前世暴露!お前らも手伝え!
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みんなが地球へ行くために活動しているのに、俺だけこんなふうに呑気に配信しているのには、もちろん理由がある。
結局、いつも通り配信することが、今の俺に一番必要だと思ったからだ。
というのも…
いや、その前にお知らせから入ろう。まずは勢いづけてから本題に行こうか。
「さて、今月もスポンサー様から新衣装が来たぞ!」
>おおお!
>その道着ともお別れか
>道着も似合ってたのにね
>今更だけど道着かなり好き
「ま、もうこの流れも何度もやったし、ぱぱっとやっていくか。俺の新衣装は……じゃーん!」
>おおおおお!
>今回はコスプレ感がすごい!
>陰陽師だ!
「はい、ってことで、新衣装はちょっとファンタジーの入った陰陽師風の衣装でしたー。拍手!」
今回の衣装は、白を基調とし、袖がダボッとした上の服に、下はダボッとした紺のズボン。腰には大きめの扇子がひっかけられている。帽子はなし。
>ぱちぱちぱち
>流石スポンサー様だ。道着のときみたいに、鎖骨が見えてるのがエロくていい
>布面積が多い割に、チラチラ素肌が見えるのえっっっっっ
>陰陽師ものはなかなか捗るんだよなあ……
>天才陰陽師に汚れたワイの体を祓われたいです!!!
「なんか陰陽師の割に、装飾がやたら多いよね。しっかり動きやすいからいいんだけどね」
>陰陽なんて映えれば映えるほどいいんだよ!
>もうとっくにそんな職業は絶滅してるしね
>ヒノキは陰陽師もの好きなの?
>神聖系えっち、えろくていいよなwww
>なんかそんな神聖な衣装なのに、ヒノキが着るとヤサグレ陰陽師みたいになるなwww
「はいはい、六根清浄、六根清浄っと。これで今回の新衣装発表のコーナーも終了だ。何度でも言うが、お前らはもうちょっと似合ってるとか言おうな」
>ちゃんとエロいよ!
>そんな雑なお祓いで我々のしつこい穢れが落ちるわけないんだよなあ…
>しっかりえちえちでいいね!
>捗ります!!!
「…はい、ということでね」
>もうツッコむことすらしなくなったぞwww
>呆れた目で私たちを見るなwww
>ツッコむことを諦めるないで
>え?ヒノキのお祓い棒でツッコんでくれるの!?ばっちこい!!!
「…今月からはちょっと早いが、冬の準備編に入っていくつもりだ。最近めっちゃ食うから、大量に食料のストックをしておきたいんだよ。それとだ。俺、冬が苦手なんだ。十二月になると、いつもめっちゃしなびてしまう……だから、元気なうちに色々準備しておきたいんだよ」
>寒さとかは割とどうにでもなるしな
>ほんと食い過ぎwww
>そっか、ヒノキもそろそろ「冬眠」の時期か…
>冬が苦手なのは察してたけど、自分の口から苦手って言うのは初めてじゃね?
俺のことを昔から知っている人は、俺が十二月に活動しなくなることを知っている。冬眠というワードを出した人は、確実に昔から俺を知っている人だろう。
そのことについて俺の口から説明するのは、今回が初めてだ。
今までは口に出す余裕すらなかったんだが……ようやく俺もここまで回復したかあ。シンプルに嬉しいな。
今まで、本当に十二月はなんにも活動できなかった。前世の死の時期が近づくと、鮮明に死の瞬間がフラッシュバックして、どうにもならなかったのだ。
そういうとき、いつも俺の母やセリが一緒にいてくれた。十二月になり死人のようになる俺を、甲斐甲斐しくお世話してくれたのが本当にありがたかったなあ…
――さて、ここまでは助走だ。ここから本題。
そのトラウマ克服に向けて、視聴者にも手伝ってもらうぞ。
「俺って前世があるんだけどさあ…」
>……は?
>なんかしれっと変なこと言ったなwww
>……前世?
>突然の爆弾発言
>???
「別に陰陽師の格好しているから、キャラ設定として言っているわけではないぞ。事実として言ってる。さて、話を続けるぞ。俺が冬が苦手な理由が前世由来なんだよ」
>嘘を言ってるようには見えないし、ホントっぽいな
>前世持ちなんているんだなあ…
>あれ?魂なんてないって理論でしっかり証明されてなかったっけ?
>それがホントなら、何か理論に穴があったんだろうな
>なんかワクワクしてきた!魂についての論文を読み漁って、粗探しタイムだ!
>自分は魂とか関係なく、ただ脳細胞のバグで記憶があるだけ説を唱えたい
…あら?俺が前世を持っていることよりも、“前世というものが存在する事実”にコメントが大盛りあがりしていないか?
