家族集合!相変わらずの型破り!
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ついに今日、この惑星に住むみんなの母親たちが、この惑星に来る。
俺は以前再告白したときの正装に着替え、準備万端だ。
…いてて。
現在俺たちはカマクラホテルに集合し、到着予定地のホテルの一室で、それぞれのんびりしている。
俺は正直、自分の母が来ることは少し気が重い。だって、俺の母は結構メチャクチャな性格してるからな。
…いてててて!
でも、他の人たちの母たちに会えるのはすごく楽しみだ。
…だから、ね?
「トリカさん?さっきから地味に痛いんですけど?無言で頬をつねるのやめてくれませんか?」
「…」
トリカがベッドに腰掛けている俺の隣にピッタリとくっついて、無言でずっとこうしている。
さっきから貧乏ゆすりも激しいし、眉間にシワも寄っている。どうもトリカの母が来ることに、心穏やかではいられないようだ。
「僕はおばあちゃんが来るのが楽しみで仕方ないけどね!ヒノキのママにも早く会いたいな!」
セリもちゃっかり俺の隣に居座り、鼻歌交じりにそう切り出す。
セリって、お母さんのこと大好きだからなあ。
あ、ちなみにだが、俺とセリはセリの母のことを「おばあちゃん」と呼んでいる。変かもしれないが、これは、あだ名のようなものだ。見た目がいかにもおばあちゃんっぽいので、俺がそう呼んでいたら、いつの間にかセリも真似して言い始めていたんだよね。
…俺があだ名として言うのはまだいいとして、セリが自身の母のことをおばあちゃんと呼ぶのは、どうなんだとも思わなくはない。
だが、セリの母本人も、ニコニコしながらこのあだ名を受け入れていたので、あまり気にしていないのだろう。
…ふふ、俺もおばあちゃんにはよくお世話になっていたので、会えるのが楽しみで仕方がない。
俺とセリとトリカはこんな感じ。
他の人は今何をしているのかというと、ウツギは一度俺の隣にピッタリと陣取ろうとしてみたものの、セリとトリカに追い払われ、今はソワソワしながら部屋をうろうろしている。
「ああ、絶対に説教される…ママ、説教がねちっこくて長いのよね…」
そんな風にブツブツつぶやきながらも、どこか表情は楽しそうだ。怒られるのは嫌だけど、会えるのは楽しみといった、複雑な心境なのだろう。この様子だと、ウツギも自分のお母さんのことが好きなのだろうな。
聞くところによると、ウツギの母は品行方正で、きっちりとした人らしい。実際どんな人なのか、会えるのが楽しみだ。
ヨヒラはというと、ここに全員集合したペットたちの面倒を、率先して見てくれている。
どうもヨヒラの母は今日は来ないらしく、明日みんなが帰る一時間前くらいの時刻に、やっと到着するらしい。
ヨヒラの母は、「男性への過度な接触禁止令」が、アンドロイドのお偉いさんから発令されているらしいからね。俺に会える時間は一時間しかなく、その一時間も、ヨヒラの祖母が監視のもとじゃないと駄目らしい。
…ほんと、ヨヒラの母は何をやったのだろうか?
「…おや?どうやら、一人目のお客様がもう来たようですよ?」
俺がそんなことを考えていると、いち早く来訪者に気がついたヨヒラが、俺たちに向けてそう告げた。
時刻は集合時刻の一時間前。来るにしても、かなりはやい。
(この時間に来るなら、十中八九俺の母親だろうなあ…)
内心で俺は苦笑いする。
というのも、この宇宙では、集合時間ピッタリに来る、または集合時間の五分前くらいに来るのが礼儀が良いとされている。
そんな常識がある中で、集合時間の一時間も前に来るなんて常識破りかつ、せっかちな人……そんなの、うちの母くらいなもんだ。
ため息をこぼしながら、一時間も早く来てしまった礼儀知らずを待っていると――シュンと、到着予定地のこの部屋に、一人のアバターが現れた。
見た目は白衣に青い目、青い髪型を携えた、長身の女性。予想通り、俺のよく知るあの人だ。
「よおヒノキ!会いたかったぞ!さあ、早速母と息子で親子S◯Xしようか!」
俺と目があって、開口一番その台詞……相変わらずだなこの人は。懐かしいような、情けないような…
「おい!開幕からやめろ!親子で交わるの、犯罪だって何度も言ってるだろ!」
俺は思わず声を荒げる。
この宇宙では、母親と息子の間の近親関係は法律で禁じられている。これは、遺伝的なリスクが理由というわけではない。
かつて、母親が息子に対して不適切な感情を抱き、問題を起こすケースが相次いだことから、このような法律が制定されるに至ったという歴史がある。
そんな俺の法律的にも正しい言い分に対し……俺の母はため息をこぼしながら「やれやれ」とでも言うかのように、大げさなジェスチャーをした。
「おいおい。いつも言ってるだろ?『常識なんて守るな』って。我々研究者は、日々常識を打破するために闘っているんだ。だから、息子にもそう考えてほしいという母の優しさが、どんなに言っても伝わってないらしいな……お母さん、悲しいわ」
と、わざとらしい泣き真似をしつつ、まるで反抗期の息子に手を焼く親のような目で俺を見る。
…いや、おかしいのはそっちだから!そんな目で見るな!
