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貞操逆転スペースファンタジースローライフ!?~男女比が1:10の宇宙で男に生まれた俺が、辺境の無人惑星でスローライフする姿を配信する  作者: ながつき おつ
6章 前世

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最強存在!トラウマへの適切な対処法!

読んでいて少しでも感情が動いたら、評価・リアクション・ブックマークをお願いします。



――いつにもまして、最近のヨヒラがすごい。


 俺が鍛冶場を建てていた数週間の間、地球関連のことを同時並行でパソコンを使い調査していた。


 相変わらず暗号化されていて調査が難航している。みんなが優秀な分、俺だけ遅れを取っている気がして、焦りは募るばかりだ。


 そんな中、ヨヒラが月から帰ってきた。どうやらある程度実地調査は終わったらしい。そこで、ヨヒラは色々な新事実を持って帰ってきた。停滞気味の俺とは違い、はっきりとした成果をいち早く持って帰ってきたヨヒラはやはりすごい。俺も頑張らないとな。



 その時の俺とヨヒラの会話の一幕はこんな感じだ――


「全ての理に理があるように、Eエネルギー発電装置や、Eエネルギーにもしっかり理がありました。私が観測し、触れた範囲で見つけた“理の断片”を共有しておきますね。御主人様の調べ物になにか役立ててください」


「お、おう」


「まず、Eエネルギーの元はSCエネルギーです。あれはただのSCエネルギーを変容させたものにすぎません」


「うん」


「SCエネルギーとは、エネルギーを物質に変換できる人工的なエネルギーです。とても安定したエネルギーですので、完璧なエネルギーとして今現在便利に使われております」


「そうだな」


「ですが、あくまでSCエネルギーは観測できるものに対しての力でしかありません。理に従って力を及ぼすことしかできません」


「…うん、続けて」


 ここらへんの説明の時点で、俺の理解力ではもう怪しかった。全部聞き取れてはいるんだけどね。


 でも、一応続きを聞こう。そのうち分かってくるかもしれないしな。


「その点Eエネルギーは違います。Eエネルギーはその不安定さから、現状では未観測のものにまで力を及ぼすことができるのです」


「なるほど」


 要はEエネルギーすげえええ!!!ってことだよな。うん。


「続いて、Eエネルギーの大まかな構造について説明します。Eエネルギーとは、SCエネルギーを元に、人間の持つ感情の力を融合させ、変容させた全く違うエネルギーです」


「ほえー」


 そうそう、このくらいまではなんとかまだ俺の理解力でも追いつけていたんだよ。


 でも、問題はここからだ――



「ここでいう人間の感情とは、単なる心理現象ではありません。それは運命の確率分布を微細に揺らがせる振動波のことを指します。または空間を揺らがせる力と言い換えてもいいでしょう」


「??」


「おそらくこの力は、生特有の摂理の歪みから発する、魂由来の力でしょう。ですので、アンドロイドの感情にはそのような力はありません。もっとも、我々にはまだその事実を証明する術はありませんが」


「???」


「そして、ここでいう運命とは、ただの最も安定した未来経路でしかありません」


「????」


「さらに、この事実もまだ現時点の人間では見つけておりませんが……元来この宇宙は想像を絶するほど膨大なエネルギーによって成り立っています。観測不可能、干渉不能。それでもなお、様々な事実がそこに“在る”ことだけは、断片的な事実から推測ができます」


「?????」


「よって、Eエネルギーはその宇宙のエネルギーに作用する力があるのです。分かりましたね?」


「おう!分かった!」


 俺には分からないということがな!



――と、こんな一幕があったってわけだ。何を言っているのかさっぱりだったぜ!


 …まあでも、Eエネルギーは感情がどうたらこうたらで作られてるみたいなことはかろうじて理解できたので、暗号解読に役立てようと思う。難しい暗号でも、答えさえわかっていれば逆算できる可能性があるからね。


 

 ヨヒラは今、地球へ行くために他の人の手伝いをして過ごすことが多い。例えば、俺の母の研究の手伝いや、ウツギの修行の手伝い、トリカの日々の業務の手伝いなどだ。


 そんなお手伝いの中でも一番力を入れているのが、俺の修行の手伝いだ。色々お手伝いし回った結果、他の人は放っておいてもなんとかなると判断したらしい。


 そして、俺の修行を手伝う時、ヨヒラはとっても楽しそうだ。今日もヨヒラは嬉しそうに俺にたくさんの事を教えてくれる。


「いいですか御主人様、アンドロイド流武術には、三段階の成長があります。私はこれを芽吹き、開花、結実と名付けました」


「ほう」


「御主人様の生命力がキラキラとした状態や、トリカ様の稲妻をまとった状態、あれが芽吹きです。次の段階へ行くには、そのオーラを体に馴染ませ、完璧に扱えるようになれば開花となります。開花すれば、キラキラしたりすることはなくなるでしょう」