もうちょっと「嘘つくな」「いやいやほんとだって」のターンが続く予定だったのだが…
「ねえ!そんなことより俺の話を聞いてよ!というか、もっと俺が前世を持ってるってことに驚けよ!」
>いやあ……だってヒノキだし…
>かまってちゃんかよwww
>別に前世があろうがなかろうが、ヒノキならなんでもあるしなwww
>お前の存在がそもそもファンタジーだから、今更どんな事実が出てこようがなあ…
「まあ、あんまり過剰に反応されてもあれだし、これくらいの反応のほうがいいか」
>どっちだよめんどくせえな
>はいはい、すごいすごい
>はあ。さいですか
おざなりにされるとそれはそれで……ま、この流れはもういいか。
「さて、前世があると言ったのは、俺の今月の目標に関係するからだ。今月こそ、俺はアンドロイド流武術を完璧に仕上げる。多分後もうちょっとなんだよ」
>それがなんの関係があるんだ?
>何がもうちょっと?
>前世と関係なくね?
>相変わらず話の組み立て方が下手くそだな
「しばらくアンドロイド流武術をやって分かったんだが、俺の一番の課題は“弱さを受け入れること”なんだよ。そのためには、俺が黒歴史と思っている前世のことをそろそろ消化しないとと思ってな。なんか、とりあえず話していたら、いずれ受け入れられるだろ。知らんけど」
>アプローチの仕方が雑い
>知らんけどじゃねえよwww
>仕方ないから聞いてやるよ
>私たちに感謝しろよ?
くっそコイツら……なんでこんな上から目線なんだよ…
まあ、俺にとって話を聞いてもらうということは大事ではあるから、強くは言いにくいけどさあ。
「前にウツギが言ってただろ?『強さに色を出すために、理想の未来の姿と、過去の自分の人生を振り返って、それを組み合わせる』って。俺の場合、前世の人生も組み合わせるべきだと思うんだよ。それができて、初めて俺なりのアンドロイド流武術を完成させられる気がするからな」
俺はまだ若いので、そんなに人生経験が豊富なわけではない。それに、俺の中でも前世のことってそんな小さなことでもない。なんなら最大の特徴と言っても良い気さえする。俺を形作るものの中で、前世というのは切り離せないのだ。
だから、絶対に強くなるには前世を活かすべきだ。
…なんとなくそれが正しいと分かってはいた。強くなるためには絶対にそうした方がいいって。分かっていながら、俺は実行しなかった。深く前世の自分に立ち入るのが怖くて、前世を別の人間と割り切って過ごしていた。
>ようやく、なんとなーくヒノキの言いたいことが分かってきた
>細かいことは分からんが、要は前世さえ受け入れられるようになればいいってことだよな?
>ワイは強さの色って段階でもう躓いているぜ!
>とりあえずヒノキが前世をワイらに話せば、全人類がハッピーになるってことでおけ?
…うん、別にそれでいいや。全てを分かってもらう必要はない。俺がお前らに適当に話すから、お前らは脳みそ空っぽにして聞いておいてくれ。それくらいのほうが話しやすくて助かるし。
「てことで、これからちょくちょく俺の前世トークをしていくからな。信じるも信じないもどうでもいいけど、とりあえず無視だけはしないでくれ。寂しいから」
要は、冬ごもりのための準備をしつつ、話を聞いてもらってトラウマに向き合いつつって感じだ。
>ういーす
>しゃあねえなあ…
>ほんと、ヒノキって手間がかかるなあ…
>ワイたちが居ないとなんもできないんだから…
さて、これで今日言いたいことは全部言えたかな。
…あ、そうだ。ちょっとした愚痴だけど、話したくなったからこの話もしよう。
「というかさあ!ガラッと話が変わって申し訳ないが、聞いてくれ!ヨヒラがなんかアンドロイド流武術によって、突然目覚めたんだよ!しかも、完全に俺の目指す上位互換みたいな能力を得てるんだよね。しかもだよ。そのヨヒラに『御主人様はまだそこですか…』みたいに鼻で笑われたんだけど!」
>相変わらず話の流れがジェットコースター。ヒノキ、おまえ文系だろ?
>見下されてて草
>ふーん、まだその程度なんだwww
>ヨヒラ様のことだし、絶対冗談だろうけど、それでもナイス煽り!
「俺をひとっ飛びで追い越していったヨヒラ曰く、『あのえちえちモードにはまだまだ無駄がある。あれが完成すれば表面からキラキラ光るなんてことは起こらないですよ』とのことらしいから、とりあえずそれを目指す方向で頑張るつもりだ」
>あのえちえちモード、好きなんだけどなあ
>光る男っていうのもなかなか乙なもんだ
>えろければなんでもいいぞ!
「ま、人間が光るってのもおかしな話だしな。ハハハ」
>今更お前が常識を語るな
>ハハハじゃないが
>お前普通に人外だからな。普通のフリするな
さて、俺の巧みな話術により、配信の空気がいつも通りに戻った。これも全て狙い通り……ってことにしておいてくれ。
後はいつも通り、肩の力を抜いて配信していこう。
「じゃ、そういうことで、今月もよろしくな!」
次回予告:ブチギレ農業




