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貞操逆転スペースファンタジースローライフ!?~男女比が1:10の宇宙で男に生まれた俺が、辺境の無人惑星でスローライフする姿を配信する  作者: ながつき おつ
7章:地球へ新婚旅行!

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革命当日!ゲリラライブ!

読んでいて少しでも感情が動いたら、評価・リアクション・ブックマークをお願いします。



「さあ、革命の朝よ!準備はいい?」


「おう!」「ええ」「わん!」「にゃーご!」「キュキュキュー!」


 今日は無許可のゲリラライブの決行日だ。


 それだけでもあまりよろしくないことなのに、更に少しばかり“悪いこと”まで企んでいる。


 もっとも、三曲目までは普通のライブだ。それまではただの普通のライブ。


 俺たち三人とペットたちで円陣を組み、準備は万端だ。



 空は一雨来そうな気配が漂っている。ただ、この計画は雨天決行だ。雨が降ろうと、槍が降ろうと、最後まで終わらない。


 さて、今日の大まかな流れは――うん、しっかり頭に入っている。


 トリカはここで太陽として輝くために。ヨヒラは未知への挑戦。そして、アンドロイド界最強になるために。


 俺はそこにちょっとだけお邪魔させてもらうイメージだ。そのために、昨日新曲も練習したし、たくさんのシミュレーションをした。

 

 そんな主役ではない俺でも、地味にやることはたくさんある。


「で、トリカはEエネルギーはどこまで使えるようになったの?」


「…かろうじて性能の悪い音楽関連の物を出せるようになったくらいね。ほんと、なんなのよこのエネルギーは。ムカつくわね」


「なら、事前の想定通り俺が全部用意しよう。それで、ヨヒラはEエネルギーを使う気がないんだよな」


「はい。やはりあのエネルギーを使う気にはなれませんでした」


 このように、二人はEエネルギーととことん相性が悪い。トリカは単純に使い方の問題、ヨヒラは詳しいことは分からないが、感情面の問題で使おうと思えないらしい。


「じゃ、とりあえず俺がEエネルギーで作った各種武器と、音楽関連の物、演出用機器、映像出力機、衣装とかその他諸々渡しておくな」


「助かるわ」


「ありがとうございます」


 あとはEエネルギーをアドリブで使う時なども俺の役目だ。


 重大な役目ではあるが、肩肘張らずやるつもりだ。


 とにかく笑って、腹から声を出して、心から楽しんで大盛り上がりさせることだけを考える。


 トリカも『ゲリラライブだろうが、普通のライブだろうが、何も変わらない。ライブでは楽しむことが大前提かつ、一番大事よ』と言っていたしね。



「よし!そろそろ行きましょう!五分後にここに集合よ!」


「おう!」「ええ」


 俺たちは俺がEエネルギーで用意したそれぞれの色のバイクにまたがり、別々の方向に空を爆走する。


 そして、空中からパラパラと大量の「電子チラシ」を撒き散らしていく。


 さらに、空に巨大モニターを出現させ、『今から五分後、歌姫トリカによるゲリラライブが開催されるぞ!』という煽りメッセージと、五分間のカウントダウンを表示させる。


 このように俺たちは、あらゆる手段、あらゆる媒体を使い、ゲリラライブが開催されることを広めていった。


「「「かっか!」」」


「ん?結び姫様たち、どうしたんだ?」


 空を見れば誰だってライブを見られるように根回ししていると、結び姫様たちが群れで俺の元へ来た。


 正直、今忙しい。遊んでいる暇はないのだが…


 と、俺が困惑していると、


「「「かっかっか!!!」


 結び姫様たちが、ピカーっと光り始めた。


 その後――電子チラシがとんでもないスピードで地球に住む住人たち一人ひとりの元へ飛んでいった。


 その行動に、ざわざわとざわめく観衆たち。電子チラシを拾った人や、空に浮かぶ結び姫様たちを見て、どんどん期待が広がっていく。


「もしかして、拡散を手伝ってくれたのか?」


「「「かっか!」」」


「ありがとう!結び姫様!」


 どうも結び姫様たちも、このゲリラライブを楽しみにしているようだ。


「なるほど。なら、ライブを全力で楽しんでくれよな!」


 俺は結び姫様たちと別れの挨拶をして、またゲリラライブの準備に空を走ったのだった。



――ゲリラライブまで、残り200秒、199秒、198秒……


 カウントダウンが進むにつれ、どんどんボルテージが高まっていく。地球のみんなはトリカのことをよく知っているので、生でライブが見られることを嬉しく思っている人が大半みたいだ。



――5、4、3、2、1……


「「「ゼロ!」」」


「さあ!今からゲリラライブを開催するわ!あなたたちに希望を見せてあげる!運命より楽しいものを、見せつけてやるわ!しっかり目と耳と、魂に焼き付けなさい!いいわね!」