 芽吹き、開花、結実ね。


「御主人様なら、開花にさえ至れば百点満点です」


「え?結実とやらには至らなくていいの?」


「はい。そもそもこの武術には結実という段階は本来存在しないので」


「ん?どういうこと?」


「結実というのは、満点より先を目指した私が勝手に付け加えたものですので」



――まだよく分からなかったので、もう少し深掘りしてヨヒラに聞いてみた。


 現状、結実に至ったアンドロイドはヨヒラだけらしい。これまで最も高い練度を誇ったルリさんですら、開花止まりだという。


 …それを聞くと、ヨヒラのとんでもなさがようやく分かった。今やヨヒラは宇宙で一番強いアンドロイドと言っても過言じゃないんじゃないか?少なくとも、アンドロイド流武術においては、一番強いってことだもんな。



「見たところによると御主人様は開花しかけています。なんとなく自身でも開花の方法は分かっていそうなので、具体的なアドバイスは必要なさそうですね」


「あ、やっぱりそうなんだ。じゃあ、自身の弱さや前世の死というトラウマを乗り越えさえできれば、俺はその開花とやらができそうだな」


「あら御主人様、トラウマなんて乗り越える必要はありませんよ?」


「え?」


「御主人様、私も結実に至って最近気づいたことなのですが、全ての(ことわり)には()があるのですよ」


「全ての(ことわり)には()がある」


 このように、最近のヨヒラは、「全ての(ことわり)には()がある」といったことをよく口にする。()があり、ルールがあるからこそ、この宇宙は美しいとのこと。その美しさに気づいた時、ヨヒラは結実に至ったらしい。


 そして結実に至ったヨヒラは、アンドロイドというものの誇り、自身を明確にし、今までより合理性を重視するようになった。



 その後もヨヒラの説明は続く。


「トラウマにもしっかりルールがあり、プロセスがあり、原因があり、しっかりとした意味があるのです」

 

 トラウマの構造など考えたこともなかった俺は、思わず目を丸くした。


「トラウマへの最適解は、理解です。トラウマを否定しない、恥じない、必要以上に戦わない。この三原則が重要となります」


「うん?それじゃあどうすればいいんだ?」


「トラウマも一種の経験です。忘れたり消したり乗り越えるのではなく、理解し、受け止めるのが重要なのです。そうすれば、いつしかトラウマですら自身の糧となり、自身の個性となります」


 理解し、受け止める。そのための過程として、否定しない、恥じない、必要以上に戦わない。


 …なるほど。恐怖に真正面からぶつかって、慣れることが必要だと思っていた。でも、そうではないんだな。

 

「そこまで至れば、トラウマがあろうと、自然体でいられるようになります。解決への道筋さえ分かれば、なんだか簡単そうに思えませんか?」


 …流石ヨヒラ、俺のことがよく分かっているな。


 俺は目指すべき方向性が明確であればあるほど、力を発揮するタイプだ。ヨヒラの話を聞いて、今たしかに「なんか思ったより簡単そう」と思ったばかりだったもん。


「ほんと、ヨヒラは頼れるなあ……はぁ……結婚してほしい」


「ふふっ、御主人様がアンドロイドになれば、結婚してあげてもいいですよ?」


「…へ?」


 今なんて言った?


「御主人様もアンドロイドになりませんか?」


 再度聞いてもうまく頭に入ってこない。


「えっと……『アンドロイドになりませんか?』って言った?」


「はい。一言一句そのとおりです」


 ヨヒラの言葉を理解するまでに、数秒ほど固まってしまった。


 そしてようやく、頭に浮かんだ一番の疑問を口にする。


「…そもそも、人間がアンドロイドになれるの?」


「技術的にはぎりぎり不可能ではないのですよ。私はアンドロイドであることに誇りを持っているため人間とは結婚できませんが、御主人様がアンドロイドになれば話は別です」


「アンドロイドになれば結婚できるのはめちゃくちゃ嬉しいけど……絶対なんかデメリットがあるでしょ?だって、人間がアンドロイドになるなんて聞いたことがないもん!」


「ふふっ、ご明察です。人間を無理やりアンドロイド化すると、様々な不都合が起こります。正気をなくしたり、自我が崩壊したり、幻覚が常に見えるようになったり、その他にも血液が常に沸騰しているかのような痛みが…」


「ダメダメ!なんか怖すぎる!」


「あら。御主人様ならそれくらい耐えられそうなのですがね…」


「流石に買いかぶりすぎだって!」


「ふふっ、まあちょっとした冗談です」


 ヨヒラの冗談は相変わらずだ。どこか怖い。



 …でもよく考えれば、アンドロイドでさえあれば俺と結婚してもいいってことだよな?


 この考えが脳から離れず、今日の修行中、ニヤけがとまらなかったのだった。


次回予告:普通に鍛冶と木工

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