最終配信!夏の味覚を楽しもう!
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「昨日の夜寝ながら色々考えたんだが、俺の理想の生活には、ヨヒラの存在が必須だわ」
>配信の初手から突然すぎる
>挨拶くらいしろ
>唐突すぎて草
>自己紹介しろ?お前誰だよ
「…ういーす。全国津々浦々ムキムキイケメンのヒノキでーす。今日は雑談回プラス、料理回にする予定だ」
>何事もなかったかのように配信が始まった件
>告知してから配信しろ
>今日も楽しみ
>今日のダサTの文字は“さいきょー”か
>さいきょーといいつつ、昨日レースで負けてたけどなwww
>どうも、全国津々浦々ムキムキイケメンのヒノキさん!私は視聴者です!
「で、だよ!昨日ヨヒラに幸せな夢を見せられたことがきっかけで、俺の思い描く理想の未来を考えてみたんだよ!」
>配信の初手から言うくらいだから、どうしても発表したかったんだなw
>昨日のあなたはずっと、すやぁ…だったもんなあ
>寝ながらずっとニマニマしてたよwww
>ヨダレ垂らしながら、幸せそうに寝てましたね
そう。昨日は最後のエリアで、ヨヒラによって幸せな夢を見せられた。内容は、ヨヒラが俺の嫁となり、幸せに暮らすというもの。
あの夢は、本当に幸せだった。
ヨヒラによって作られた美味しくて温かいご飯、柔らかな笑顔、素敵なエプロン姿、穏やかな時間。ヨヒラの月影のような温かい愛情表現などなど…
今思い返してもついニヤけてしまうほど、あまりに俺の理想の結婚生活に近かったのだ。
それに気づいてしまえば、もう「俺の理想の生活」について、考えずにはいられない。昨日の夜、ずっと考えてたもん。
で、最初の発言の「ヨヒラの存在が必須」という結論に至ったという訳だ。
「俺の理想は、セリとトリカとヨヒラと未来永劫この惑星で一緒に、穏やかに、仲良く暮らすこと。そして、最高の友達としてウツギがいる。それが俺の一番最高の理想の未来だ!だから、これからはそうなるように動いていくぞ!」
>仲間はずれのウツギさんwww
>もうウツギもハーレムに入れてやれよ
>ヨヒラ様とも一緒に暮らしたいのね
>最高の友達って……男女の間に友情は成立しないと何度も…
「ま、あくまでこれは理想だ。現状だとセリとトリカは別に仲が悪いわけではないけど、良くはないし、ヨヒラも一緒に住んでくれる気なんてさらさらないだろうし、ウツギなんて浮気相手に立候補しているくらいだしな。乗り越えなきゃいけない壁が多すぎる」
>セリさんもトリカ様も、ヒノキのこと独占するつもり満々だからなあ…
>みんなで仲良くは、流石に不可能じゃね?
>みんな我が強いからね
>というか、ウツギの誘惑にお前は耐えきれるのか?
まあ、みんなの言いたいことも分かる。
正直、セリやトリカが俺を独占したいという気持ちに、薄っすら気づき始めている。他にも、ヨヒラもヨヒラでとてもマイペースだし、ウツギの誘惑にはかなり堪えているし…
でも、さっき言ったように、あくまで理想を語っただけにすぎない。口には出していないが、現実的な目標もある。
【全員が幸せになる妥協案を見つける】
これが俺の現実的な目標だ。
この惑星では、誰もがそれぞれ違う理想に向かって進んでいる。理想がそれぞれ違うせいか、今更みんな一つになることはない。
それでも、俺はみんなで仲良く暮らしたいのだ。だから、俺はもっと自分勝手に、自分の理想を叶えるように動こうと思うのだ。
強引にそんなことをすれば、衝突、すれ違い、関係性の悪化など、色々な問題が起こるだろう。
でも、それでいいのだ。何度もぶつかっていくうちに、落とし所が見つかるだろう。
そうやって俺は、全員を幸せにする妥協案を見つけていくつもりだ!
「ま、ということで、俺の理想の発表のコーナーは終了だ。じゃあ次は料理していくぞ!今日は夏らしく、うな重とかき氷をつくって食べるつもりだ!」
>うな重!おいしいよね!
>醤油とか、氷とかどうするんだろう
>うなぎは近くにいるんだっけ?
「うなぎ自体はまだ見たことがないが、味が似ている魚は結構いるんだよ。で、今日使う魚はもう捕ってきている。これだ!」
俺はリュックから出した魚の尻尾をむんずと掴み、ドヤ顔で視聴者に見せつけた。
>でっかwww
>一メートルは超えてそう
>なにその怪魚?
