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貞操逆転スペースファンタジースローライフ!?~男女比が1:10の宇宙で男に生まれた俺が、辺境の無人惑星でスローライフする姿を配信する  作者: ながつき おつ
6章 前世

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大物釣果!前世のお仕事!

読んでいて少しでも感情が動いたら、評価・リアクション・ブックマークをお願いします。




「ういーす。海の男ムキムキイケメンのヒノキでーす。今は海辺で配信してまーす」


>告知してから配信しろ

>今日も楽しみ

>今日は海なんだ

>なぜ水着じゃないんだ!


「昨日はリラックスもしたし、今日はマグロを釣りに行くぞ!」


>ええ?

>流れがよく分かんないな

>もうちょっと人間にも分かる言葉で説明してくれw


「簡単に言うと、マグロを釣りたくなった。だからやる!って話だ!」


>最初からそう説明しろ

>なんでマグロ?


「俺、マグロの一本釣りに憧れがあるんだよ。これは前世由来な願望な気がするな」


>前世が貧弱だからみたいな理由かな

>前世では色白貧弱男子だったみたいなこと言ってたっけか

>聞いた話をつなぎ合わせると、前世は貧弱で非モテでゲーマーの陰キャみたいな感じ?

>ワイの考察では多分身長は170センチくらいだと思う。ヒノキの言う「貧弱」のニュアンスに、ある程度のタッパがある前提があった


 俺、基本的に「前世では貧弱だった」くらいしか説明してないのだが……色々視聴者の中で補完されて、色白だの陰キャだの、具体的なイメージが固まっている。一度も具体的な容姿の話はしていないんだけどな。


 …でも、そのイメージで大まかに間違っていないというか、ほぼ正解なんだよね。


 それにしてもコイツら、なんでこんな少ない情報だけでこれだけ正確で具体的なイメージを構築できるんだよ……まさかとは思うが、俺の前世に対しても「男に対する異常な嗅覚」が発揮されてるなんてことはないよな?


 まあいいや。俺も全て話さずとも分かってくれる分、楽でいいし。ポジティブに考えよう。



「じゃ、準備していくぞ!」


 一応事前準備はしっかりしていた。といっても、簡単なものしか用意してないがな。


「じゃーん。この宇宙服を着て、海底を歩いてマグロを探します!ワイヤーと餌も用意してあるので、あとはアドリブでうまいことやるつもりだ。これぞ俺流の釣りだ!」


>え?

>船とか宇宙船とかに乗って探すんじゃなくて?

>それは釣りではない!!!!!

>釣りというより(もり)突き漁とかの方が近い気が…

>なんだその釣りwww


 宇宙服には、かなりの防御力と環境適応力がある。それさえ着ていれば海底でも地上のように平然と暮らせるので、マグロ釣りには最適だ。


 …まあ、高性能な分SCエネルギーを使うことにはなるのだが、どうしてもマグロを釣りたくなったのでこの際そこには目をつぶる。井戸掘りのときも使っていたし、多少ならセーフということで。


「あ、そうだ。海で海洋生物に襲われるのだるいから、ステルスモードで探すことにしよう。ってことで、ステルスモードオン!」


 俺はどしどし海底を走って大きな魚を探していく。


 結構なスピードで走っているが、ステルスモードだと海中の生物から視認されないので快適だ。



「じゃ、ある程度遠くまで来たし、ここからはのんびり海底散歩でもしながら、ゆっくり探しますか……って、もう見つけちゃったよ」


 少し向こうの方に大きなマグロの大群がいた。


 アイツらは一応はマグロの仲間ではあるが、ほぼサメみたいなものだ。ここの海の生物はみんな凶悪だからね。


「欲を言えばこの海底から見える景色をもっと堪能したかったんだが…」


 見つけてしまったものは仕方ない。


 俺は事前に用意しておいた匂いの強い肉を、釣り餌にするためにリュックから出す。


「あ!用意してきたワイヤーに餌を引っ掛けてくるの忘れてた!どうしよう!……ここでやっちゃうしかないか!」


 もたもた……もたもた……


 どうも焦って上手くワイヤーに引っかからない。

  

 そんなふうに戸惑っているうちに、大量のマグロがこちらをロックオンした。


 ほげー……大量の大型の魚が一直線に向かってくるのにはなかなかの迫力があるなあ…


「って、ボケっとしてる場合じゃなかった!仕方ない。この手は使いたくなかったが…」


 俺は釣り餌をむんずと手に握り込んだ。


 ガブッと俺の腕ごと餌を飲み込もうとするマグロ共。


「…よし!この状態で引き上げるぞ!」


 幸いにも宇宙服のお陰で痛くない。


 とりあえず一匹釣れれば良いので、腕に噛みついてきたマグロを口の中でガッチリ掴み、海底をマグロよりも猛ダッシュで走ってマグロを振り切る。

 

 こうして俺はマグロの一本釣りに成功したのだった。


>ねえ?やっぱこれって釣りじゃなくね?

>私たちは何を見せられてたんだ…

>俺自身が餌になることだ

>私はこれを釣りと認めない


 …まあまあ。釣れたからいいじゃん。ね。



「じゃ、家に帰って解体タイムと行きますか!」


 海から家に帰る道中、いつものごとく視聴者と雑談する。話題は俺の前世についてだ。


「俺さ、前世では漁業組合の人とよく仕事してたんだよ」


 海の男と相性がよく、そこでばかり仕事をさせられていた。


>娯楽意外の仕事ってイメージつかない…

>業務内容は?

>そういや、どんな仕事してたの?