「「「うおおおおお!!!」」」


 空中に現れた歌姫の姿に、熱狂の嵐が巻き起こる。ライブが始まる頃には、ほとんどの人が外へやってきて、俺たちの映像を眺めていた。


「このライブは無許可でやっているわ!でもまあ、通例なら一枚目のイエローカードくらい許してくれるでしょう。それに、もしいずれ止めに来る人がやってきても――わたくしの手先のヒノキとヨヒラが守ってくれるわ!絶対にライブは途中で終わることはないわ!」


「おいおい、誰が手先だよ」


「私がいる限り、このライブはつつがなく進行することでしょう」


「たった一時間くらいの短い間だけだから、治安維持局に勤めている人も、セキュリティガーディアンを派遣せずにいてくれると助かるわ!結び姫様も楽しみにしているようだし、今だけ多めに見て頂戴。ってことで、みんな!何も気にせず、全力で楽しむのよ!いいわね?」


「「「うおおおおお」」」


「早速歌っていくわ!最初の曲は【蕾たちへのエール】」


 トリカの掛け声とともに、ゆっくりとしたテンポのポップ調の曲が流れ始めた。


 …さて、俺は俺の仕事をしなきゃな。


 俺はトリカのライブを盛り上げるため、バイクで走ってどんどん周りを煽っていく。クスネもキュキュもロイヤルも地球もみんなも、さあ!全力で盛り上がろう!



 イントロ中に周りを煽りながらこの曲に思いを馳せる。


 蕾たちのエールはトリカの歌の中でも大人気な曲だ。自分を信じて、自分の「好き」を信じ、楽しんで、愛してやれ。そんなメッセージが込められた、力強く優しい応援歌。


 そして、実は今回はちょっとした特別バージョンだ。それは曲の中盤に分かることだろう。


「間違ったって、転んだって~♪」


 序盤は応援歌としてはよくある、どこか懐かしさのある王道のメロディ。ごく普通の応援歌だ。


 それでも、トリカの歌声は、じんわりと優しく体に染み込んでいく。

 

 太陽のように熱く、励ますように歌う。終始自分を信じて、楽しく日々を過ごそう。世界は優しいんだから。そう伝えてくる。



 そして、十分勇気づけられ、体も心もぽかぽかしてきた頃――


「楽しいだけ。本当にそれだけでいいの?」


 ジャーン!!!


 突如、この曲は転調する。ここからこの曲はロックとなるのだ。


 そして、ここからがスペシャルバージョン。


 今まで演出としてこの場を盛り上げていたヨヒラが、トリカの前に出て、空中の大モニターを占領する。


 そして――


「ドゥーン!ブッ! ドゥンッ! ドゥクドゥクドゥン!」


 激しいギターサウンドとともに、ヨヒラのボイスパーカッションが響き渡った――


 みんな、ヨヒラのボイパのとてつもない完成度に呆気にとられている。鳥肌を立てる人もいれば、息を呑んだまま動けない人もいる。涙を流している人すらいる。


 重低音のヨヒラの音が、震えが、衝撃が、熱が、みんなの心に波紋のように広がっていく。


 このライブは何かが違う。地球のみんなはなんとなく肌で感じているはずだ。


「戦え!勝ち取れ!足掻け!」


 歌うトリカ。奏でるヨヒラ。競うように、高め合うように――黒の衣装を身にまとった二人の音のハーモニーが、俺たちをめっちゃくちゃに痺れさせてくる。


 本来アンドロイドに人の心を動かす音楽とは相性が悪い。アンドロイドは娯楽を生み出すのが苦手な存在だ。


 それでも「そんなこと関係ない」というヨヒラの生き様に、トリカに負けず劣らず輝くヨヒラの姿に、地球のみんなは何か思うところがあるようだ――



『ヨヒラ、あなたにしか届けられない熱があるの。だから、協力してくれない?』


 トリカがヨヒラを誘ったことがきっかけで始まったこのゲリラライブ。


 作られた存在であるヨヒラだからこそ、地球に住む人の心に刺さる。ヨヒラが輝けば輝くほど、希望の炎は大きくなる。

 

 だって地球のみんなは――いや、今はそんなこと思い出してる暇はないか!とにかく全力でこの場を盛り上げよう!



 おら!みんな全力でタオルを振り回せ!必死にジャンプだ!もっと心をさらけ出して、もっともっと楽しもう!ガンガン乗っていこう!

 

 俺も心のままに、周りをどんどん煽る。

 

「ワタシの”好き”は誰にも渡さない!!!」


 そうしている間に、熱狂のまま一曲目は終わったのだった。


次回予告:歌いながらイチャイチャするな


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