この一連の流れでも分かるように、俺の母は、ちょっとぶっとんだ、非常識な人間だ。
パシリ、セクハラ、プライバシー侵害などは当たり前。
一応俺が貴重な男であるのにもかかわらず、平気で俺の部屋に無許可で入るし、俺の風呂にも入ってくる。
しまいには「私が産んだ子なんだから、我が子は私の分身みたいなものだ!だから、実質息子=私!よって、ヒノキには何をしても良いんだ!」とか「ヒノキは私が作った最高の作品だ!」などを、堂々と言う始末。
…それ、普通に毒親の言い分だからな?我が子を作品扱いするな。
まあ、口ではそんなことを言いつつ、しっかり俺に愛情を注いで育ててくれたし、前世のある変わった俺を、あっさり受け入れてくれた懐の深さもある。
だから、強引でめちゃくちゃなところがありつつも、決して嫌いにはなれないんだよなあ…
そんな母は、軽くみんなとペットたちに挨拶した後、ベッドに登り俺の背中に回った。
ふわっと、畳のような香りが俺の鼻をかすめる。
…ああ、この匂い。相変わらずすぎて懐かしい。
母から香ってくるどこか懐かしい香りに、自然と口元が緩む。条件反射ってやつかもしれない。
が、そんな平穏はつかの間だった。
「ふふ~久しぶりの感触~♪」
突然、俺の背中にどっしりと体重がかかる。
え、ちょ――!
「って、なにしてんの!?おい、やめろ、やめ……うわっ!」
母は俺の背後から覆いかぶさるようにしながら、遠慮なく俺の胸筋を揉みしだき始めたのだ。
ねえ?普通にセクハラだし、ちょっと重いし、何より恥ずかしい!「スーツだと揉みにくいわねえ…」じゃなくて!
あとさあ……ちょっとここ、人口密度が高すぎる!
というのも、俺の両隣にはセリとトリカ、背中には母が密着している。開いてるのは正面だけ。母が来るまで「両手に花」と内心喜んでいたのだが、ここまでくると流石に息が詰まりそうだ。
――と思ったその時、そんな俺たちのキャッキャウフフな様子を見て、「面白そう」とでも思ったのか……クスネが目を輝かせながら、俺の正面にダッシュしてきた。
ぴょんと俺の膝の上に飛んでこようとするクスネ。ただ、少しジャンプ力が足りないので、ベッドの上にまでは乗ることができていない。
「おっと…!」
そんなクスネに思わず微笑みながら、俺はクスネをキャッチして、膝の上に乗せる。
結果、自分から四方八方を埋めることになってしまったが……まあ、クスネに関しては仕方ないよな。
四方八方囲まれる俺。まあでも、ここに母さえいなければ、かなりの幸せ空間なのになあ…
「はあ、息子からのウェルカムS◯Xもなかったことだし、早く来た意味がないわねえ……仕方ないから、親友のセリちゃんと遊んで時間を潰そうかな」
ほら?今もこうやって、俺の肩にあごを乗せながら平然とこんなこと言っちゃう始末。はあ…ここに母さえいなければなあ…
あとさあ、ツッコんだら負けだって分かっているんだが、これは言わせてくれ。
…ウェルカムS◯Xってなんだよ!新しい概念を作るな!
次回予告:LED!照明完了!ピカー!!!




