冬農作業!冬に備えろ!
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「ういーす。いあいあふたぐんムキムキイケメンのヒノキでーす」
>告知してから配信しろ
>今日も楽しみ
>いあ!いあ!クトゥルフ!
>ヒノキの配信を見てしまったあなたはSANチェックです
>クトゥルフ神話TRPGは、とりあえず困ったときに跳躍しとけば大体解決するぞ!
>こちとら常時不定の狂気よ!
今日もいつものごとく朝から配信だ。
今後はいつも通り配信して、余った時間でパソコンで情報収集したり、操縦の練習したりといった日々となるだろう。セリ以外のみんなは大体俺と同じ取り組み方のはずだ。
「秋といえば飯!冬といえば飯!ということで、農業しまーす」
>は?
>????
>「ということで」の使い方を間違ってますよ?
>人間でも分かる言語で喋ってくれ
いやいや、言葉ってフィーリングだから。そっちで勝手に行間を読んでくれ。
「芋と豆を収穫してからは、もっぱら果実の水やり程度しかやってなかったからな、そろそろ俺も次のステージへ行ってもいいだろう。いやあ……立派なスローライファーへの道のりは厳しいなあ…」
ちなみに、あれからも豆と芋は未だに植え続けているぞ。今やあの二つは俺の主食だ。
>スローライファー(宇宙に一人だけ)
>そもそもスローライファーって何だよ
>何を植えるの?
「今日は基本的に根菜と小麦を中心に植えるつもりだ!根菜って食べごたえあって好きなんだよね。あと、余った時間でビニールハウス作りにも挑戦するつもりだ!」
>根菜というと、じゃがいもとか大根とか人参とか?
>小麦はいいぞ。小麦畑の見た目も味も大好き
>ビニールハウスなんて一から作れるの?
「鍛冶を習ったからビニールハウス程度なら作れそうだと思ってたが……そういや、ビニールを持ってないな」
>おいwww
>話にならなくて草
>もうちょっと後先考えてから何をするか決めてくれ
>相変わらず脳みそを使わないなこいつ
「ま、いいや。今日配信が終わった後にでもクエストを受ければいいか。交換レート的にビニールくらいならすぐに手に入れられるだろ」
>普段からもうちょっとクエストを受けろ
>クエスト大量消費配信まだー?
>クエスト受けるのなら、もはやビニールとかじゃなくて良くない?
>せっかくなら素材にこだわりまくって、最強のビニールハウスを作ろうぜ!
「最強のビニールハウスねえ……ま、色々考えとくわ!俺がビニールハウスを作りたいと思ったのは、いつ何時でも米を収穫できるようにしたいってだけだしな」
>米、好きだねえ
>美味しいけど、ワイはパンのほうが好き!
>ワイの惑星の米はすっごくプチプチしてるんだよね!めっちゃ美味しいよ!
>私の惑星の米はモチモチしてます
ほえー、そっか。米にも色々種類があるんだな。当たり前の事ではあるが、そんなこと意識したことなかったわ。
…現状では無理だが、いつか色々な米を食べ比べてみたいな。
「あ、そうだ。余った時間でやることが合ったんだった。以前めちゃくちゃに植えた果実の種がそろそろ苗木になっているから、今日はそっちの管理をしないといけないんだ」
>…あっ、そうだ、こいつ、リュックに入っていた果実の種をどれもこれも植えてたんだった
>季節ごとに分けたり、種類ごとにわけないと面倒なことになるぞ
>今は肥料の力で無理やり育ってるけど、いずれどこかでちゃんとしないとな
うへー。考えるだけで面倒だ。なんであの時の俺はめちゃくちゃに種を植えてしまったのだろうか…
当たり前だが、果実ごとに育つ環境などに違いがある。適切な農業をするのなら、考えることは多い。適切な管理、土壌、温度、日照の問題、受粉のことなど、やれることはいくらでもあるのだ。
「…ま、いいや。そういうのは後で考えよう。ということで、農業やっていきまーす」
手順の基本の流れは、今までと一緒だ。地雷で耕したり、香水作成キットで肥料をまいたり、芳香剤を使ったり、雨乞いホイッスルと噴水フラワーを使ったりって流れだな。
「あ、そうだ。修行のために常にキラキラさせながらやるか」
>えちえちモードきちゃああああ!
>そのモードエロいから好き!!!!
>わっしょい!わっしょい!
丹田に力を入れ、柔と剛は完璧なバランスで、流れるように全身に力を入れていく。
こうすると、俺はキラキラと輝きだす。さて、問題はここからだ。
「ふんっ!」
とりあえず気合を入れてみたが……特に変わりはない。
まあ、そうだよなあ…
今俺が何をしようとしたのかというと、スター状態に入りながらも、キラキラを抑えようとしたのだ。
体が光るのは、生命力が溢れて漏れているから。余すことなく生命力を活かせれば、体が光ることなんてなくなるはずなんだが…
理論で分かっていたとて、できるということには繋がらないわけだ。
やはり、練度の問題か?それとも、何か別の問題があるのか?