>ナマズの一種か?
「そう!コイツはナマズの一種で、“ドロうなぎ”って言うらしい。俺が川で粘土を採取している時に見つけたんだよね。チップによると、『大雑把かつ大味ではあるが、大昔、うなぎの代用品として使われたこともあった』とのことだ」
>へえ…
>こんなデカいの捌けるの?
>というか、醤油とかはどうするんだ?
「ふっふっふ。俺が醤油なんて作れるわけないだろ?だから、ウツギに物々交換して手に入れたぞ!交換レートは、森で採取できる数種類の果物の詰め合わせで、コップ一杯くらいだな」
俺は手に入れた醤油が入った瓶を、堂々と見せつけた。
>できないことを恥じろ。威張るな
>そうか。ウツギって発酵食品作るの得意だもんな
>ある意味これもクエストみたいなもんか
「これで醤油はオッケー。砂糖の代わりに閣下からもらったはちみつがあるから、これで擬似的かつ簡易的なうなぎの蒲焼はできると思う!で、かき氷についても、カマクラホテル付近でとってきた綺麗な氷を削り、フルーツとはちみつを合わせたものをシロップ代わりにかければ、問題ないだろう」
準備は万端。ということで、早速調理に入る。
まずは、浸水済みの玄米を羽釜に入れて、かまどに火をつける。玄米なのは、手作業で精米するのが面倒だったから。羽釜は、つい最近自作したやつだ。
沸騰したら火加減を小さく調節しなければいけないので、ちょくちょく見に来よう。
そして、外へ行き、井戸のそばで俺は解体作業に入る。
「じゃ、次にこのドロうなぎを解体していくぞ!あ、もう簡単な処理、いわゆる血抜きはしてあるからな。こんなデカい魚は一度も解体したことはないが、もっとデカいバカ恐竜とか、緑鳥とかを解体したことあるから、チップさんに頼ればなんとかなるだろう」
>ほんとにぃ?
>魚と動物って身体の作りが違うんだぞ?分かってる?
>死んだ魚の目をこっちに向けるな。なんかゾッとするだろ
>魚なんて切り身でしか見たことないわ
視聴者の心配をよそに、俺はスルスルとドロうなぎを解体していった。
的確なチップの指示と、俺の解体スキル、並びにこのデカいドロうなぎが解体しやすい魚ということで、ぱぱっとこの作業を終えることができたのだ。
俺もなんだかんだこのスローライフ生活を送って長いからな。大体四ヶ月くらいか?
それだけあれば、この程度の解体なんて造作もないってもんよ。
あの頃から考えれば、俺ってかなり成長しているなあ…さすが俺だ。
…まあでも、この料理中全てが完璧というわけではなかったんだけどな。
途中、米の火加減の確認を忘れてしまったのだ。その時は、視聴者に気づかせてもらった。
ま、これくらいの小さなミスなんて、お茶目の範囲内ということで…
さて、ここまで終われば、後は簡単だ。
魚の切り身を串に刺し、蒲焼のタレ(水とはちみつと醤油を煮詰めたもの)を塗りながら焚き火で焼き、焼けたら木のお弁当箱に詰め、追加でタレをかける。
かき氷も同様に、木製の器に氷を削り、以前探索に行った時に一番たくさん採れたブルーベリーを使ったシロップをかければできるだろう。
デザートとして食べるので、これはまだ削らないで用意だけにしておく。
よし、これで今日の食事の完成!
「どう?意外と俺もやるもんだろ?じゃ、早速食べるか!いただきまーす!」
>うまそう
>ごくりんこ…
>確かに、意外とテキパキこなしてたなあ…
俺は玄米と蒲焼を一緒に口の中に入れる。
もぐもぐ。
「うん。普通にうまい!これ、余裕でうな重だ!あれだな。雑なうな重って感じ!そりゃ、もっと味のレベルを上げようと思えば上げられるだろうけど、正直これで俺は大満足だわ!うな重最高!」
そして、俺はこの後かき氷も存分に楽しみ、大満足で食事を終えたのだった。
「じゃ、今日の配信は終了するか!あ、そうだ。言うの忘れてたけど、明日はみんなの家族が来る日だから、配信なしな。だから、夏休み中の配信はこれで最後だ」
>明日からは配信なしの日が続くのか…
>家族が来るのは二日間だけらしいよ
>それまでヒノキの配信がなくても生きられるかなあ…
>明日から二日間は確か、カマクラホテルには行けなくなるんだよね
>なんだかんだヒノキの夏休みも楽しそうだったね
「少し名残惜しいが……夏休み配信終了!また三日後に会おうぜ!おつ!」
次回予告:ヒノキの母、襲来




