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貞操逆転スペースファンタジースローライフ!?~男女比が1:10の宇宙で男に生まれた俺が、辺境の無人惑星でスローライフする姿を配信する  作者: ながつき おつ
4章 夏休み!

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挨拶周回!俺とセリとおばあちゃん!

読んでいて少しでも感情が動いたら、評価・リアクション・ブックマークをお願いします。



 朝目覚めると、俺は母の部屋のベッドで寝ていた。


 …えーっと、ああ、思い出した。俺は昨夜、寝落ちしたんだ。俺、夜ふかしが苦手だからなあ…


 ふと横を見ると、俺の母がむにゃむにゃと寝言を言いながら、同じベッドでぐっすり寝ていた。


 この様子だと、寝てしまった俺は、母に部屋に運ばれたんだろう。


 この年になって母と一緒に寝るなんて……いやあ、お恥ずかしい。


 …あれ、でもそういえば。


 俺が招待した母たちには、それぞれ二人用の部屋を用意したはずだ。親子水入らずで過ごしてほしかったからな。


 そして、それは俺の母だって例外ではない。なので、この部屋にもベッドは二つあるはずなのだが…


「ああ、わざわざ俺と一緒のベッドで寝たのか」


 …まあ、母がやりそうなことではあるな。


 幸せそうな顔で、ぐっすり寝ている俺の母親。


(寝顔は、こんなに可愛いんだけどなあ…)


 ふふっ……こんなこと、実の母親に思うようなことではないな。


 俺は苦笑いしながら、そっとベッドから出る。なぜだかちょっと気分がいい。


 さて、と。かなり早起きしたので、朝食の時間までいくらか余裕がある。


 昨日できなかった筋トレでもしてから、軽く朝風呂と洒落込みましょうかね。



 朝食は親子ごとに済ませてもらって、今はみんなそれぞれの部屋でのんびり中。母だけは朝ご飯も食べずに、ぐっすり夢の中だ。ほんと、幸せそうに寝る人だ。


「さて、俺の中では、これからが本番。気合を入れていこう」


 今から俺がやろうとしていること。それは、各親への挨拶回りだ。


 恋人の二人の親には、「娘さんを僕にください!」という、いわゆる結婚の挨拶みたいなやつ。


 それから、全員の親にこう伝えるつもりだ。「俺が責任を持って娘さんを守ります。だから娘さんがここに住むことをお許しください」と。


 要するに、約束をした上で、ちゃんと許可をもらいたいのだ。


 二つ目のことに関しては、どういうこと?責任を持って守るって何?大げさじゃない?と思う人も多いだろう。


 いやあ、だって、ねえ…


 こんな平和なご時世で、娘が無人の辺境に住むという、前代未聞なことをしているんだよ?親としては不安だろう。というか、俺が親ならこんな直接会うことすら困難な辺境に住まわせるなんて、絶対嫌だ。


 要は、大好きなセリ、トリカ、ウツギ、ヨヒラの家族を、少しでも安心させたいってことだ。


 もうみんなは大人、ほんとは親にそんな許可を得る必要なんてないのだが……ま、これはいわば、俺の男としての我儘だな。どうも俺はこういう筋をしっかり通しておきたい性分みたいだ。


 ということで、早速セリの母親のところから行きますかね。


 俺は部屋から出て、二つ隣のセリとおばあちゃんの部屋に向かった。


 コンコン。


「はーい。開いてるよー」


「お邪魔します」


 俺はセリの声を受け、部屋の中へ。「どうぞ」とおばあちゃんに促され、椅子に腰掛ける。


「はい。これ、お土産と粗品です。つまらないものですが…」


「あらあら。ありがとう」


 俺が親たち用意してあるお土産は、全員共通して「ワイン」だ。粗品に関しても、俺が描いた「一枚の絵」と「お手紙」というのは、全員共通している。


 手紙の内容は、俺がセリをどう思っているか、今後二人でどうなっていきたいかを綴ったもの。絵の中身は、セリと閣下が楽しそうにゲームをしているところ。


 これらは「俺が用意できるもので一番喜んでくれそうなものって、こういうものだよな」と、事前に用意しておいたのだ。



 おばあちゃんは俺に渡されたものの中身をちらりと確認した後、「後でゆっくり楽しませてもらいます」と、脇においた。いつもより少し声色が明るかったので、喜んでくれたのだろう。


 さて、ここからが本番。俺は、こほんと一息入れ、誠意を持っておばあちゃんにこう伝えた。


「娘さんとお付き合いさせてもらっています。責任持って幸せにしますので、どうか付き合うことをお許しください!」


 俺は深く頭を下げる。

  

「ええ。もちろんいいですよ。この惑星でも、しっかり幸せにしてやってください」


 おばあちゃんは俺の宣言に対し、すぐに柔らかな声色でそう返事をしてくれた。


 …ま、そうだよな。正直、おばあちゃんならそう言うと思っていた。


「ありがとうおばあちゃん!責任を持ってセリを幸せにするからね!」


 おばあちゃんは「この惑星でもしっかり幸せにしてやってください」と答えてくれた。つまり――セリがこの惑星に住むのをもう認めているってことだ。


 …実を言うと、なんなら推奨しているぐらいだって俺は知っていた。


 だっておばあちゃんは昔から「可愛い子には旅をさせよ」って人だからな。そんなおばあちゃんが、娘が辺境の暮らしを否定するわけがない。


 これなら、今からわざわざ「セリがこの惑星に住む許可」を得る必要はなさそうだ。


「ふふ、おばあちゃんが僕たちが付き合うことを許さないわけないでしょ?それに、ヒノキはおばあちゃんとメールで今みたいなやり取りをして、もう許可はもらってたんでしょ?別にわざわざもう一度挨拶しなくてもよかったのに」


