
そんな不思議そうな俺を見て、セリが補足をしてくれた。
「こんなのでも、危機回避能力がやたら高いのと、子供の面倒見もいいらしいよ。それに、子供からの人気もあるみたい。いじられ役だけどね」
「へえー」
一見残念さが際立つ軽いナンパ男にしか見えないが、意外とそういう面もあるらしい。子供たち視点ではそう悪い男でもないのかもしれないな。
…でも、俺の恋人たちにナンパをしたのは許さないがな。
「さて(笑)さん」
「……ん?今なんて?」
「おっと、口が滑った。希望の王子さん。あなたに熱烈な視線を向ける女性がいますけど、そっちには声をかけにいかないんですか?」
「ああ、俺にもポリシーがあってな、幼女と面倒な女性には声をかけないんだ。いやあ、それにしても、ここにはとんでもなくいい女ばっかりだな!楽しくなってきたぜ!」
「いや、えっと……じゃあ、あの人は面倒な女なんですか?」
「ああ。間違いないね。俺って女性を見る目は確かだからな。あの子は愛がとんでもなく重くて、浮気とか許してくれないタイプだ。束縛も激しそうだから、俺とは合わないだろう。君も男ならそういうスキルは身につけたまえ。ま、まだ若そうな君には無理な話か!ワハハ!」
話しているとちょっと苛つくが、多分悪気はないんだろう。なんとなくこの人のことが分かってきたよ。
「…まあ、どういう恋愛をするかは自由ですよね。でも、自分でやったことの責任はとってもらわないと。あの人、あなたが昔愛した女性ですよ」
俺はいまだウツギによって簀巻きにされているルリさんを指さす。ある意味、希望の王子が生み出してしまったモンスターだ。自分で対処してもろて。
「俺は過去を振り返らない男だ。昔愛した女なんて、いちいち覚えてないんだ。そんなことより、今を楽しもうぜ!」
「……はぁ」
この人、頭がシェケナベイベーだわ。
(笑)さんは、俺が呆れている様子などお構いなく、自分語りをつづける。
「いい男ってのは過去に影があるものさ。そんな俺にも、唯一の心残りがある。ルリという女性。あいつだけは忘れられないんだ。だが、運命は残酷だ。ルリは死んだ。あいつは最高にいい女だったよ…」
「…だから、そのルリさんがそこにいますよ?」
「ハハハ!面白いことを言うね君は!ルリはとっくに死んでしまって……ん?」
俺の言葉を受け、(笑)さんは縛られたルリさんの方をチラリと一瞥する。
「……まさか、本当にルリなのか?」
ああ、気づいていなかったのか。だから微妙に話が噛み合わなかったのね。
「…死んだと思っていた。二度と会えないと思っていたよ」
「あなた。会いたかったわ!」
お互いがズリズリと地面を這い、近づいていく。
そして…
「あなた?なんで逃げるの?」
「いやあ……ハハハ。なんでもない、なんでもないんだ」
「ふふふ、逃さないわ♡」
「ハ、ハハハハハ。あ、会いたかったよ」
感動の再会だというのに、こころなしか希望の王子の顔が引きつっている。
いったいなんでだろう?
