運命巫女!セリとのデート!
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「セリー。行こうぜ!」
「ちょっと待ってー。今行く!」
ウツギと食べ歩きをした次の日。
今日はセリとのデートだ。昨日のうちにセリと予定を合わせて、色々企画しておいたのだ。
といっても、ナギさんにデートスポットや地理的な情報をたくさん聞いてから、ある程度予定を練ったくらいだけどね。ナギさんは博識かつこのあたりにかなり詳しいので、とても助かった。
ちなみに、明日はトリカ、明後日はヨヒラとの都合を強引に取り付けている。二人ともやることがあるとのことだったが、押せ押せで交渉した結果なんとか時間を作ってもらえた。
ちょっと強引だったが、俺はここに新婚旅行のつもりで来ているからね。せっかく新婚なので、ふたりっきりでデートしたいじゃん。ね。
順番にデートしていき、ヨヒラとのデートが終わった時点で六日目となる。残りの一日を自由に過ごしたら、ちょうど指定の一週間が過ぎる。
それからどう過ごすかは、まだ決めていない。
「用意できたよ!さあ、予定通り花束クレープを食べに行こう!」
俺が数日先のことを思い描いているうちに、セリの準備が整ったようだ。バタバタと俺の方に駆け寄ってきた。
ちなみに花束クレープとは、その名の通り、花束のような見た目のクレープだ。ここもナギさんに教えてもらったやつね。
「…おお!今日のセリはおしゃれだな!最高に可愛い!」
「へへへ、たまにはこういう格好も悪くないかなって」
セリはファッションにこだわりがないタイプだ。いつも暖かそうな半纏を着て、寝癖すらつけっぱなしのことが多い。
ただ、今日のセリは一味違う。メイクからファッションから、かなりこだわっている。
「いつものジト目の姿も大好きだけど、今日のパッチリとした目もいいな!それに、ふわっと巻いた髪の毛も素敵だし、甘めのファッションも似合いまくってる!可愛い!大好き!」
「ふふ、ヒノキってこういうキュルンとした女の子っぽいのが好きだもんね。それに合わせてみたんだー」
俺は女性の好みなどの話はあんまりしない。そういうのは男同士でひっそりするもので、女性にするものではないという価値観だからだ。それなのに、さすがセリだ。俺の趣味をよく知っている。
「てか、セリってこんなにおしゃれだったんだな」
「まあね!僕がちょっとやる気を出せばこんなもんだよ!でも、やっぱり普段着の方が落ち着くから、デートの時だけでいいかな?」
「ははっ、それも含めてセリらしいな。もちろん俺はどんなセリだって大好きだから、どんな姿でも万事オッケーだ!でも……そうか。この姿は今日しか見られないのか。なら、しっかり目に焼き付けておかなきゃな」
「ふふっ、またデートの時に違う姿を見せてあげるよ!最近の僕は余裕があるから、つい色々チャレンジしたくなるんだ!それもこれもヒノキのおかげだよ!」
セリが俺の腕をぎゅっと掴む。
このようにセリはいつも全身から愛をぶつけてくれる。セリから直接伝わってくる愛の波動が気持ちいい。
セリの愛の波動は、大洪水のようなものだ。とにかく量が多く、流れが苛烈で、深さもある。愛が果てしなさすぎて恐ろしくなるほどだ。
でも、俺はそれが嬉しい。俺は食欲だけでなく、愛に関しても大食らいだ。愛の量、質、勢いともに大きいセリは、俺と相性ぴったり。
「やっぱり俺にはセリが必要だ。セリ、大好きだぞ」
セリの髪を優しくなでながら、負けじと俺も愛を返す。俺の愛が波動となり、セリへと伝わっているのが分かる。セリ自身も俺の愛が伝わり、どこかくすぐったそうだ。
こうやって、お互いの愛の波動が混じり合い、花開いていく。これが愛を深めるということなんだろう。
「僕もヒノキが必要だよ。ヒノキがいないと生きていけないもん!」
「ふふふ、おそろいだな」
「ねー」
「かっか!」
「お?閣下も一緒に来たいのか?」
「もちろんおいで!閣下なら大歓迎だよ!」
「かっかー!」
「「じゃ、行こう!あ、揃ったね」」
…と、見て分かるように、最近の俺たちはバカップルだ。分かってても、どうにも止められないんだ。閣下のように、温かい目で見てくれると助かる。
さて、まずは腹ごしらえから。道中もイチャイチャ、キャッキャウフフしながら、ゆっくりと歩いていく。
そんな俺たちを見て、閣下も、地球に住む結び姫様たちも嬉しそうだ。
「でさあ。この惑星が星間断絶したのは、表向きは技術が他の惑星より進んでいるから、バランスのためってことになってるんだってさ」
――ありがたや、ありがたや。
「その言い方だと、セリは真実は違うと思ってるの?」
「うん。というか、実際にここで新しくできたゲーマー仲間から、『なにか強大なものから守られているのは分かるけど、その正体を伝えてくれてもいいのに』みたいな愚痴を聞かせてくれんだ」
――巫女様。我々に祝福を。ご加護を。
「おお、流石セリ、もうここでも友達ができたんだな」
「ゲーマーの絆は深いからね。それでさあ、これはゲーマー友達から聞いたんだけど、この惑星のゲームって、綺麗にまとまってるのばかり。でも、ものっすごく太古の昔のレトロゲームは、荒いけど不思議と熱中しちゃう魅力があるんだって。そういうのは簡単に入手できないのが難点なんだけどね」
――おかーさん!さいきょー巫女様がいるよ!僕もいつかあんなふうになりたい!