 今まで俺たちのやり取りを黙って見ていたセリが、クスクス笑いながら茶々を入れてきた。


 …ま、そうだよな。全部セリの言う通りだ。


 俺は今まで、ちょくちょくおばあちゃんとメールでやり取りをしていた。その時にしっかりおばあちゃんの考えは聞いていたから、いわば茶番っちゃあ茶番なんだよね、これ。


「まあ、これは俺なりのけじめみたいなものだ。こういうことはしっかり宣言しといたほうがいいと思ってな。すまんな。わざわざ俺のわがままに付き合わせて」


「ううん。僕は嬉しかったから、全然オッケーだよ!」


 そんな俺たちのやり取りを、おばあちゃんはニコニコと微笑みながら見守っている。


 その笑顔を見ていると――なんだか、とても懐かしい。


 思えば、いつだっておばあちゃんは俺たちのことをこうして見守り続けてくれていた。


 ハイハイを覚えた頃の俺とセリが、二人で仲良く遊んでいた時も、セリがゲームにハマって、一日中食事もせずにゲームをしていようと、セリが俺に倣ってスクールに通わないと言い出したときも――


 悪いことをした時以外は決して怒らず、ただただ見守り続ける。言葉にすると簡単なようで、実際にやろうとするとかなり難しいはずだ。


 セリのことを誰よりも信用しているし、セリが幸せならなんだっていい――親としてのそんな強い考えを持っているから、そうやって見守り続けられたのだろう。


 そんなことを思い返していると、セリから声をかけられた。


「ねえ?今から僕とおばあちゃんでこの“ハイパーナノ札”で遊ぶつもりだったから、ヒノキも参加しない?一ゲームだけでいいから?ね!」


 ハイパーナノ札!いいね!あのゲーム大好き!


 ハイパーナノ札とは、要はかるたみたいな遊びだ。今は真っ白な札にしか見えないが、読み上げと同時に札の絵が変化する。それを見て、正しい札をとるという遊びだ。


 札はただの絵ではなく、動きのある映像のような絵となっている。似たような絵も多く、ひっかけも多いので、細かい状況、音、匂いなど、色々な要素で「本当にこれが正しいのか」を特定しなければならない。


 これ、読み上げるお代によっては、札が勝手に動き出したり、勝っているプレイヤーに札が妨害してきたりして、かなり大騒ぎして遊べるゲームなんだよね。


「じゃあ、一ゲームだけ遊ばせてもらうな!」


 たしかこれ、一ゲーム十分くらいだったはずだ。それくらいならまあいいだろう。


「やったー!そうと決まれば……ヒノキ、協力しない?一緒におばあちゃんを倒そう!」


「おう!おばあちゃんはアナログゲームに関しては、ありえないくらい強いことは身にしみてるからな!油断はしない!」


「あらあら」

 

 相変わらず、ニコニコしたおばあちゃん。俺たちが協力すると聞いても、あの態度。余裕の表れか?


 まあ、今まで何度もこのゲームで遊んできたが、おばあちゃんに勝ったことは一度もないからな。あの態度も頷ける。


 だが、昔のままだと思ってもらっては困る。俺だって成長しているのだ。主に筋肉が。


 だから、遠慮なく身体能力でゴリ押ししてやろう。悪いなおばあちゃん、勝負の世界は非常なんだ。


 ふふふ、その笑顔、なんとしてでも曇らせてやるからな!



――さて、そんなハイパーナノ札の最終結果なのだが…


俺:三枚

セリ:十枚

おばあちゃん:十二枚


「おばあちゃん、つえー!」


「あらあら」


 勝負がついた瞬間、俺は両手を放り投げて仰向けに叫んだ。


 途中から勝ち目のなくなった俺は、ルールギリギリの範囲でおばあちゃんの妨害に徹するというダーティープレイをしたのにも関わらず、この結果。見事な完敗だ。

 

 俺とセリの札を足した枚数の合計なら一応勝ちだが……これはそういうゲームじゃないからな。


 おばあちゃんの、俺の妨害をすり抜ける身のこなし、そして何より、未来予測しているのかってくらい正確な判断力が凄まじかった。


 セリも必死に食らいついていたのだが……一歩及ばずといったところだ。


「じゃあ、そろそろ俺は蓮華さんの部屋に行ってくるな。楽しかったよ!またやろうな!」


「僕はおばあちゃんが帰るぎりぎりまで、ここで遊んだり甘えたりしておくね。じゃあねー」


「あらあら」


 二人に見送られ、俺はこの部屋を後にする。


 セリはおばあちゃんと居られるだけで、とっても幸せそうだ。


 …近い内に絶対また呼ぼう――そう心に決めたのだった。


次回予告:ドッタンバッタン大騒ぎ


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