…まあいい。続けていれば、いつかできるようになるだろう。
今日はもう仕方ないので、俺はこのキラキラした状態のまま土地づくりに入る。
「今日植える野菜は、ラディッシュ、カブ、玉ねぎ、にんにくあたりだな。みんなとのシェアハウス生活のときに、しれっと探索して見つけてたんだよね」
この四種類は、趣味の範囲でしか植えないつもりだ。
ただし、小麦に関しては本格的で大規模な小麦畑を作るつもりでいる。
最近食欲が爆発的に増加している。そういうときに便利なのはやっぱり主食だ。とにかく腹を満たすのに、主食は適している。炭水化物はそういう意味では最強なんだよな。
>今回は適当に植えるなよ
>せめて場所を分けて種を植えなね
>そういや、ウツギのところでクスネキュンがにんにくを掘ってるのは見てた
>ワンコはにんにく食べれないから、ヒノキが慌ててたなwww
>もちろん今回は丁寧に農業するよな
そうだな、雑に種を植えるだけ、みたいなのはやめよう。そのやり方でも肥料の性能がすごいのでなんとかなるが、農業に関する知識が増えないからな。
俺の理想は、自分で採った農作物を毎日のように食べ、庭で植えた花を愛で、庭に実っている果実からジャムを煮る。みたいな、そんな生活だ。そういうの、めっちゃスローライフっぽい。だからこそ、最低限の知識を得る努力はしないといけない。
「あ、そうだ。今の俺なら、あの地雷を踏んでも抵抗できるんじゃないかな?あれだけ過酷な滝行をやってきたし、なんかできそうな気がしてきた!」
>ああ、あの悪趣味な地雷か…
>殺傷力自体はないけど、草と水と土とかで泥まみれになるやつなwww
>ドロドロのヒノキを切り抜いて、何度もループ再生してますwww
滝行では、水の流れが急に変わり、地面から登ってくる水に跳ね上げられるみたいなことはざらにある。それに耐えるのと、地雷でふっとばされないようにするのは、ほぼ一緒みたいなものだろう。
「よし!実際にやってみるか!」
都合よく木を引っこ抜いて広く使える場所がある。そこに地雷をセットして、っと。
…うん。えっと…
「…てかさあ。最初は俺が貯金できないから母の店でしか買わないって縛りをつけたわけだけど、母の店の商品にろくなのがないせいで、いつの間にか貯金できていたんだよ。俺すごくね?」
>そんなのいいからはよやれ
>地雷踏むの嫌なのかwww
>ビビってて草
>自分で言ったんだから、やれ
>ここまで来て「やっぱやめた」っていうのは、なしだぞ?
俺の無駄な抵抗はすぐにバレた。視聴者の察しが良すぎる。
…しゃあない。気合入れるか。
「じゃあ、いきまーす」
ドカーーン!!!
俺が地雷を踏むと爆発したかのような音が発生し、重力が反転したかのような力が俺にかかる。
「ぐぎぎぎぎぎぎぎ」
以前ならこの不思議な浮遊感に抵抗なんてできなかった。重力に抵抗するようなものだしね。だが、滝行を何度も経験した俺には、抵抗するのにコツがあるということを知っている。
(地面に深く根ざすイメージ!)
あとは、「絶対に動かない」という強い意思を持ちながら、反射的に同じ力で抵抗する。やることはそれだけだ。
――しばらく耐えていると、不思議な力が俺から抜けた。成功だ。
「ふぅ……な?今の俺なら抵抗できるって言っただろ?」
>そうだなwww
>相変わらず泥だらけなのは変わらないの草
>すごいのか、すごくないのか、さっぱりなんだが…
>草とか水とか風とかのせいで、びっちょびちょで笑うwww
>そして、神経を逆撫でするような音楽が流れるっていうねwww
「もう!ほんと何なんだよこのムカつく地雷は!なんでかちあげられるのに耐えても、飛び散ったゴミとか水とかはしっかり俺に吸い寄せられるんだよ!ムカつく!誰だよこんなの作ったやつは!?」
>ほんと、誰だろうなあwww
>親の顔が見てみたいなwww
>ヒノキのマッマ「私だ!」
>これにはマッマもどや顔
>流石ヒノキのマッマだぜ!そういうところも抜け目ないな!
「はぁー……耕すのは確実に楽になってるんだけど……もうちょいどうにかならないかねえ…」
――この後俺は、肥料をまき、根菜から小麦までとにかく種を植え続けたのだった。
そして…
「今まで適当に植えた農地の整理が大変過ぎる!なんでここにトマト植えてるんだよ!その隣にオリーブを植えるな!オリーブの苗木の隣がなんで小麦なんだよ!というか、これはなんの果実?意味不明な種を植えるな!」
以前適当に植えたせいで、今の俺は心底困っている。収穫時期の野菜もあるし、しっかり根付いている果実の木を移動させる必要もあるし…
この作業のせいで、しばらくの間俺は徹夜を強いられることになる。連日の間、ブチギレながら農作業するだけの配信が続いたのだった。
次回予告:前世の死因