「…ねえ、流石にそろそろ気になってきたんだけど……この惑星の人たちって、セリを見て拝んでない?」
さっきから俺たち、正確にはセリを見て拝んでいる人がちらほらいる。セリの半纏を着たファッションの真似をしている人までいる。
「僕も気になったから昨日ゲーム友達にその話題を出してみたんだけど、どうも僕たちの映像作品がきっかけらしいよ」
「ああ、なるほど。その影響か」
そういえば昨日ナギさんから、『暇なときにでも見てみて下さい』と“希望”という題名の映像を送られてたな。
これを見れば、俺たちが勇者扱いされている理由などがだいたい分かるらしい。
なにせ、俺たちの映像を娯楽作品化したものは数々あれど、希望が一番流行っているとナギさんが言っていたしね。
ただ、俺は今のところ見ていない。
俺、自分の配信アーカイブとか、そこまで見直したいタイプじゃないんだよね。どうせ俺たちの人生だろうし、見なくていいかなって。
でも、ここまで影響があるなら流石に気になってきた。今日の夜にでも見ようかな。
「物語の中で、僕は『盤外の巫女』って呼ばれてるんだ。だから拝まれることがあるんだと思う」
「盤外の巫女ねえ…」
「うん、どうも僕、運命の隙間を縫い、点と点を繋いで、全力で望む未来を手に入れたみたいに解釈されているんだ。他にも、運命のハッカーとか、裏道を王道にした賢者とか、いろんな言われ方をしてるみたい」
なんにせよ、評判はすごくよさそうだ。子供からお年寄りまで、色んな人から憧れの目で見られているもん。
「運命の隙間を縫ったみたいなのって、あれか。本来の運命なら『俺はヨヒラとだけ結ばれるはずだった』ってやつか」
「そう。その運命はかなり力強いものだったんだけど、それを僕が愛の力で変えちゃった。いや、運命を変えたというよりは、上手く流れを誘導して、望む運命を手に入れたみたいなニュアンスだったかな?」
「…地球の人、運命とかそういうのが好きなのかな?」
とりあえず結び姫様がいっぱいいることから、運命というものが身近であることは確かだ。
ただ、実際に運命が見えているみたいに話す人がちらほらいるのが謎なんだよなあ…
「これはヒノキのお母さんに聞いた話だから、詳細は知らないんだけど、『運命に逆らおうにも、どうしたらいいのかさっぱり分からない』みたいな人が多いみたい。だから運命を壊すとか、不可能を可能にするとか、そういうのにすっごく憧れるんだって」
「へえー……てか、俺の母はちゃんと情報収集してたんだ」
「うん。酒場で美少年たちと大はしゃぎしながら、そのついでに情報も集めてるらしいよ」
「…おん」
…いや、いくらはしゃごうが別にいいんだけどね。なんかこう……なんかね。うん。そんな感じ。
と、母の活躍っぷり?に微妙にもやもやしたところで、クレープ屋さんに到着。
ものすごくゆっくり歩いてきたので、今日考えてきたデートプランの全てはできなさそうだが、まあいい。そこは臨機応変に行こう。
ちなみに、本来ならクレープを食べて、二十段アイスを食べて、軽く運動して、ちょっとだけゲームをして、帰るみたいなプランを練ってきていた。
でも、予定は未定。今を大事に生きる方が大事だ。
「おお!ほんとに花束みたいなクレープだ!食べるのがもったいないね!」
「そうだな!すんごい綺麗だ!」
「ねえ?」
「分かった」
何も言わなくても、セリがしてほしいことは伝わる。
俺は膝をついて、この花束をセリへと差し出す。
「結婚しよう」
「もちろん!」
セリは、一回きりの盛大なプロポーズには興味がない。それよりも、日常の中で何度も「愛してる」と伝えられる方が嬉しいらしい。
一日の巨大な愛より、とにかく毎日、愛を実感したいのだそうだ。だから俺は、毎日のようにセリに花を渡し、プロポーズしている。
「はあ……僕、幸せだなあ…」
…でも、それはそれとして、俺はもっとちゃんとした「一世一代のプロポーズ」みたいなのをやりたい。
地球へ旅行中に、もっと派手でロマンチックなプロポーズもするつもりだ。
セリもトリカもヨヒラも、もっと幸せにしてやるから、期待して待っててくれよな。
次回予告:遊んでワクワク!作ってワクワク!