「“民間地域調停人”って仕事だ。地元のいろんな問題を話し合いで解決するためにできた会社らしい。主に漁師と商人、地主と住民、他にも家族同士などの揉め事を扱ってた。まあ、実質便利屋みたいなもんだ。でも、基本は揉め事の仲裁ばっかりだなあ…」


 勤務時間も多いし、突然呼び出されることも多い。それに、人が怒っている場面によく出会うので、なかなかストレスの溜まる仕事だった。


 安月給だし、軽くブラックだし、職場も男ばっかりで異性との出会いもないし、たまに入ってくる女性の新入社員もすぐに辞めちゃうし……あの仕事をもう一度やれと言われたら、俺は全力で逃げる自信がある。


 唯一のいいところは、同僚や上司たちとの絆だけは強かったところかな。非モテ男性同士、強固な絆があった。


>なにげに難しそうな仕事してたんだな

>今のヒノキからは考えられないような器用な仕事だな

>ヒノキの前世の男、偉すぎだろ

>何年くらい働いてたの?


「えっと、高校出てからすぐに働いてたから……約十三年くらいかな。平日は朝九時から夜の九時くらいまで働いて、休日は休みっちゃあ休みだが、いきなり呼び出されることもそこそこある。だからか、休日が休みって感覚はあんまなかったな」


>…地獄じゃん

>よくそんな長い間働けたなあ…

>文化が違うと言えど、流石に過酷すぎるだろ

>働いてるだけで偉いって褒めようとしたら、思った以上に働いててドン引き


 ドン引きのところ悪いが、みんなそんなもんだったよ。少なくともあの時の日本では、程々のあるあるだったんじゃないかな?


「そんな感じだったから、仕事中も適当に肩の力を抜きつつ、うまくサボりながら時間を過ごしてたよ。あいにく上司や同僚との関係はうまくいってたしな」


>やっぱり前世のヒノキのほうが優秀じゃない?

>だよな。聞いてる限り、前世のヒノキの方が…

>前世のモテないヒノキと今すぐに結婚してあげたいwww


「え?いやいや……流石に今の俺の方が優秀だろ?だって前世の俺って貧弱だったし、サボり魔だったし、モテなかったし…」


>そんなこたあない

>あんまり頑張ってる男を馬鹿にしないでください!不快です!

>サボりも技術だから

>前世のお前の方が明らかにこの宇宙でうまく適応できるだろwww

>この宇宙じゃ頑張ってる男はそれだけでモテモテだぞ?

>あんまり人を下に見るの、良くないと思います!それに、見下されるタイプの人じゃないし!


 …なんかすごく怒られているんだが。


 でも、これだけ怒られているってことは俺がズレているのだろう。


 これ、もしかしてさあ。


「……そっか」


 今、初めて気づいた。


「…そうだったんだ」


 まさかそんなことをコイツらに気付かされるとは思わなんだ。これが、青天の霹靂ってやつか。


 

――俺の前世は非モテで、貧弱で、存在感が気薄で、安月給で、気概もなく、頼れず、何にもできないダメなヤツと思っていた。


 でも、そう思っていたのは俺だけだったみたいだ。


「前世の俺は、確かに頑張って生きていたもんな」


 それを否定するのは、たとえ今の俺であろうと良くない。視聴者の言う通りだ。


 それに、冷静に前世の自分を評価すると、今より圧倒的に共感能力とか妥協案を探すのに長けていた気がする。前世の俺も意外と優秀なやつだったのかもしれないな。


 そして、無意識のうちにその能力は今の俺の中にしっかり根付いている。特に妥協案を探すことなんて、今の俺もよくやっているしね。


「お前らもたまにはいい仕事するな!ありがとう!俺に見落としてた事実に気づかせてくれて!ということで、今日は記念日にしよう!俺の前世が精一杯頑張って生きたことに、みんなで拍手を送ろう!拍手!」


>ぱちぱちぱち

>ヒノキの前世、すげー!

>ノリがよく分からんけど、とりあえず拍手するぜ!

>偉いぞ!ヒノキの前世!

>お前はよく頑張った!これからはヒノキに任せてゆっくり休んでくれ!


「…あれ?なんか、今ならいけそうな気がする」


>?

>いきなりどうした?

>述語が足りない


 俺は目をつむり、丹田に力を入れる。それからゆっくり全身に力を入れていき、あのキラキラした状態になるときと同じような力の入れ方をしていく。


 すると、いつもならキラキラするのだが、今回はというと…


「なあ?今の俺ってキラキラしてないよな?」


>うん

>なんにも変化はないけど、なんかえっちではある!

>もしかして、えちえちモードになった?

>キラキラがないから分かりづらくはあるが、確実にえちえちモードではあるな


 俺はこの日、ついに体の表面をキラキラさせず、その状態に至ることができた。


 これがヨヒラの言う開花というやつだろう。自然体でありつつ、さらにHPの上がったキラキラした状態。これで完成だ。


 でも、修行以外で開花することってあるんだな。こんなタイミングでできるようになるとは…


 

――ん?あれ?


 これは直感で、不確かな感覚なのだが……なんだか、まだこの先がある気がする。もっというと、俺はまだ開花しきっていない。そんな気さえする。


 あと一歩、あと一歩進めば、俺は完全に花開き、開花するだろう。確かなことは言えないが、絶対にそうだと確信めいた直感があるのだ。


 きっと、その日は近い。その日が楽しみだ。




次回予告:ぶちゃいく可愛い


【お知らせ】


この作品を最後まで書き終えたので、これから毎日投稿していきます。

数え間違いがなければこの話を入れてあと残り52話ですので、最後までよろしくお願いします。



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