そんな二人の様子を見て、女性陣がこんな会話をしていた。
「これはあれね。会いたかったのは本当だけれど、いざ会うとルリさんのとんでもない愛に尻込みしちゃったパターンね」
「でも、あいつの隠れる能力は本物だぞ?あの二人は大丈夫か?この星のトップの私ですら見つけられなかったんだからな」
「それは大丈夫でしょう。ああ見えてお母様はアンドロイドの中でもかなり優秀です。アンドロイドからは逃げられませんから」
「男が一度愛したのなら、最後まで愛し続けてもらわないと!少なくともヒノキにはそう教えたわ。あの王子は本心ではもっと遊びたいのでしょうけど、そうはいかなくなったってわけね」
「ふふふ、良いねえ!僕は感動したよ!とっても純愛だね!」
「純愛……?ま、確かに純愛と言えば純愛なのかしら。案外相性が良いのかも知れないわね」
そんな女性陣の会話を聞き、
「ああ、そういう…」
俺はポツリと呟いていた。
ま、なんにせよ、これからは二人で幸せにやってくれ。
「さて、ちょっといいかい?」
そんな二人に、博士は駆け寄っていく。
「なんだい、小さなレディ。デートの誘いかい?それなら、もう少し大きくなってから出直しておいで。あと、君はもう少し寝たほうがいい。せっかく素材はいいんだから、クマを取ったほうが可愛いよ」
この様子だと、(笑)さんはほぼ今までの話を聞いていなかったのだろう。
「こう見えてかなりの年齢なんだが……まあいい。二人に聞きたいことがあるんだ」
「ホントなら無言を貫きたいところだけど、ウツギちゃんに鼻っ柱を折られちゃったし、今ならなんでも答えるわ。あーあ、実力には自信があったんだけどなあ…」
その一方、ルリさんはしっかり現状を認識しているようだ。
「二人はどうやってEエネルギーで奇跡を起こしたんだ?そして、それはどんな内容の願いだったんだ?」
「特に奇跡を起こそうとしてできたことではないわ。おそらく、勝手にEエネルギーが反応したの。ただ、願いの内容は分かる。あなたもそうよね」
「ああ、あの時の話か。あの時突然Eエネルギーが反応したんだ。すぐに俺たちの願いに反応して奇跡が起こったと分かったよ」
「その時、具体的にはどんな願いだったか話してもらえるかい?」
「ルリのは単純、“夫との愛の証が欲しい”。あの時咄嗟に頭に浮かんだのはそれだけよ」
ただし、とルリさんは続ける。
「叶った奇跡から考えると、その直前に願っていたこともEエネルギーは叶えてくれているはずよ」
その後ルリさんは具体的にどんな事を思っていたのかを羅列していく。
直前に生まれてくる娘が最高に幸せになってほしい。
ルリのように最高の恋をして、花咲くように育ってほしい。
娘が最高に笑顔になれる場所で、いい出会いをしてほしい。
それらが叶ったのは、Eエネルギーの影響だとルリさんは確信しているそうだ。
「それで言うと、俺も色々なことを願ったぞ。例えば、娘には俺以外に恋をしてほしくなかったこととかか?お父さんが一番かっこいいと思われたかったからな。ただ、そうは言っても恋をする女性は美しいし、恋は止められないものだ。だから、しぶしぶ娘の恋する男がどんなやつだったら許せるかを考えていた気がするな」
「というと?」
「ま、娘と結ばれるのなら、俺のような、いや、俺を超える器の広さがないと俺は許せないだろう。最低でも同時に百人くらい女性を愛せるだけの器を求めた。後は、やはり船長だな。船長こそこの世で一番かっこいい職業だ。とにかくでかい船の宇宙船の船長とかならギリギリ許せるかもとかを考えていたような……。後は、最強で、いい男で、喧嘩が強くて、おおらかで、娘を笑顔にできる男。他にも、俺はジ・アースが好きだから、ジ・アースの知識に精通している男がいいとかぐらいしか願っていないぜ!」
長えし多い!聞いてられない!
要はあれか?自分より優秀な人じゃないと認めないっていう父親心が爆発した感じか?
「で、ルリ。その娘は今どうしてるんだい?」
「今もそこにいるわ。ほら?そこの黒髪でメイド服を着て、斧を背負っているのが私たちの娘よ。今は愛する男と隣にいるわ」
「…そうか。無事に生まれて、ちゃんと育っていたんだなあ……ん?愛する男?まさか、あの滅茶苦茶な条件をクリアした男がいたのか?」
「ふふっ、あなたが願ったからか、とってもいい男の子と縁を結べたみたいよ」
「……そうか」
その条件をクリアしたのが……俺?
ま、いいや。話半分だったのでよく分からないけど、ヨヒラと縁を結べたってだけで俺は満足だ。
「なるほど。二人の子供を思う気持ちが奇跡を起こしたんだな。言うなれば、ヨヒラちゃんは奇跡の子といったところか。そうだよな。通常アンドロイド同士で子供が生まれるなんて、聞いたことがない。ありがとう。参考になったよ」
博士は納得したように頷いた。
一方その頃。女性陣と俺の会話。
「ヒノキって同時に百人も愛せるの?」
「いやいや、そんな訳ないだろ」
「ホントかなあ?浮気したら許さないよ?」
「浮気といえばうちよね!呼んだ?」
「呼んでねえよ。どっか行け」
「セリ、あなたの愛が百人力の量があるんだから、心配無用よ」
「確かに、そう言われればそうだね。ちょっと心配しちゃった」
次回予告:恋人のラインとか見るタイプ?




